光触媒×阿部竜 その光、もっと使います。
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10第2章水からエネルギーり出す化学反応を、太陽光のエネルギーだけで起こすことができたら、水素はほんとうに、枯渇する心配のないクリーンなエネルギーになるでしょう。そんなことが、できるのでしょうか。2.2可能性が見えた太陽光で、水を水素と酸素に分解する。その可能性を世界で最初に実験で示したのは、ある日本人でした。1967年の春のことです。当時25歳で東京大学大学院工学系研究科の学生だった藤嶋昭さん(現在、東京理科大学学長)は、当時助教授だった故本多健一さん(1925–2011)のもとで、金属に光をあてたときにどのような反応が起きるかを研究していました。藤嶋さんは、図2.2のように酸化チタンとプラチナを組み合わせ、酸化チタンに光をあてたときの反応を試してみました。酸化チタンは、今までの研究で使われていた金属とは違う、強い酸にも強いアルカリにも溶けないという安定した性質を持っていることが知られていたので、今までの研究とは異なる反応が起こることを期待したのです。酸化チタンに光をあててみると、通常の水の電気分解のときよりずっと低い電圧で(あるいは酸化チタンの側をアルカリ性、プラチナの側を酸性にすると)、酸素と水素が発生しました。

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