2018年11月30日

活動報告

第103回サイエンス・カフェ札幌「つかめヒカリ みがけセンス~ミライをひらく人工光合成~」を開催しました

 

11月18日(日)、北海道大学大学院 工学研究院 助教の石田洋平さんをゲストにお招きし、第103回サイエンス・カフェ札幌「つかめヒカリ みがけセンス~ミライをひらく人工光合成~」を開催しました。

熊谷まりな(2018年度 本科/大学院生)

 

(ゲストの石田さん(左)と聞き手の大地(右)。テレビの収録風ということで葉っぱ形の名札もばっちりきまっています。)

 

今回のカフェは、対話の場の創造実習の受講生(秋田、岩澤、長内、熊谷、吉本)が中心となり、人工光合成のしくみを伝えることをテーマに企画しました。当初は9月9日の実施を予定していました。しかし、北海道胆振東部地震のために日程が延期となり、日を改めての開催となりました。震災によってエネルギー問題を考えさせられた今だからこそ、このカフェが未来のエネルギーへの希望の光となればという想いのもとで改めて準備を行ってきました。そして、これからの未来を担う子どもたちにもカフェに参加してもらうため、新たに札幌市教育委員会のご後援をいただき、小学校にチラシを配布することにしました。

 

(今回のカフェは前方に親子席を用意。開場してすぐに30人ほどの子どもたちでいっぱいになりました。総合司会は熊谷が担当です)

 

「人工光合成」という難しいテーマを子どもたちにもわかりやすく伝える工夫として、カフェはテレビ番組の収録風に進めていきました。

 

(テレビ風の演出としてAD吉本による前説からカフェはスタート。手に持った4色のカードは何に使うのでしょう?)

 

 

つかめヒカリ

まずは1つ目の番組「つかめヒカリ」の収録です。聞き手の大地が「みなさん、こんにちはー!」と挨拶すると、子どもたちから大きな声で「こんにちはー」と返事が返ってきました。子どもたちも番組の収録風のカフェを楽しんでいるようです。
人工光合成とは「生き物をマネて太陽の光によって水と二酸化炭素から酸素とエネルギーを作り出すこと」ということですがなんだか難しそう…。そこで石田さんはフリップを使いながら、光合成について「植物がヒカリのエネルギーを化学のエネルギーに変えること」なんだと説明してくれました。そのために、植物の葉っぱの中には太陽の光を効率よく集めるアンテナとしてキレイに並んだ色素のつぶがあるのです。「キレイに並ぶ」というポイントについて、次は映像を使って考えていきました。体の動きを使った説明映像に、大人の参加者からも笑い声が上がりました。

 

(フリップを使って光合成のしくみについてわかりやすく解説する石田さん。)

 

石田さんは、光を集める色素のつぶを、人工的にキレイに並べるための研究をしています。そのために用いているのが静電気の力です。プラスの静電気を持つ色素のつぶは、マイナスの静電気を持つ土台にくっつけることができます。色素のつぶを並べる土台として使っているのは、ねんどのナノシートです。このシートは表面がなめらかで、ちょうどいい静電気の強さを持っているため、色素のつぶをキレイに並べることができるのだそうです。

 

(4色の「dカード」を使ったクイズをしながら一緒に考えていきます。)

 

会場との対話を促す工夫として、今回はテレビのdボタンを模した「dカード」を使った4択クイズを取り入れました。さらに、カードを挙げた様子をモニターに映すことでみんなの答えをリアルタイムで共有しました。モニターに自分の挙げたカードが映っているか、画面に注目する子どもたちの表情が印象的でした。
第1部は、人工光合成のすごさは植物をマネて光のエネルギーを「モノ」に変えることにあるというお話で締めくくられました。このすごさはカフェで覚えて帰って欲しかったことの一つです。

 

 

みがけセンス


2つ目の番組「みがけセンス」では見えないものを見る、科学者の「センス」にせまっていきました。
どんな人であっても色素のつぶを直接見ることはできません。そこで、石田さんが間接的に色素のつぶの様子を見るために使っているヒントが色の変化です。カフェの最中に、実際に色素の溶液とねんどの溶液を混ぜ合わせて色の変化を見る実験を行ってくれました。

 

(ピンク色の色素の溶液に透明なねんどナノシートの溶液を混ぜると、溶液の色に変化が…。)

 

この番組の中では、石田さんはご自身が科学者としていつも大切にしているセンスとして「ケミカルセンス」を紹介してくれました。ケミカルセンスとは、モノの性質や単位を感覚として身につけることです。このセンスは科学の研究だけでなく身近な場面でも役に立つとのこと…。身近な科学のクイズを通して参加者の皆さんも一緒にケミカルセンスをみがいていきました。

 

(2部聞き手の郁美。身近な話題からケミカルセンスにつなげていきます。)

 

クイズの後は、なぜ石田さんは研究に挑戦し続けるのかというお話にまで発展し、盛り上がりの中2部も終了しました。

 

 

ミライをひらく(実験&質問コーナー)

休憩中には、子どもたちを対象に、「センスをみがけ!ミニ実験」と「光る色素を見てみよう」の2つの実験コーナーを設けました。初めて触る道具や、鮮やかに光る色素に驚きながらも、真剣に実験に取り組んでいました。

 

(石田さんと同じ器具を使って気分は科学者!)

 

休憩の後は収録後の質問コーナーです。参加者のみなさんからの質問に石田さんが答えました。子どもたちからも「植物の色素は全て同じもの?」「なんで光合成の研究をはじめたのですか?」「人工光合成の実験をすることで未来はどう変わりますか?」などの、たくさんの質問が飛び出しました。石田さんは、子どもたちの質問を受け止め語りかけるように質問にこたえました。

 

(1つ1つの質問へ熱心に答える石田さん。子どもたちも石田さんのお話に集中しています。)

 

 

子どもたちの心をつかむ工夫はポスターにも

 


今回のカフェは親子でも楽しめるようにというコンセプトで企画しました。
そのコンセプトが大きく表れていたのが、色とりどりの葉っぱが散りばめられたポップなポスターでした。ポスター作成者の伊藤さんは「はじめは人工光合成というテーマをどのように表現すればいいのか悩み、戸惑いましたが、多くの人に意見を頂きながら、最後は自分も班の皆さんも納得できるようなデザインに仕上げることができてよかったです」と語っています。難しそうなテーマをポップに表現することも、親子で楽しんでもらうための工夫の1つだったのです。

 

 

目に見えないものを考えていく


目に見えないものを考える感覚、ケミカルセンスも今回のカフェで参加者の皆さんに覚えて帰ってほしいもう一つのことでした。ケミカルセンスを人工光合成の研究を通して知ることで、身近な科学に対する見方が変わってくるかもしれません。このカフェが家に帰ってからも親子で身近な科学について話していくきっかけとなれば幸いです。

石田さん、お越しいただいたみなさん、ありがとうございました。


対話の場の創造実習:秋田郁美、岩澤大地、長内研、熊谷まりな、吉本拓郎