2017年02月09日

成果物

ポスターデザイン:極北に針路をとれ ~北極海航路が拓く新時代~

制作者:永森 彩奈(2016年度本科・農学部4年)/制作年月:2016年12月

 

2016年12月11日(日)に開催された第92回サイエンス・カフェ札幌「極北に針路をとれ~北極海航路が拓く新時代~」のチラシデザイン報告レポートです。チラシデザインに挑んだのは、本科・Webデザイン実習を受講している永森彩奈さんです。

 

 

 

メイソウのはじまり

 

さて、まずはこのカフェのチラシに盛り込むべきことをつかもうと、たまたま手元にあった漫画家のレクチャー本を参考にしました(ここからすでに道を間違えていたような気がします)。その本にはまず「テーマ」「キャラクター」「ストーリー」「世界観」を設定せよ、と書かれていました。ポスターなので必ずしもストーリーはなくてよいだろう、世界観はまあ北極海周辺で決まり、しかしながらテーマが何なのか、と考えて、行き詰ったので、カフェの打ち合わせに2回参加しました。お話ししているうちに、「温暖化という逆境をも利用してたくましく生きる人間たち」が浮かんできました。しかし、1枚のポスターのなかで、あんまり説明くさくなってしまうのはよろしくない。

 

こまった…迷走したうえに完全に行き詰まった…ということで今回のカフェの主担当でありCoSTEP10期グラフィックデザイン実習修了生である池田先生にアドバイスを求めたところ、「今回のカフェは、あつかう対象が具体的で(北極、航路)、カフェのテーマがはっきりしている(持続可能な・・・)ので、もう、カフェにちなんだモチーフどーん!て感じにするだけでインパクトが出ます。ポスターですべてを説明する必要はないので、もっとシンプルに考えてみましょうかね。」

 

 

(カフェのタイトルが確定する前からイメージを描き起こし、試行錯誤)

 

 

チラシ/ポスターの役割とは

 

確かに、カフェの内容を1枚の絵に収めることが最優先だ!と思ってラフ案を描いてみると、何だか漫画みたいになってしまっていました。しかし少し考えればわかることだったのですが、通りがかりの人の視点からすると、掲示されたポスターを見て「おっ?何だこれ」と思う → 詳細を読む・調べる → 気にいったら足を運ぶ、という流れがあるかと思われます。ポスターですべてを伝えようとしなくても、カフェにちなんだモチーフどーん!としているだけでも「おっ?」と思ってもらえるかもしれない…という考え方にシフトチェンジすることにしました。

 

それならば、タイトルが某映画をもじっていますので、昔の映画のポスターみたいに、チラシのタイトルも手書きで書くことにしよう、と思い立ち、描き始めました。モチーフは、原子力砕氷船です(写真素材サイトから購入)。ロシアの原子力砕氷船は船体にサメのような牙が描かれており、正面から撮影した写真がなかなかのインパクトだったため、左半分に大きく載せました。

 

 

(ロシアの原子力砕氷船「ヤマル号」の写真を加工。タイトルは昔の映画風に手描きで)

 

 

TPOをわきまえたデザインとは

 

自分が描けるだけ描いた、全力を尽くしたデザイン案を眺めて思ったのです。

「これ、採用されない気がする」

今までのサイエンス・カフェ札幌のチラシのデザインにはあまりこのテのデザインがなかったのです。みんなかわいいドレスを着るピアノの発表会に、ダメージジーンズを穿いて出るような、少しだけ場違いな感覚。しかしあいにくドレスの持ち合わせがなかったものですから、結局そのダメージジーンズ路線のデザイン案を提出しました。結果は、まあ、案の定でした。サイエンス・カフェ札幌のチラシはCoSTEPのブランディングに大きく影響するものであり、これまでの12年間で醸成され受け継がれてきたイベントのテイストを壊してはいけないから、という理由だったそうです。言われてみれば、たしかに。CoSTEPで学び始めてからしばらくして、「変化球ばかり投げているとそれしかできなくなるよ」と言われたことがあったのですが、全くその通りだったなあと、今更ながら身にしみます。

 

しかし、目を引くデザインであることと、A2ポスターサイズでよく映えることから、ポスターとして学内に貼り出していただけることになりました。貼り出されたポスターを遠くから見ていると、道行く人々がポスターの前を通り過ぎるときにちらっと見ていく様子が確認できまして、何だかうれしい気持ちになりました。

 

 

 

 

とにかく時間がなかった

 

今回のポスター制作をふりかえりますと、最大の逆境はとにかく時間がないことでした。今回は準備期間を十分にとれず、ほぼ1週間で仕上げる必要がありました。ふだん、サイエンス・カフェ札幌のチラシデザインには1か月ほどは時間をかけるそうなので、今回の慌ただしさが際立ちます。当初は短期決戦のほうが私には向いているだろう、と考え、勢いよく手を挙げたわけですが、まあ、やっぱり時間がありませんでした。それでも短い時間のなかで思いを巡らせ、あの時点での最高傑作を創るべく努力をした時間は、次の機会に生かせるものだと思います。

 

短期決戦で集中的にご指導くださったカフェ担当の池田貴子先生、西尾直樹先生、そしてカフェのゲストであり貴重なお写真を提供してくださった大塚夏彦先生に、深く感謝し御礼申し上げます。

 

 

(左:学内掲示ポスター完成稿 / 右:公式チラシとして採用されたデザイン*)

*公式チラシには、カフェのゲストである大塚夏彦さん(北極域研究センター教授)ご本人に提供していただいた写真を使ったデザインが採用されました。