光触媒×阿部竜 その光、もっと使います。
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24第2章水からエネルギーを飛び越えて上の帯にジャンプできるだけのエネルギーを光から受け取る必要があります。これが、可視光では困難だったのです。紫外光を浴びると日焼けをしますし、紫外光を浴びすぎると皮膚がんの原因になったりもします。でも可視光では日焼けしません。これは、紫外光にくらべ可視光ではエネルギーが小さく、紫外光のように細胞に大きな損傷を与えることがないからです。量子力学という物理学理論によると、光は波であると同時に、粒子としての性質ももちます。そして一つひとつの粒子は、質量はないのですが、光の振動数νに比例したエネルギーE=hνを持ちます(hはプランク定数と呼ばれる定数です)。波長が長いほど振動数が小さいという関係がありますので、紫外光に比べ波長が長い可視光では、一つひとつの光子のエネルギーEが紫外光に比べ小さく、しかも赤い色に近づくにつれ小さくなります。このため、仮に紫外光が電子に禁制帯を飛び越えさせることができたとしても、可視光ではそれが難しい、ということになるのです。でも、難しいというだけであって、不可能なわけではありません。ですから、世界中の研究者たちが、可視光でも光触媒が働くようにする(水を光分解できるようにする)という課題に挑戦を始めました。

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