2018年11月01日

活動報告

「森をつかう〜研究者とクリエイターが生み出すものづくり」を開催しました

 

 

2018年10月25日 北海道大学 遠友学舎で、小林 真さん(北海道大学 北方生物圏フィールド科学センター 天塩研究林 准教授)と南美慧さん(趣美社 代表、デザイナー)をお招きして、森をつかうー研究者とクリエイターが生み出すものづくり」のトークイベントを開催しました。学内・外から約30名が集まり、授業「研究者とクリエイター」から作品制作に至るまでの話を聞き、作品を鑑賞しました。

 

授業の説明をしている朴

 

話をしている小林さん

 

このプロジェクトを企画した朴からの授業の説明や約1年間の経緯についての説明に続き、天塩研究林の小林さんの話がありました。科学者として提供した森の話や、プロジェクトに参加する時の態度についての話がありました。森を「多様な種がいる場」として捉えている小林さんは、北海道の森が「針広混交林」であることから、森には多様な生物による多様な関係が存在すること、森の中にある植物の競争と共存、古い世代の恩恵を受けて生きる森、土の中の生物と木の関係についてまで話しました。科学者にとっての森は、多様性を基に、未知の自然現象があることを最後のメッセージとして残しました。

 

説明をしている南さん

 

続きましてクリエイターの南さんの話が続きました。伝統を今の暮らしに合う形で解釈したものづくりをしている南さんは、クリエイターが製品を世の中に出すまでのプロセスを説明してから、この1年間天塩研究林や札幌を含めた北海道から、また森の法則からインスピレーションを受けて作品をつくったといいます。天塩からは針広混交林であること、アカエゾマツの葉っぱの形を、モエレ沼公園からは地形や木の影を、森の法則からは森の競争や枝の構造から、それぞれデザインモチーフをつくり、作品にしました。数多くのサンプル制作を経て、展示のために自然の材料から作ったタピストリーをつくるまでの過程で、研究者とコラボしながら発見していく楽しみを語ってくれました。

 

 

小林さんはがクリエイターとコラボする際に、自分が研究フィールドにしている森に対して、今までと全く異なった視点を体験できたことが特に印象的だったようです。より良いコミュニケーションのため、なるべく専門用語よりは基礎的な言葉を使うように心かけたといいます。このプロジェクト自体は、改善点は特に思い浮かばないほど、大満足していると語りました。

 

 

南さんは、企画者である朴と、このような研究者とクリエイターがコラボする企画をずっと前からやろうと言っていた夢が叶えられたこと、また異なる立場の研究者とコラボすることで、新たな発見から作品を作ることができたところがよかったといいます。研究者と十分な時間をかけて、より深い研究内容を共有すればよかったことは改善点として残りますが、初めての試みとして、自分も良い勉強になったそうです。

 

 

話が終わってからは、作品を手にとって鑑賞する時間が続きました。手触りから、作品に込められた意味もより強く伝わり、鑑賞者は自分ならではの解釈にもつながったようです。

 

科学とアートをつなぐこと、研究機関である大学とクリエイターをつなぐこと、森を多様な視点で見つめて表現すること、国を超えた交流、新たな意味での科学技術コミュニケーションまで、このプロジェクトは様々な分脈からチャレンジングな一歩です。今後、このプロジェクトの製品化と、次年度の授業「研究者とクリエイター:森を考える(革)」も予定しています。このようなチャレンジを続けていくことで、制作したものも、行っている活動もより意味のあるものになると思います。これからの動きにも、ぜひ関心を寄せていただきたいと思います。