2016年04月01日

受講生体験記

「科学コミュニケーション」の答えを求めて

受講開始前年の2014年冬、父のノーベル物理学賞受賞をきっかけに日本の科学に関する報道に疑問をもちました。「科学コミュニケーション」という言葉を知り、それは一体何なのかと、答えを探してCoSTEPの受講を決めました。1年間の受講を終えた私の結論は「答えはない」です。CoSTEPが教えてくれたのは、世の中には多様な立場の人がいて、それぞれの文脈によって「科学コミュニケーション」が指すものは異なるということでした。

 

CoSTEPでは、一連の講義や実習の受け止め方は個々の受講生に任されています。モジュールごとに課される課題では、講義の内容を受講生個々人の「科学コミュニケーション」活動に結び付けることが求められました。
大学院生として、小学生向けの実験教室のアシスタントとして、また新聞記者の卵として、講義の内容をどう活かすことができるかと考え続けることは、一見関連がなさそうな講義と実生活の間の繋がりを見出す手助けになりました。

 

10月に開催された実習では、学生、大学URA、記者、教育系出版社編集者、看護師、メーカーの開発職など、多様なバックグラウンドを持つ受講生と出会いました。彼ら彼女らと切磋琢磨し言葉を磨くことで、バックグラウンドの違いが文章などに表れるアウトプットの違いを生むことを実感しました。まだ見ぬ相手への想像力を磨き、立場の違いを尊重し合うことの重要性を学びました。
この一年間を通してぼんやりとした「科学コミュニケーション」の全体像をつかむことができ、これから更に学びたいことややってみたいことが山のように生まれました。CoSTEPで学んだこと、先生方や受講生との繋がりはどれも珠玉の原石で、これをどう活かしていくかは今後の私にかかっています。

 

日本の科学コミュニケーションの課題、言い換えれば面白さ、はあちこちにあります。CoSTEPは、そこかしこで「科学コミュニケーション」に携わる修了生たちのネットワークを築いています。4月からは新聞記者として、私もそのネットワークの一端を担えるように、今後も勉強と実践を続けていきたいです。

 

 

天野 彩(選科B)

京都大学大学院修了 朝日新聞社