2013年11月30日

活動報告

サイエンスカフェin 三省堂書店札幌店「観光化する身体〜博物館・蝋人形・秘宝館と女性〜」が開催されました

2013年11月30日(15:00-16:30)、三省堂書店札幌店にて、妙木忍さん(北海道大学大学院文学研究科助教)をゲストにお迎えしてサイエンスカフェ「観光化する身体〜博物館・蝋人形・秘宝館と女性〜」が開催されました(ファシリテーターはCoSTEPの川本思心・特任講師)。 

 

 

前半は北海道を中心に、温泉地などに多い秘宝館について、豊富な写真を見せながら紹介しました。なぜ秘宝館が生まれたのか?秘宝館は医学、芸術と娯楽、ユーモアが渾然一体となった、日本ならではの何とも奇妙な文化です。その社会的な背景や、観光地の歴史などから話はどんどん広がっていきます。 

 

 

 

 後半は医学と秘宝館の関係について、妙木さんのヨーロッパでの取材をもとに話が深まっていきます。医学模型にしては物語性を感じさせる、セクシャルな模型の数々が登場しました。

例えばイタリアでは医学模型が学術展示としてしか使われなかったのに対し、同じような医学模型が日本では娯楽の方向にも使われたのはなぜなのか?こうした問題意識をもとに、秘宝館のルーツに迫っていきます。

 

 

 

秘宝館は突然、生まれたものではなく、歴史的に見れば、その流れの一つに過ぎないと妙木さんは言います。

身体模造の先行研究によれば、細工物(人形を始め、模造や模型の類)→生人形(迫真性の高い等身大人形・江戸時代から明治にかけて)、衛生展覧会(戦前から昭和中期に盛んに開催された衛生啓蒙の催し)→秘宝館という連続性があるのではないかという見方を妙木さんは示しました。

伊勢の秘宝館の前には医学的な展示があったのに、以降は医学的な展示がなくなりました。伊勢までは医学展示が秘宝館を正当化するものとして機能していましたが、その後は民間信仰を取り入れながら娯楽性を高めていったと考えられます。昔の秘宝館は、医学と娯楽の橋渡し役をつとめた貴重な歴史的文化資源としてとらえることが可能なのです。

 

 

 

見方によっては「下品な見世物」ともとられかねない秘宝館という研究テーマに対して、時に社会の目は厳しいこともあるそうです。しかし今、世界では、春画などの日本美術や、性と楽しみについて豊かな表現力をもつ日本文化に注目が集まっています。

今ではインターネットなどによる性情報の氾濫、娯楽の多様化によって、秘宝館の文化は急速に廃れていますが、その秘められた歴史的・文化的な価値を見直すことで、現代の社会においても新たな発見がたくさんあることが分かりました。妙木さん、今回は貴重なお話、ありがとうございました。