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授業の内容

講義

モジュール1/科学技術コミュニケーション概論

科学技術コミュニケーションを行うのに必要な諸概念を学び、社会における科学技術コミュニケーションの望ましいあり方の全体像を展望し、科学技術コミュニケーターの役割を考えます。

5/15 科学技術コミュニケーションの原点と座標軸
科学技術コミュニケーションとは何か?その意義と成り立ち、日本における現状について概観します。原点に立ち戻り、あらためて科学技術コミュニケーションの目指すべき方向性と、コミュニケーターの果たすべき役割について受講生のみなさんと一緒に考え、一年間の学習の指針とします。
石村源生(北海道大学CoSTEP 准教授)
5/21 事例研究という方法
社会の中での科学技術コミュニケーションのあり方を考え、学び深めるための技法の一つに、事例研究(ケーススタディ)があります。多様な関係者の間で科学技術をめぐるコミュニケーションが問題となっている(いた)ケースを取り上げ、資料収集やインタビュー調査などを行い、それを通じて科学技術コミュニケーションに関する普遍的な論点について考察を深めるやり方です。講師が過去に実施した、「エネルギー政策に関する『国民的議論』」などの研究例も参照しながら、事例研究法のメリットや、活用のためのノウハウを概説します。
三上直之(北海道大学高等教育推進機構 准教授)
5/28 「表現としての科学」の可能性から科学を再考する
科学とは何か。科学技術コミュニケーションにおいても非常に重要なこの問いに答えるためには、一旦科学を従来の枠組みの外からみることが一つの方法となります。同分野の研究者のみから構成される研究室や、査読システム、そして論文を科学の一つの表現型として捉えた時、全く異なる形の科学の可能性が見えてきます。生物学者とアーティストが混在する研究室を運営し、アート作品として科学を表現する試みから見えてきた、現代科学の課題と、そのあり方について提起します。
岩崎秀雄(早稲田大学理工学部 教授)
6/11 社会の中での科学技術コミュニケーターの役割 ―科学ジャーナリストを例に
科学ジャーナリストは科学技術コミュニケーターの職業の一典型です。科学に関する情報が複雑化・高度化する中で、その役割の重要性は増しているはずですが、現状では残念ながら十分な役割を果たしているとは言えない部分もあります。NHKの医療・災害担当記者としての経験をもとに、科学技術コミュニケーターが社会の中でどのような役割を求められているか、科学ジャーナリズムをめぐるいくつかの具体例を通して考えます。
隈本邦彦(江戸川大学 教授)
6/18 実践入門
CoSTEPの実践活動を紹介しながら、必要とされる基本的なマインドやスキルについて解説します。良い食材を使っても、調理と盛り付けがイマイチでは料理は台無しです。アイデアを形にし(企画)、レシピを作り(構成)、コミュニケーションをとり(協働)、美味しそうに盛り付ける(デザイン)。これらの実践プロセスでそれぞれ培われてきたCoSTEPのノウハウを、今年度の実践活動の指針にできるよう(過去の失敗も包み隠さず)お話します。
早岡 英介(北海道大学CoSTEP 特任准教授)

 

 

モジュール2/表現とコミュニケーションの手法

科学技術コミュニケーターとして必要な、様々な表現とコミュニケーションの手法について学びます。

6/25 プレゼンテーションの考え方
学会発表やアウトリーチなど、様々な場面で活用できるプレゼンテーションの基本的な考え方を解説します。 自分の伝えたいことをただ伝えるだけではなく、「伝える相手に対する想像力を養うこと」の重要性を理解してもらうことをこの講義の第一の目的とします(細かいテクニックについて言及することが主眼ではありません)。このことは、単にプレゼンテーションに留まらず、科学技術コミュニケーション全般に通じる基本的な理念であると考えます。
石村源生(北海道大学CoSTEP 准教授)
7/2 サイエンスライティングの基礎
科学技術コミュニケーションにおいてライティングは重要かつ基本的なスキルです。科学や技術に関する話題を伝えるためのサイエンスライティングでは、科学的な事実を正確に書くだけではなく、読者対象やメディア、社会的な状況を考慮した上で、何を伝えるかを明確にしなければなりません。サイエンスライティングの理科教育における意義と役割、および出版界におけるサイエンスライティングへのニーズについても解説します。
葛西奈津子(北海道大学CoSTEP 客員准教授)
7/16 映像メディアと科学技術コミュニケーション
科学技術コミュニケーションに特化した映像制作手法があるわけではなく、科学番組であれ、科学解説CGであれ、ベースは共通したロジックに基づいています。そうした映像コンテンツ特有の「文法」とはどのようなものか解説します。さらに大事なことは、研究者や科学技術コミュニケーターが、映像表現をどのように自らの活動に取り入れていくかという視点です。過去に早岡が制作したTV番組やCoSTEPで作った映像作品をもとに解説します。
早岡英介(北海道大学CoSTEP 特任准教授)
7/23 ウェブデザインのすゝめ
「ウェブは人の上に人を造らず人の下に人を造らず」。ウェブの世界では何らの資格を有さずとも、誰もが自由に表現活動を行うことができます。その要たるウェブサイトは効率的にユーザーに情報を届けられるツールです。科学技術コミュニケーターにとっても、重要な情報発信手段の一つといえるでしょう。本講義では講師のウェブデザイン分野における制作・運営実績を振り返りながら、円滑なコミュニケーションを実現するためのプロセスを学びます。
村井貴(北海道大学CoSTEP 特任助教)

 

 

モジュール3/学習の手法

科学技術コミュニケーターとして必要な、多様な「学び方」と「教え方」について学びます。

7/29
18:30~20:00
社会の中で新しい学びの場を創出する
複雑性・流動性の高いIT系分野の事業環境のもとでは、多様な専門性や当事者性を臨機応変に組み合わせて問題を発見し、解決していく新しい仕事のスタイルが求められる。これを実現するための人材育成と組織開発にリーダーとして取り組んできた講師がその経験を紹介することによって、受講生自身が当事者として、科学技術コミュニケーションの領域における「自らの学び方」、そして「他者にとっての学習機会の創出」のあり方について考える。
本間浩輔(ヤフー株式会社 上級執行役員/コーポレート統括本部長)
8/6 科学技術コミュニケーターの学び方
科学技術コミュニケーターは、日々学びを通じて、自らの知識やスキルや態度を向上させる必要があります。この講義では科学技術コミュニケーターに求められる「学び方」について学びます。1)何を学ぶのか、なぜそれを学ぶのか、2)どのように学ぶのか、なぜそのように学ぶのか、3)CoSTEPの講義、演習(集中演習)、実習はどのように関連しているのか、関連させればよいのかについて確認し、学びに向かう態度を身につけます。
種村剛(北海道大学CoSTEP 特任助教)
  主体的な学びのためのラーニング・ポートフォリオ
学びを教師による教育から、学習者自身による主体的な学習に転換するためには、様々な考え方やしかけが必要です。その一つが「ポートフォリオ」です。最終的な成果だけではなく、プロセスを自己評価するためのふりかえりの材料であるポートフォリオをどのような考えで、どのように作成するのか、様々な事例や簡単なワークを通して解説します。
 
*原則としてモジュール3の期間内にe-learningにて視聴すること。ただし、モジュール3の開始前に視聴することも可とする。
土持ゲーリー法一(帝京大学 教授)

 

 

モジュール4/情報の分析と行動のための計画手法

科学技術コミュニケーターとしての実践に必要な諸情報を収集・分析・評価し、意思決定を行うための基本的な考え方を学びます。

9/10
15:30~17:00
プロジェクトマネジメントの基本的な考え方
サイエンス・カフェや科学実験ワークショップのようなイベントを企画・実施したり、科学のコンテンツをわかりやすく伝えるウェブサイトを立ち上げたり、時には行政やNPO等と連携して「コンセンサス会議」「討論型世論調査」のような科学技術政策への市民参加型評価プロジェクトを構想・準備・実施たりといった科学技術コミュニケーション活動において、活動目的・目標をどのように設定し、活動内容をどのようにうまく組み立て、スケジュールを立て、役割分担をし、予算・品質・進捗を管理し、最終的な成果を生み出し、評価するか、というプロセスは極めて重要です。このようなプロセスを適切に行うこと、つまりプロジェクトマネジメントの基本的な考え方について、ビジネスの第一線で経営コンサルタントとして活躍してきた講師から学ぶ。
河瀬誠(MK&Associates 代表)
10/1 エスノグラフィーの基本的な考え方
科学技術と社会の橋渡しをする科学技術コミュニケーションにおいては、「社会」、あるいはその中の特定の対象集団というものをどのように理解するかということは極めて重要である。文化人類学・社会学などの分野で用いられてきた代表的な質的研究手法であるエスノグラフィーは、このような対象集団の理解のための効果的な方法の一つである。この講義では、質的研究・エスノグラフィーの第一人者である講師からその基本的な考え方を学ぶ。
小田博志(北海道大学文学研究科 教授)
10/15 わける事とつなげる事~データから見える「科学技術コミュニケーション」とその実際
研究者と市民は科学技術コミュニケーションをどのように捉えているのでしょうか。研究者の間には科学技術コミュニケーションに関する様々な目的や成果に関する考え方があります。質問紙調査など様々なデータから見えるその考え方の「ずれ」とその背景を解説します。複雑な社会を理解可能な要素に分割して捉える重要性と危険性、データの持つトランスサイエンス的問題についても触れたいと思います。
川本思心(北海道大学理学研究院/CoSTEP 准教授)

 

 

モジュール5/トランスサイエンス

科学技術と社会の接点に生じる現実の具体的な問題について知り、問題意識を持つと同時に、それらの事例を通じてトランスサイエンスの複雑な構造を適切に理解する思考力を養います。

10/22 どんな理由でどのぐらい技術を肯定するか?
「生命の科学・技術と社会:覚え書き」(『弱くある自由へ』収録)で取り上げられている遺伝子操作や治療、および遺伝子情報と保険の問題、『ALS 不動の身体と息する機械』『良い死』で取り上げた、人工呼吸器と生死の問題、あるいは人工透析についての事例を通じて、科学と、社会制度および価値や規範との関係について講義する。この講義を通じて、(1)生きて存在していること、(2)生きて存在することについての今ある社会の中での規範、そして(1)(2)と科学技術との関係について示す。
立岩真也(立命館大学 教授)
11/12 6年目の福島からリスクコミュニケーションを考える
福島第一原発事故によって降り注いだ放射性物質。直接的に人間に与える影響は科学的に不明な点も多いが、間接的に巨大な負のリスクを周辺地域にもたらし、今も住民の帰還を阻んでいる。事故から5年が経ち、記憶や関心の風化も進む中、科学コミュニケーターが果たすべき役割とは何か。また、見えてきたリスクの全貌はどのようなものなのか。福島の農林水産業の復興に必要なリスクコミュニケーションについて考える。
小山良太
(福島大学経済経営学類、うつくしまふくしま未来支援センター・産業復興支援部門 教授・部門長)
11/30 宇宙開発と国際政治
科学技術の粋を集めて進められる宇宙開発は、現代社会に欠かせないインフラを提供していますが、その恩恵を受ける分野に民生・軍事の境界はありません。宇宙開発の目的は、技術的側面や一国の科学技術政策に留まらず、その国の歴史や国際政治と相互に影響を与えあって定まっていくものです。競争と協調、促進と規制の間で宇宙空間をガバナンスするために、高い技術的専門性に基づいてどのような国際的議論がなされているかを紹介していきます。
鈴木一人(北海道大学公共政策大学院 教授)
  社会システム理論から見たトランスサイエンス
「科学に問うことはできるが、科学だけでは解決できない問題群」のことをトランスサイエンスと呼びます。しかし、そもそも科学自体、社会システムの中の活動の一つであると言えます。その一方で、社会全体を記述しようとする科学もあります。科学と社会の関係は、理論的にどう整理されるべきなのか、他のなにものでもない、とりわけ「科学」が問題とされるのはなぜなのか。そして、我々はこのような問題をどのような認識枠組みで捉え、どのようにそれに向き合っていけばよいのか。社会システム理論の観点からこれらの問いを整理し、受講生が自らその答えを探究していくための示唆を提供します。
 
*原則としてモジュール5の期間内にe-learningにて視聴すること。ただし、モジュール5の開始前に視聴することも可とする。
宮台真司(首都大学東京人文科学研究科 教授)

 

 

モジュール6/多様な立場の理解

科学技術コミュニケーターが多様な立場の個人や組織と連携する際に理解しておくべき、科学技術コミュニケーションに関わる主要なステークホルダーの立場について学びます。

11/26 自然科学書出版と理系編集者の役割ー良質な自然科学書をつくるための編集作法ー
「化学同人」は、雑誌「化学」を半世紀にわたって刊行し、「内容は高く 表現はやさしく」を創業時からの基本理念とする出版社である。出版社「化学同人」について、および理系編集者としての講師の自分史について紹介しながら、理工系出版社の現状と「理系編集者」の役割について述べる。また、科学書出版の未来について論考する。
平 祐幸(化学同人 顧問)
12/3
専門人材と社会を結び、キャリアを支援する
本講義では、大学院や研究機関と社会・産業界をつなぐ会社を起業し、大学院生や研究者の新しいキャリアパスを開拓・支援してきた講師の経験を紹介することを通じて、アカデミックな(特に理工系の)専門人材と社会とをどのように結びつけていけばよいのか、そのためにはどのような仕組み、制度、プレイヤーが必要なのか、今後新たに開拓しうる可能性はどこにあるのか、一方で当事者たる彼ら彼女ら自身はどのようなキャリア戦略を持つべきなのか、といったテーマについて議論し、科学技術コミュニケーターが研究者のキャリアデザインにどのように関わることができるのかを考える。
林信長((株)アカリク 代表取締役社長 )
12/10 新しいアイデアの創出法と企画実現のためのプレゼンテーション
科学技術コミュニケーターとして、新たなコミュニケーションの形態を切り開くにはこれまでにない斬新なアイデアを必要とするシーンに遭遇することがあります。アイデアにはそれを創り出すメソッドがあります。本講義ではそのメソッドの獲得を目指すと同時に、アイデアをアイデアのまま終わらせるのではなく、企画として実現するべく、集団の中で理解を得ていくためのプレゼンテーション手法も学びます。
高橋晋平(アイデア・コークリエーター)
1/7 科学ドキュメンタリーに出来ることとは
科学技術と社会の距離が劇的に変わりつつある中、どう科学と関わっていけばいいのか。NHK科学・環境番組部、スペシャル番組部ディレクターとして10年以上に渡る経験から、その手法を語る。「人工知能(テクノロジー)」「遺伝子・再生医療(生命科学)」「原発事故(社会と技術)」といった近作を通じて、取材の舞台裏や、制作の苦労話など、皆さんのお役に立つ情報満載でお送りしたい。
中井暁彦(NHK ディレクター)

 

 

モジュール7/社会における実践

社会の中で科学技術コミュニケーションの領域を意欲的に開拓されている方々を招き、これまで歩んでこられたキャリア、活動の背景、現状、課題、原動力、将来の目標などについてお話を伺うことによって、自らのコミュニケーターとしての将来展望を描きます。

1/21 デザイナーにおけるコミュニケーション
デザイナーは、ものをつくるだけでなくある問いに対する答えを探し、プロセスを設計する人という役割を担っている。国と国、異分野、立場の異なる人と人を「デザイン」でつないできた実際のプロジェクトを中心に、デザイナーに求められることや、デザイナーにできることを語る。そのことで、科学技術コミュニケーターのできることについて考えてもらいたい。
アンドレアス・シュナイダー(IIDj 情報デザインアソシエイツ 代表
1/28 「幻聴さん」のコミュニケーションと当事者研究
統合失調症などの精神障害を抱える人々が抱える困難さは、その人自身と、文化や周囲の人々との関わりに影響されると言われています。当事者が「研究」という形で自分自身の専門家となり、問題解決に当たる「当事者研究」は、コミュニケーションの本質の理解と、専門家と当事者の関係性のあり方に、大きなヒントを与えてくれるでしょう。北海道浦河町にある「べてるの家」での30年以上にわたる実践から、当事者研究が可能になる環境についてお話しします。
向谷地生良北海道医療大学 看護福祉学部臨床福祉学科 教授)
2/4 「研究者」という概念を再構築する
「独立研究者」として数学を研究する一方で、専門分野を様々な異分野、表現手段と組み合わせることで多彩な表現活動を展開する講師の独創的な活動を紹介することにより、既存の狭い枠組みに囚われた「研究者」という概念を再構築し、社会の中での研究活動、研究者のあり方についての幅広い可能性を探求する契機とする。
森田真生(独立研究者)
  科学と科学技術コミュニケーションの本質を最高のエンタテイメントに
デイリーポータルZは、日本の代表的なエンタテイメント系のウェブサイトです。単に面白おかしいネタを提供するだけではなく、日常の素朴な疑問を大まじめに「仮説→検証」というまさに科学研究の方法論によって探究していきます。一方同サイトでは、特定のコンテンツを、それを伝えるためにもともと使われていた手法とは全く別の手法によって伝えることによって、メディアリテラシーの本質に迫りながらも極めて高いエンタテイメント性を実現しています。同サイトの編集長を講師に招き、制作意図や制作過程の裏話なども交えて紹介してもらうことにより、受講生には、切れ味の鋭い科学技術コミュニケーションをエンタテイメントと両立させていくためのヒントをつかんでもらいます。

*原則としてモジュール7の期間内にe-learningにて視聴すること。ただし、モジュール7の開始前に視聴することも可とする。
林雄司(ニフティ株式会社 デイリーポータルZ編集長)