2016年04月01日

受講生体験記

CoSTEPに背中を押された1年間

受講当初は「科学技術コミュニケーション」についてよく知らず、科学のイベントや、科学そのものをたくさんの人に伝えることなのかなといった程度にしか考えていませんでした。
人に物事を伝えるのが苦手な自分は、TEDのスピーカーのようにもっと積極的で話し上手な自分になりたいという、曖昧かつ壮大な目標を掲げてCoSTEPの門戸を叩きました。そんな適当な自分は、オリエンテーションで初めてこの学習プログラムの大きさと科学技術コミュニケーターの責任について知り、深く衝撃を受けました。

 

CoSTEPで学んだ1年間で、「科学技術コミュニケーション」の重要性と伝え方のバラエティーについて幅広い視点から知ることができました。大学院で、ある研究をもっとうまくアウトリーチできないかなと考えていた時、「あ、これが科学技術コミュニケーションが求められる現場なんだ」とハッとさせられました。
こんな時、一人の科学技術コミュニケーターが来てくれて「君の研究紹介の映像を作ろうじゃないか」「君の研究内容でサイエンスカフェをやろうじゃないか」と言ってくれたら、なんて頼もしい人なんだろうと尊敬してしまいそうです。こんな役割が今の世の中に強く求められていることを知り、そして自分の中に深く落とし込めたことが大きな収穫だったと感じます。

 

自分がこの1年間でチャレンジしたことは、「食」と「東北」をテーマにした映像制作、イベント企画でした。農学部にいて「食」と「農」に関心のある自分は、消費者と生産者の間にどうしても大きな隔たりがあると感じていました。
特に自分の地元であり、大きな震災を受けた「東北」はその二者の距離が遠く、両方の考えや思いがもっとスムーズにやり取りできるツールがあればいいのに、と考えていました。そんなところに「映像メディア」の文字が飛び込んで来て、なるほど、ビデオメッセージをやり取りすればいいんだと企むこととなりました。

 

映像というツールは一朝一夕に使いこなせる媒体ではありませんでした。しかし、早岡先生にはいつでも丁寧にプロの技を伝授していただき、何とか今後も使える程度に力をつける事ができたと思います。

 

その甲斐あって、「おいしい東北のつどい」(私が2年前よりとある居酒屋で定期的に開催していた東北の食材を使った食事会)にて ビデオメッセージによる生産者と消費者の交流を実現させる事ができました。あたたかい言葉を取材した生産者さんや食事会の参加者の方からいただいて、映像は他の媒体に比べて、「感情」を強く動かすことができるメディアだと感じました。思わず自分で作った映像に涙してしまったことは想定外でしたが、本当に良い経験をさせていただいたと思います。

 

CoSTEPは、日本の科学技術コミュニケーション界を引っ張る数多くの方々と関われる機会を与えてくれる場所でした。自分の力だけでは出会うまでに何年もかかるだろうと思うような膨大な人たちと繋がりを作ることができました。チャレンジしてみたいことがあれば、強く背中を押してくれました。本当に良い環境に飛び込むことができたと感じています。
この1年、挑戦の場を与えてくださった皆さまに心から深く感謝を申し上げます。この先も、CoSTEP11期生の名に恥じぬように、「チャレンジ」を重ねていきたいと思います。本当にありがとうございました。

 

 

松岡 郁子(本科 映像メディア実習)

北海道大学大学院農学院 修士2年