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北海道大学CoSTEPの教育プログラムの概要①
科学技術コミュニケーターとは、
専門家と市民の双方向のコミュニケーションを支援する人

北海道大学CoSTEPの教育プログラムの概要イメージ

CoSTEPとは、北海道大学高等教育推進機構オープンエデュケーションセンター科学技術コミュニケーション教育研究部門(Communication in Science and Technology Education and Research Program)の略称で、科学技術コミュニケーションの教育と研究、ならびに実践を担っている組織です。その中心となる業務は、「科学技術コミュニケーターの養成」です。

CoSTEPは2005年に科学技術振興機構の科学技術振興調整費(2005年度〜2009年度)によって「北海道大学科学技術コミュニケーター養成ユニット」(当時)として発足し、北海道大学の学部・大学院の正規の教育プログラムとは別に、「北海道大学科学技術コミュニケーター養成プログラム」という一ヶ年の教育プログラムを企画・運営してきました。2015年度は第11期にあたりますが、これまで約 640名の修了生を輩出してきており、日本においてこの分野を切り開いてきたのではないかと自負しております。

本プログラムは学内に閉じたものではなく、社会人と大学院生が共に学び、受講生のバックグラウンドもきわめて多様なものとなっています。また、e-learningの活用により、全国各地や海外からの受講生も受け入れています。修了生は全国の様々な場所で、多様な役割を担って活躍しています。

教育プログラムの概要

CoSTEPのミッションは

  1. 科学技術コミュニケーター人材の輩出
  2. 多様な科学技術コミュニケーション実践
  3. 人材育成手法の研究開発

を通じて、科学と社会のよりよい関係を実現することです。

CoSTEPでは「社会の中で積極的かつ継続的に科学技術コミュニケーションを担う人」、あるいは、「自分の研究や仕事・生活の中で、何らかの形で“科学技術コミュニケーションのセンス”を発揮する人」を育てたいと考えています。

養成プログラムは、カリキュラム体系の大分類(3つの柱)に基づいて構成されています。これらはそれぞれ、以下の通りです。

I. 科学技術コミュニケーション思考

科学技術コミュニケーションの全体像を把握し、コミュニケーターとして実践にとりくむ際の課題の設定や判断の基準となる考え方を身につける。

II. 情報の分析と行動のための計画手法

科学技術と社会に関する情報を収集・分析・評価し、意志決定・合意形成・戦略立案を行うための基本的な考え方を学ぶ。

III. 科学技術コミュニケーション実践

コミュニケーターが様々な実践を通じて社会で役割を果たすために必要となる、基本的な知識とスキルを学ぶ。

カリキュラム体系では、この大分類をさらに以下のとおり7つの要素に分解しています。

1. 科学技術コミュニケーション概論

社会における科学技術コミュニケーションの望ましいあり方の全体像を展望する。

2.トランスサイエンス

現実の具体的な問題について知り、高い問題意識を持つと同時に、それらの事例を通じてトランスサイエンスの複雑な構造そのものを適切に理解する思考力を養う。

3.多様な立場の理解

科学技術コミュニケーターが多様な立場の個人や組織と連携する際に理解しておくべき、主要な関係者の状況について学ぶ。

4. 情報の分析と行動のための計画手法

実践に必要な諸情報を収集・分析・評価し、意志決定を行うための基本的な考え方を学ぶ。

5.表現とコミュニケーションの手法

コミュニケーターとして必要な、様々な表現とコミュニケーションの手法について学ぶ。

6. 学習の手法

コミュニケーターとして必要な、多様な「学び方」と「教え方」について学ぶ。

7. 社会における実践

コミュニケーターが社会で役割を果たすために必要な実践的手法について学ぶ。

カリキュラム体系の3つの柱と7つの構成要素の関係

I.科学技術コミュニケーション思考
  1. 科学技術コミュニケーション概論
  2. トランスサイエンス
  3. 多様な立場の理解
II.情報の分析と行動のための計画手法
  1. 情報の分析と行動のための計画手法
III.科学技術コミュニケーション実線
  1. 表現とコミュニケーションの手法
  2. 学習の手法
  3. 社会における実践

これらのカリキュラム体系に沿う形で「講義」「演習」「実習」の三つのタイプの授業が設計されており、CoSTEPはその運営を通じて、先に述べたミッションの達成を目指しているのです。年間27回の「講義」では、「大学の講義」というイメージを超えるような非常に多様な分野から講師を迎え、刺激的なレクチャーを行ってもらうことを通じて受講生は(そして CoSTEPの教員自身も)科学技術コミュニケーションの「創造的破壊」を体験します。また、「演習」はすべて双方向のアクティブラーニングであり、「実習」はすべて地域に根ざした PBL(問題解決型学習/プロジェクト型学習)であり、社会課題に取り組む実践を通じて学びます。さらに、多彩な受講生同士による協同学習も大きな特徴です。

とりわけ「サイエンス・カフェ札幌」は、この実習の成果としてCoSTEP創設以来継続され、学内外から幅広く評価を受けている活動です。

CoSTEPでは、下の表のとおり、受講ニーズに応じた2つの年間コースを用意しています。二つのコースを併せて、毎年70数名の受講生を受け入れています。

本科(20〜30名) 科学技術コミュニケーションを社会で積極的に担うための総合的な力を身につける
選科(30〜50名) 科学技術コミュニケーションの基本的な考え方とスキルを学ぶ

  

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