2015年12月02日

成果物

チラシデザイン:地図をめぐる冒険 ~オープンストリートマップを使ったまちづくり~

 

制作者:中村俊介(2015年度本科・農学院修士課程1年)/制作年月:2015年8月

 

チラシのデザインを担当したのは、本科デザイン実習を専攻している中村俊介さん(2015年度本科・農学院修士課程1年)。中村さんの制作レポートを紹介します。

 

『対話の場の創造実習(以下、対話の場)』の企画会議に初めて参加した際、「OpenStreetMap(以下、OSM)」「ホイールマップ」「マッピングパーティ」といった聞き覚えのないワードが飛び交っている状況に圧倒されたことを今でも鮮明に記憶しています。会議に参加するといつも、メンバーの間に「より良いものを作ろう」という情熱がみなぎっていました。彼らの期待に応えられるよう、今回のポスター制作に全力で取り組みました。

 

 

デザインするとはどういうことか

 

ポスターのデザインワークで最初に行ったのは、会議で聞いたキーワードを基に、ぱっと浮かんだイメージをひたすらペンと紙を使って描くことでした。「地図」「町づくり」「ホイール」「レイヤー」「情報集積」といった言葉を瞬間的にイラスト化することで、思い浮かんだものを記録としてストックしていきました。この行動の背景には、たくさん描き上げたイラストの中から、取捨選択し構成すれば、ポスターのデザインはできるものだという思い込みがあったからです。しかしながら、この考え方は論理性に欠くものであり、直感に依存した自己表現の域を出るものではありません。デザインとは本来合理的なものであり、ひとつひとつの要素に意味性を見出だせなくてはなりません。そのことに気づかせてくれたのは指導にあたってくれた大津珠子先生でした。私のラフスケッチに対するアドバイスの中で、合理的なデザインを構築することの重要性を指摘してくださったのです。

 

(ラフスケッチ)

 

ポスターの効果を最大化する

 

ポスターの最も重要な役割は“集客”です。それを達成するには①タイトルのインパクト、②イベント情報、③配置に配慮しながら、サイエンスカフェの内容を視覚的に表現して、市民の興味をぐっと引きつけられるものでなくてはなりません。直感的にポスターを作っていくだけでは、市民への配慮に欠けた単なる自己満足な「絵」でしかなくなります。それではせっかくポスターを作っても、効果を最大化することができません。

 

タイトルのインパクトを例に、実際のデザインワークのフローを解説します。「地図をめぐる冒険」というワクワクするタイトルをつけてくれたのは対話の場の池晃祐さんです。このタイトルだけで興味をそそられる人は多いと思います。今回のポスターはこのタイトルになるべく注目が集まるよう留意しました。具体的には、サイエンスカフェの中で重要な概念である「地図のレイヤー構造」を“紙の重ね合わせ”で表現し、もう一つ大切な要素である「地図を使った街づくり」を重ね合わせた紙の上に「人」「時計台」「テレビ塔」「木々」「ビル群」を配置して表現し、タイトル周りをインパクトのあるデザインに仕上げました。

 

(地図のレイヤー構造を紙の重ね合わせで表現してみました。)

 

最初は本物の紙を用いて、デジタル一眼レフカメラで撮影した画像を利用しようと考えていました。しかし、デザインが複雑であればあるほど、写真を利用すると妙にリアリティ溢れるものになり、タイトルのインパクトに欠けるというデメリットが発生することに気づきました。そこで、AdobeのIllustratorを用いて写真をイラスト的に表現する手法に着目し、それを進めていった結果、納得のいく仕上がりになりました。冒頭で対話の場のメンバーの期待に応えたいということを書きましたが、完成したポスターを見せたところ、満面の笑みで喜んでもらえました。デザイン担当者として、やりがいを感じた瞬間です。

 

ポスターを学内の掲示板に貼り出し、会場である紀伊國屋書店さんに飾っていただいた結果、サイエンスカフェ当日には多くの市民の方々にご来場いただき、集客という点では成功をおさめることができました。完成までは決して平坦な道程ではなかったのですが、そこかしこで私がデザインしたポスターを見るたびに、チャレンジして本当によかったと素直に思いました。

 

(完成稿)

 

I am a MAPPER.

 

ポスターのデザインに飽きたらず、サイエンスカフェ当日にスタッフが身に付けるTシャツのデザインも担当しました。みんなが楽しい気持ちになって、それでいてサイエンスカフェの内容を反映しているデザインを目指しました。

 

MAPPERとは、インターネット上の地図に位置情報を書き込んでいく有志の人たちを指しています。企画会議の中で初めて聞いて、言葉のインパクトとかわいらしさに惹かれていました。それをTシャツで表現でき、個人的には満足度の高いデザインワークでした。

 

(自分でデザインしたTシャツに初めて袖を通した瞬間)

 

とっておきなのが裏面で、実は札幌駅周辺の地図になっています!このデザインには、サイエンスカフェのテーマである地図「OSM」の力がフル活用されています。OSMで編集された地図はクリエイティブ・コモンズ・ライセンス(一定の条件を守れば自由に使用してよい)を有しているおかげで『(c)OpenStreetMap』と明記すれば、誰でもOSMの地図を自由に使えるようになります。そのため、今回のようにTシャツのデザインに使うこともできるのです。

 

今回のサイエンスカフェのデザインワークは大津先生をはじめ、対話の場のメンバーの支えがなければ、うまく進まなかったと思います。複数の人間が関わる中で、どれだけ自分がプラスの要素を提供していけるかをあらためて真剣に考える良い機会になりました。このような機会を与えていただき心より感謝しております。ありがとうございました。

 

(サイエンスカフェ終了後にみんなで記念撮影)