2019年03月03日

活動報告

展示「くまが奏でる地図、万華鏡に潜む地球」を開催しました

2月9日(土)~18日(月)、「札幌可視化プロジェクト」実習生が札幌市旧永山武四郎邸で展示を行いました。

土井雄登(2018年度 本科/大学院生)

 

(旧永山武四郎邸にて展示を背景に記念撮影。オープニングには他の実習生やCoSTEP 修了生も来てくださいました。)

 

「札幌可視化プロジェクト」実習の受講生(土井雄登、細谷祥央、安藤瑞帆、福津圭祐、歌川敦夫)が中心となり、2人の北海道大学教授のインタビューから映像や音を使った展示を企画・制作しました。今回は動物系統地理学の増田隆一さん(理学研究院 教授) と 構造地質学の竹下徹さん(理学研究院 教授)にインタビューを行い、二人の研究者の話を可視化しようと考えました。

 

(竹下先生にインタビューしている様子)

 

私たちは科学に興味を持っている層はもちろん、科学と繋がりが薄い方、興味ない方に対しても "科学" の入り口になるような展示を目指し制作しました。

 

(HBCの取材にて。写真の真ん中奥にある「石は地球のテープレコーダー」は有名な岩石学者の言葉で、竹下先生のお気に入りの言葉です。)

 

まず、入り口から入ると竹下先生の岩石の研究をテーマにした展示が設置されています。さまざまな鉱物の偏光顕微鏡写真と共に、チョコレートやキャラメルなどのお菓子を使って鉱物に刻まれたプレートや地層の動きを再現した映像が展示され、さらに実際に研究で使われている岩石を展示しました。偏光顕微鏡に写った岩石は人によって様々な印象を与えるようです。また小さい鉱物からひも解く巨大なプレートや地球の内部の話というスケールの変化も見どころです。

 

展示に来たお客様からは顕微鏡写真を見て「きれい」と最初に一言いってもらえることが多かったです。また、写真の一部が「どこかの町の上空写真」にみえたり、「細胞写真」に見えたりと、多様な感想をいただきました。

 

(増田隆一先生のインタビューをもとにつくった作品。写真右上は実際にDNAの音を聞いている様子。写真右下はDNA配列を解析したデータ。)

 

もう一つの展示は北海道に生息しているヒグマのDNA配列の展示です。ヒグマは遺伝学的に道南、道央、道東タイプに区分されており、その3つの異なるDNA配列を音に表現しました。また、ヒグマはむかし、大陸から北海道に移動してきたのですが、3種類のヒグマはそれぞれどのような経路をたどってきたのか、地図を使って可視化してみました。またヒグマのDNA配列を構成するA、T、G、Cという4種の物質を信号音に変換し、3種類の音楽で違いを表現してみました。

 

3つのヒグマの音の違いは繊細な違いでしたが、「違いが感じられる」というお客様もおられ、それぞれの音楽の違いを聞き比べているお客様の姿がとても印象的に残りました。

 

(展示の感想の様子)

 

展示室の一角には、DNA配列の模様でできたヒグマのフィルムの上に、お客様からの感想を貼ってもらうコーナーを設置しました。その中には「生きている石の色」や「みんなつながっている」といった感想が寄せられました。感性的な感想が寄せられたことによって、本展示が知識を超えたコミュニケーションが実現できたのではないかと考えられます。

 

旧永山武四郎邸の中はとても寒く、お客様がお越しになってくれるのか心配でしたが、一般の方々がたくさん来てくださり、満足していただいたという声も多く寄せられました。また、われわれ実習生にとっても、展示で「どのようにお客様に展示を楽しんでいただけるか」を試行錯誤するきっかけになりました。また、今回はテレビや新聞に取り上げられ、より一般の方々に様々な視点で科学を見るという関心を持っていただけたのではないかと感じました。