2010年10月26日

授業レポート

地域振興における科学技術の役割

「地域に対して科学技術は何ができるのか」。10月20日の講義は、北海道総合政策部科学IT振興局科学技術担当局長の木場保洋さんに、行政の観点から地域の科学技術振興についてお話しいただきました。

 

北海道は全国で初めて科学技術振興条例を制定した地方自治体です。この条例は、科学技術によって北海道の強みを新たに作り上げることが目的です。今回は四つの取り組みを紹介していただきました。

 

一つ目は「知的財産」です。複数の窓口を一本化するために「北海道知的財産戦略本部」を設置し、知財相談の「ワンストップサービス」を実現しました。中国や台湾では、北海道の地名を勝手に商標登録される例が後をたちません。これを監視し、市場進出する際に困らないように対策を講じているそうです。

 

北海道では各地で農、林、水産、産業、環境など様々な分野の研究が行われています。しかし、分野横断的な研究は行いにくい環境でした。そこで「地方独立行政法人北海道立総合研究機構(道総研)」を設立し、研究を行っています。これが二つ目の取り組みです。年間2,000万円を投資し、現在は「食」「住」「林」の三課題を推進しています。地域特性を生かしたエコ住宅の開発などが望まれています。

 

「食」と「環境」において北海道は既に他地域より優位な立場にありますが、これに「健康・医療」を加えて北海道の新たな武器を作ろうというのが三つ目の取り組みです。「北大リサーチ&ビジネスパーク」という産学官連携の拠点を作り、栄養価の高いことが研究で明らかになった黒大豆を用いて商品開発を行いました。また、人工関節の早期実用化を図る取り組みなど、新たな創薬や医療機器の開発を推進し、10年後にイノベーションを起こすような挑戦的な取り組みも行われています。

 

四つ目は、こういった科学技術振興を担う人材の育成や、イベントやセミナーを通じて道民に科学技術を広く知ってもらい、理解を深めてもらう活動への取り組みです。

 

北海道は、地域の科学技術振興によって生まれた技術を道民が活用し、産業が振興していくことを目指しています。地域振興における科学技術の役割は、まだまだ可能性があるのではないかと感じました。

レポート:諸岡七美(選科生)