2015年04月18日

受講生体験記

体験を通じたコミュニケーション ~「演劇」という可能性にチャレンジ~

近所の川魚料理屋に行った時のことです。日本酒の力も手伝い、魚釣りが趣味の店主に科学技術コミュニケーションの重要性を説きます。店主曰く、

「魚釣りは体験できるけど科学は体験できないんだよなぁ〜。」(ß実際は飛騨弁)

巷には自然体験イベントとか理科実験教室とかとかありますよ、と思いつつ、でも確かに科学の全てが体験できるわけではないなぁと思いながら店を後にしました。

 

東日本大震災をきっかけに科学技術コミュニケーションに関心を持っていた私は「まずはお話だけでも伺いたい!」と思い、北海道に飛びました。そこで、岐阜の遠方からでもe-learningで受講できるCoSTEPを紹介して頂きました。

 

講義では幅広い講師陣に驚き、刺激を受けました。e-learningはモチベーションの維持が大変ですが、講義の面白さ、ペースメーカーともなるレポート、また一度でも北海道に足を踏み入れたことがあるという親近感も手伝い、1年間続けることが出来ました。

 

夏の選科A集中演習で私達の班が試みたのは「トランスサイエンス問題を演劇で表現する」というものでした。居酒屋の店主が言っていた「体験」に近いものを役者を通じて生み出せるという点では演劇の可能性を感じつつ、今後模索していきたいと思っています。

演習を通じて感じたのは、参加者は皆、得意不得意に関わらずコミュニケーションに対して非常にポジティブだということでした。このことはチーム内に良い雰囲気を生み出し、短期間で良い物を作り上げていくのに非常に重要な事だと感じています。

 

修了式・成果発表会で再開したメンバーとはまるで古くからの友人のような錯覚さえ覚えました。たった3日間の演習がどれだけ熱いものだったかを表していると感じます。

修了式の際、講師の方々から多く発せられた言葉は「体験」という言葉でした。多様性の中でのコミュニケーションは難しい。しかし、相手に何かを伝えたいとき、「体験に近いコミュニケーション」というのはひとつ、目指しても良い方向性ではないかな…とかなんとかいろいろ考えつつ、これから科学技術コミュニケーションの二歩目を踏み出したいと思います。

 

体験とポジティブ・コミュニケーション、そして親近感の正の連鎖がCoSTEPを受講した一年間をかけがえのないものにしてくれました。

 

CoSTEPの受講を迷っている方、一度「体験」してみてはいかがですか?

 

高知尾 理
東京大学大学院修理学系研究科

(第10期 選科A)