2017年06月02日

活動報告

第94回サイエンス・カフェ札幌「生きている折り紙〜細胞は平面から立体へと旅をする〜」を開催しました

 

2017年5月27日(土)に、北海道大学高等教育推進機構 新渡戸スクール 特任准教授の繁富(栗林)香織さんをゲストにお招きし、今年度最初となる第94回サイエンス・カフェ札幌「生きている折り紙〜細胞は平面から立体へと旅をする〜」を開催しました。

 

(ゲストの繁富(栗林)香織さん(左)と、聞き手の古澤輝由さん(右))

 

ちょうど札幌は運動会のシーズンです。朝から雨の降るあいにくの天気にもかかわらず、140名を超える参加者が、会場の紀伊國屋書店に集まりました。今回、カフェに先立ち、紀伊國屋書店インナースペースにてCoSTEPの講義「実践入門」が行われました。受講生にとっては、直前に学んだ「CoSTEPの実践」を、今この場で体験できる貴重な機会です。

 

(配布物にはミウラ折りができる北海道大学のチラシが含まれています)

 

カフェが始まると、聞き手を担当したスタッフの古澤輝由さん(CoSTEP特任助教)から、配布したパンフレットを使用して、カフェをより楽しむためのポイントとして、折り紙の特長と、マイクロやナノの大きさについての3分解説がありました。

 

(三分トークを行う、カフェの聞き手の古澤さん、肩に注目してください)


ゲストの繁富さんは、和服で登場です。講義や学会ではなく、リラックスして対話を楽しむサイエンスカフェだからこそできることです。帯には、チラシのモチーフに使用した鶴が刺繍されていました。

 

(和服姿の繁富さん)


第一部は、繁富さんによる話題提供です。まず、繁富さんのライフヒストリーが紹介されました。幼いころのに感じた自然への疑問から、折り紙の構造を活かして動脈瘤の治療に使われる医療器具開発を行った、英国オックスフォード大学への留学に話が及びました。


繁富さんは、カフェの副題にある「旅」に引きつけてお話を展開していきます。最初は「折り紙の思い出の旅」です。誰もが子供のころに折り紙を作った記憶があります。これは世界的にみて非常に珍しいことだそうです。折り紙は日本の文化になっているといいます。

次は「折り紙テクノロジーの旅」です。まず、自然の中にある折り紙の構造について紹介してくれました。葉の折りたたみや、カブトムシのツノなど、自然の中には、元の形がすでに折りたたまれて作られています。人間の腸や脳の襞も折りたたみの構造の一種です。

そしていよいよ、細胞折り紙についての紹介です。50マイクロメートル(髪の毛の直径の約半分)の平面上のプレート上で培養された細胞は、その牽引力を使って、プレートを立体化するのです。この細胞折り紙に、極小のサイズの物質を加工する技術であるマイクロ・ナノ工学が活用されています。繁富さんはその様子を「細胞トランスフォーマー」「細胞レゴブロック」といった様子を想像しやすい表現に置き換えて話してくれました。この技術は、装置を小さくたたんで体内の傷を修復したり、創薬に応用することが期待されています。

最後の旅は「折り紙の未来への旅」です。繁富さんは、日本の伝統的な折り紙の見方を変えることで全く新しいものに展開することができると、集まった人々にメッセージを投げかけました。

 

(トピックトークのテーマ)

 

第一部の最後は、折り紙と繁富さんの研究に関する、トピックトークです。聞き手の古澤さんは「自然と折り紙」「医療と折り紙」「宇宙と折り紙」「立体と折り紙」「芸術と折り紙」「私と折り紙」の6つのトピックを準備しています。参加者の方からのリクエストは「立体と折り紙」でした。印刷した紙を自動的に立体化できるプリンターなどが紹介されました。


(手元の資料を後ろのディスプレイにリアルタイムで映して解説します)

 

第二部は、会場からの質問です。繁富さんは、細胞を狙った方向に折るための方法や、折り紙から発想を得る秘訣など、様々な質問に対して丁寧に答えてくれました。また、会場には、12時間かけて制作した折り紙を持参した、高校生がいらっしゃいました。繁富さんからその作品が紹介されると、会場からは感嘆の声があがりました。このような、参加者との自然なやりとりができるのも、サイエンスカフェの魅力ですね。

 

(恒例の記念撮影、チラシをデザインしたデザイナーさんも参加しています)

 

最後、重富さんは、折り紙にかけて「人生、山あり、谷あり、小さくならず広い世界に前進して、チャンスをつかんでいきましょう」と言葉を残してくれました。繁富さん、ありがとうございました。