2018年12月31日

活動報告

プレスリリース作成演習・記者会見演習を実施しました

11月17日(土)午後と18日(日)、12月15日(土)午後と16日(日)にわたってプレスリリース作成演習および記者会見演習を実施しました。この演習は、CoSTEPと物質科学リーディングプログラム(ALP)の共同によるプログラムで、講師は内村直之先生(CoSTEP客員教授)と南波直樹先生(北大国際連携機構)がつとめました。

 

 

プレスリリース作成演習

 

11月のプレスリリース作成演習では、受講者10名それぞれが、自分の研究や活動に関するプレスリリースを完成させました。まず、研究広報の専門家である南波先生が、プレスリリースとは何か、メディアとの関係や注意点、スケジュール等について講義しました。科学ジャーナリストの内村先生は逆の立場から、プレスリリースのポイントについて、適宜補足していきました。

 

次に受講生がペアになって、事前に作成してきたプレスリリースを読み合い、コメントをしました。異なる分野からの率直な意見をもらうことで、説明せずに思い込みで書いてしまうこと、情報が過多な部分、そして何がその研究で最もアピールすべきポイントなのかを認識できたようです。

(社会人と大学院生がディスカッションできるのもこの演習の魅力です)

 

(内村先生にびっしりとコメントされた原稿)

 

2日目も引き続きプレスリリースを推敲しました。ピアレビューだけではなく、内村先生にも朱入れをしてもらいます。今年は初稿のできがよかったためか、そこからの改善に苦労した点もあったようですが、全員、時間までに原稿を完成させました。

 

プレスリリース一覧

  • 高校生が日本酒プロジェクトを開始!~北海道初!高校生が企業と自治体と連携して米づくりから挑戦~
  • 3・11SAPPORO SYMPO「9年目の3.11」を開催します 被災地の未来に私たちができること
  • 厳冬期に避難生活を過ごすための『北の災害食』レシピ集を作成
  • サクラ樹皮の秘められた粘り強さ 特性と構造の解明
  • 北海道芦別市から出た骨化石は肉食恐竜の可能性~ティラノサウルス類の巨大化解明に期待~
  • “まっすぐな空間”の新しい数学で幾何の古典的定理が高次化へ
  • 世界初!インドールの不斉ホウ素化反応の開発に成功 ~医薬品の短段階合成への貢献に期待~
  • 選択性の高いハイブリッド触媒の開発に成功 ~廃棄物少なく、医薬品合成に期待~
  • 生細胞内で同種タンパク質の結合を測定する手法を確立 ~病気治療に有効な薬剤選択へ期待~
  • CO 2 高耐性を有する高効率中温作動型燃料電池の開発 ~燃料電池の普及をさらに加速する~

 

 

記者会見演習

 

12月に実施した記者会見演習では、11名が3グループに分かれ、それぞれが模擬記者会見を実施しました。発表内容は11月の演習で作成したものから選ばれた、以下の三つです。

 

  • 生細胞内で同種タンパク質の結合を測定する手法
  • “まっすぐな空間”の新しい数学で幾何の古典的定理が高次化へ
  • 高校生が日本酒プロジェクトを開始!~北海道初!高校生が企業と自治体と連携して米づくりから挑戦~

 

初日はまず、南波先生と内村先生からプレスリリースと記者会見(記者レク)は基本的には一体のものであること、研究者とメディアの立場の違いを踏まえ、記者が間違わないように先回りした内容を発信することの重要性をお話して頂きました。また、写真の撮り方、図表や動画の効果について大津珠子先生(ALP)がお話をしました。

その後、各グループに分かれ、プレスリリースの最終調整、スライド発表資料と想定問答集の作成を行いました。発表は、研究担当、研究責任者、組織の長、広報担当者それぞれの役になって進めなければなりません。さらに、他のグループが発表している時は記者役として、発表に鋭い質問をしなければなりません。

 

2日目午前中はリハーサルを行い、慌ただしく模擬記者会見本番に突入しました。今回の模擬記者会見はFDとしても位置付けられ、北大の広報関係者も参観しました。記者会見では、「ノイズとはなにか」「なぜその方法が有効なのか」といった基礎を突く質問だけではなく、「いつごろ実用化されるのか」「その他に教育プログラムの成果は」といった応用面に関する質問や、「データに不自然な所があるという指摘がネット上にでてきている」といった危機対応が求められる質問まで飛び出しました。

(バックボードやモニター、マイク、ビデオカメラ、複数のカメラで会場は本物さながらです)

 

(「週刊研究不正のナンバですが…」と発表者を揺さぶる南波先生)

 

(数学研究をめざす若い人に一言、と聞かれ「まずは自分の畑を深く耕して欲しい。数学は広く浅く、ではなく狭く深くです」と答える山形氏)

 

(発表後、撮影に応じるT酒造の望月氏、札幌新陽高校の田渕氏、J〇B広報の成田氏)

 

(さっきまでは総長役だった受講生。今度は記者役として別のグループに質問をします)

 

この演習は模擬記者会見で終りではありません。さらにその後、取材内容から、300~400字程度の短報を一気に書き上げました。短報は全員で共有し、発表がどのように伝わったのか、伝わらなかったのかを確認しました。今回の演習には、6月に実際に記者発表を行った鈴木花さんも参加しました。その時の経験も共有され、ディスカッションが盛り上がりました。

 

書き上げられた短報のタイトルと掲載メディア

  • オリゴマー解析で認知症予防へ期待 (札幌新聞)
  • タンパク質の結合を測定し,新薬開発の道へ (Z web media)
  • 最速5年で実用化 (公益財団法人認知症の人と家族の会)
  • 北大の論文に不正の疑惑 (月刊研究倫理)

 

  • 1600年ぶりとなる古典的定理の高次元化に成功、北大山形ら発見 (天パ新聞科学部)
  • 16世紀越しに宇宙の概念に迫る数学の定理の拡張化に成功 (北〇道テレビ)

 

  • 高校生発、日本酒プロジェクトのいま!(北海道を元気にしよう新聞)
  • 高校生が日本酒製造を体験 (北〇道新聞)
  • 日本酒作りで高校生に広い視野を (北〇道新聞)
  • 高校生と酒造、共同で日本酒醸造へ (ABC新聞)
  • 変わる高校生~札幌新陽高校で生徒が日本酒を手作り~ (N〇K札幌放送局)
  • 北海道初!!高校生がイチから日本酒を作る!! (U〇Bアナウンス部)

 

研究者がその成果を社会に発信することはひとつの義務として考えられるようになってきています。そのために、第3者であり報道の専門家であるメディアというチャンネルを通す意義は小さくありません。ただメディアをツールとして使ったり、安易な批判をするのではなく、お互いに緊張と協力の関係をたもちながら、よりよい科学技術報道をつくっていくためにはどうしたらよいか、そのきっかけをつかむ事ができたのではないかと思います。