2015年11月19日

活動報告

「地図をめぐる冒険~オープンストリートマップを使ったまちづくり〜」当日の質問カードの回答

 

9月27日に行われた、第83回サイエンス・カフェ札幌「地図をめぐる冒険~オープンストリートマップを使ったまちづくり~」では時間の関係上、質疑応答の時間が短くなってしまいました。終了後のアンケートでも「質問時間が足りなかった」という意見が多く寄せられました。そこで、ゲストの古川さんにお願いしたところ、快く当日回答しきれなかった質問に答えてくれました。ぜひご覧ください。

 

 

Q1:オープンストリートマップの基本について
・オープンストリートマップってどうやって始めたら良いですか?どうしたらマッパーになれますか?
・マッパーになるのになにか特別な資格はいりますか?

 

A1:
特に資格などは必要ありません。オープンストリートマップは誰でも自由に参加して、誰でも自由に編集でき、誰でも自由に利用することができます。スタートアップの手引きは http://learnosm.org/ja/ などのガイドに書かれています。参考にしてください。

 

Q2:オープンストリートマップの正確性について
・オープンストリートマップの正確さはどのように担保されていますか?
・虚偽情報のチェックや削除はどうしているのですか?
・ほかの人がすでに記入した部分を書き換えることはできますか?
・オープンストリートマップの誤った情報が発端となったトラブルはどのような責任分担で解決していくのですか?

 

A2:
オープンストリートマップのデータの信用性については熟練マッパーによって定期的にチェックが行なわれています。オープンストリートマップは多くのユーザーが地図をより良くしていくものだという性善説に基づいています。しかし、悪意ある破壊行為が認められた場合は、当事者やワーキンググループで確認を行い、バックアップファイルを用いて当該地域のリバート(巻き戻し)が行なわれます。
(オープンストリートマップの破壊行為について:
http://wiki.openstreetmap.org/wiki/JA:%E7%A0%B4%E5%A3%8A%E8%A1%8C%E7%82%BA
精度については最近 mapbox 社によって、日本国内のプロジェクトが始まっており、多くの道路データについて確認修正されています。
(道路改良プロジェクト:https://www.openstreetmap.org/user/nyampire/diary/36309
また、それぞれのマッパーがよりよい地図のために位置を修正したり、書き換えたりすることも可能です。ただし大規模な削除などを行う場合は、記入したアカウントの方と可能な限りコンタクトを取ることをおすすめします(オープンストリートマップのアカウント同士でメールを送ることができます)。


Q3:オープンストリートマップの鮮度について
・オープンストリートマップは場所によって鮮度が違うということですか? 
・オープンストリートマップのこの地域はいつ更新されたものなのか等はわかりますか?

 

A3:
オープンストリートマップの履歴(http://www.openstreetmap.org/history)から、いつ、誰によって、何が変更・追加されたかを見ることができます。また、https://www.youtube.com/watch?v=7sC83j6vzjo の動画では2004年から2014年までの10年間にオープンストリートマップへ書き込まれた地域を動画で見ることができます。
もしさらに改善したい場合はどうぞ編集にご参加ください。

 

Q4:オープンストリートマップと重ね合わせについて
・重ね合わせるレイヤーはすべて公開されるのですか? 専用アプリでのみ重ね合わせるレイヤーを作れるのでしょうか?

 

A4:
オープンストリートマップを背景図として使い(A)、ご自分のデータレイヤー(B)を別途重ねて、ツールで表示する場合はそれぞれのライセンス条件に従います。もし(B)が内部利用のデータでなどの場合でも、必ず公開する必要はありません。
(オープンストリートマップのライセンス基礎知識 http://www.slideshare.net/higa4/20141213-osm を参考にしてください。)
ツールについては、QGIS http://qgis.org/ などの GIS ソフトウェアなどが適しています。また、uMap (https://umap.openstreetmap.fr/ja/)などは web 上でオープンストリートマップの上に自分のレイヤーを作成することができます。

 

Q5:災害時等遠くの地域をマッピングするやり方について
・現地にいない人がどうやって現地の地図を書くことができるのですか?
・遠くの地域の地図を書く際にどのように情報収集を行って、どう地図に落とし込むのかの過程を教えてください。

 

A5:
有事の際、人工衛星が当該地域の緊急撮影を行います。この画像はすぐにトレース可能なライセンスが明示され、世界中のマッパーたちが、道路網や避難キャンプなど各地域で求められている情報を優先的に入力していきます。
(オープンストリートマップ人道的活動チーム:HOT について http://wiki.openstreetmap.org/wiki/JA:Humanitarian_osm_Team
また、支援の段階が進むと、現地で撮影されたドローンの画像や、スマートフォンアプリ Mapillary (http://wiki.openstreetmap.org/wiki/JA:Mapillary)による詳細情報更新がなされていき、現地の対策本部などで活用されます。もしマッピングに慣れたら、ぜひこちらへの貢献もご検討ください!
(ハイチ地震直後のオープンストリートマップの書き込みについて https://goo.gl/3VkPMp ※4:00 あたりからご覧ください)


Q6:ホイールマップについて
・ホイールマップに参加したいけど、車椅子の人にとって本当に使えるトイレなのかわからない場合アプリからどうやって入力したら良いですか?

 

A6:
車椅子ユーザーのハンディの程度はさまざまです。それぞれの方が本当に使えるデータをつくることはとても困難な問題です。Wheelmap ではこの定義をあえて大まかにすることで、ユーザーや地域の人々の参加を促しています。もし入力に悩んだら、段差やトイレの写真と「店員さんが協力的」といったメモを記述してあげると車椅子ユーザーの方々がご自分で判断できます。

 

Q7:オープンストリートマップと地域課題について
・観光都市札幌というにはまだまだ地図が不便なところがあると思います。改善策を話し合い、使用することはできるのでしょうか?

 

A7:
地域課題の改善策を話し合い、より鮮度の高い地図をつくることはとてもいいことですし、昨今のツールやデータを使うと効率的にこれらのことができます。ひとつお願いをしたいことは、共有できるライセンス(CC BYなど)を成果に明示してください。せっかくみんなで考えた成果をそのワークショップで閉じ込めてしまうのはもったいないですよね。共有できるライセンスを示すことにより、世界中の人々がここで生み出された考えやデータをさらに活用できます。
(クリエイティブコモンズについてはこちらの動画を参考にしてください。http://creativecommons.jp/

 

Q8:オープンストリートマップの事例について
・田舎で使われているオープンストリートマップで面白い事例があれば教えてください。

 

A8:
「田舎」や「面白い」の定義にもよりますが、世界各地では、都会でも田舎でもマッピングパーティーが毎週のように開催され、各地のデータは日々拡充されています。また、これらのデータをもとに、各地のガイドマップをオープンライセンスで作成したり、地域学習の一環で小中学生がオープンストリートマップに記入したりしている例もあります。でも大事なことは、当事者が楽しみ、仲間を広げていくことにほかなりません。
(稚内で奮闘された田中さんのスライド http://www.slideshare.net/jyuntanaka/sotmjp2014

 

Q9:オープンストリートマップのデメリット・課題について
・オープンストリートマップのデメリットはありますか? 
・オープンストリートマップの課題はなんですか?  

 

A9:
完璧な地図がないのと同じく、デメリットや課題はたくさんあります。たとえば、地物の属性を示すタグの定義はまだまだ改善の余地がありますし、正確性や精度についてもまだまだ改良できるでしょう。また、時間の概念も取り入れた 4D 化や、建物内部のインドアデータも今後開発や改良が待たれており、これらに関しては日々メーリングリストや Giihub で議論が交わされています。しかし、基本的に誰でも参加することができることをうまく利用して、改善に一役買うことができるのは大きな強みとも考えられます。

日本国内コミュニティでも町内会に1人はマッパーがいるといいな、なんて話も出ていました。もし足りない部分があれば、一緒に考え工夫してみませんか?あなたの参加をお待ちしています。

 

古川さん、丁寧にご回答くださり、ありがとうございました。
オープンストリートマップは近年全国ニュースで取り上げられる機会も多くなりました。facebook PC版の国内マップがオープンストリートマップに切り替わるなど、どんどんわたしたちの身近なものになっています。ぜひみなさんも活用してみてください。

(佐々木萌子・北海道大学薬学部5年/CoSTEP 11期生 対話の場の創造実習)

 

関連項目
・第83回サイエンス・カフェ札幌「地図をめぐる冒険〜オープンストリートマップを使ったまちづくり〜」を開催しました:
http://costep.open-ed.hokudai.ac.jp/costep/contents/article/1385/
・作ろう! 地図をこの手で。〜マッピングパーティー in すすきの〜(マッピングパーティーの動画):
https://youtu.be/NPyK9W0udZg
・「地図をめぐる冒険~オープンストリートマップを使ったまちづくり〜」アンケート結果報告・ワークショップ開催のお知らせ:
http://costep.open-ed.hokudai.ac.jp/costep/contents/article/1389/
・「地図をめぐる冒険~オープンストリートマップを使ったまちづくり〜」関連ワークショップ「はじめての人にもわかるマッピング」を開催しました
http://costep.open-ed.hokudai.ac.jp/costep/contents/article/1398/