2018年11月30日

活動報告

第三話 光の魚

 

まだまだ見えない」は、CoSTEPで科学技術コミュニケーションの表現を教えている、アーティストの朴さんが科学な光を探すために北大を旅するドキュメンタリーです。CoSTEPに来るまで、科学にまったく興味がなかった朴さん。さてさて、アートは科学と仲良くなれるかな?

 

第三話 美しいものには光が宿る

 

光をアートの視点から旅する「まだまだ見えない」、今回の出会いは、光で微細なものを触れずにつかむ「光ピンセット」です。2018年のノーベル物理学賞は光を使った道具の発明に贈られ、そのうちの一つがアーサー・アシュキン氏の発明した「光ピンセット」です。104回サイエンス・カフェ札幌のテーマにもなった「光ピンセット」。今回は、カフェのゲストであり、アシュキン氏の発明した光ピンセットをさらに発展させた研究に取り組む、笹木敬司さん(電子科学研究所 教授)に話を伺いました。

 

私たちは普段、光を浴びても、力が加わっているような感覚は感じません。それだけ光の力というものは微かな力なのですが、アシュキン氏はレンズを使って光を一点に集めることによって、微かな光の力を増幅させ、物質を動かせるほどの力を生み出しました。しかし、レンズを使った手法だと操れる光の大きさに限界があります。私たちの体を構成するタンパク質やDNAといった分子といったナノサイズの物質をつかむためには、より小さな光ピンセットを作る必要があるのです。

 

美しいものには光が宿ると言いますが、光は金にまとわりつくんです、と笹木さんは語ります。金がナノサイズまで小さくなると、金の中にある電子の振動と光の振動が一体化して、光を金の周りにとどめておくことができます。これは「局在型表面プラズモン」と呼ばれ、この原理をナノサイズの分子を操る光ピンセットにも活用できないかと注目されています。

 

「局在型表面プラズモン」…なにやら強そうな名前です。しかし、実はこの現象は私たちも身近で見ることができるのです。例えば、ステンドグラス。ステンドグラスのガラスの中には細かな金属の粒子が練りこまれており、それが光と相互作用することによって、ある波長の色だけを閉じ込めます。すると、その色を引いた補色の光だけが透過されます。例えば、金の粒子は緑の波長の光だけと相互作用するので、その補色である赤い光が透過します。銀は青の波長の光だけと相互作用するので、その補色である黄色い光が透過します。この原理は、ステンドグラスだけでなく、日本の切子ガラスにも利用されています。

 

かの昔から用いられてきた光と金属の相互作用が生み出す不思議な現象。今回、朴さんはその話にインスピレーションを得て、ガラスの中で金属にまとわりつく光を、ステンドグラスの魚で表現してみました。完成作品は、サイエンス・カフェ札幌の会場で展示されます。ぜひ、皆さんも光の魚と泳いでみませんか?

 

第104回サイエンス・カフェ札幌「のぞいてごらんなさい~分子をつかむ光のピンセット~」

【日 時】2018年12月2日(日)14:30~16:00(開場14:00)/【場 所】紀伊國屋書店札幌本店 1階 インナーガーデン
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光の魚

 

光の不思議さに触れていると、海に潜った経験が思い浮かびます。息から音、色の感覚、触覚まですべてがおかしくなる海の中で目に入ったのは 遠くに微かに見える光を背景に、飛んでるように自由に泳ぐ魚たちでした。 もし光に形があるなら、魚のような形をして 波に包まれて泳いでいるだろうと思いました。

 

 

この作品は、ガラスを割った時出てきた破片だけを用いて 魚をイメージに構成したパーツでできています。

 

 

光のひととき、その瞬間を丁寧に見つめる不思議なガラスの海。 のぞいてみてください。