光触媒×阿部竜 その光、もっと使います。
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3.2光合成をまねる29触媒)と、水から水素を発生させる光触媒(二つ目の触媒)とを組み合わせ、その間に別の物質(イオン)を介在させることで、二つの触媒が連携して働くようにするのです。介在するイオンは、スペースシャトルが地上と宇宙との間を往復して宇宙飛行士や機材を運ぶように、姿を変えつつ(IO−3←→I−)二つの触媒の間で電子を運ぶいわば「シャトル便」の役割をします。*3それぞれの触媒で、電子をエネルギーの高い状態にジャンプさせるために必要な光のエネルギーは、酸素と水素の発生を一挙に行う場合に比べて小さくてすみます。ですから、紫外光に比べエネルギーの小さい可視光でも十分なのです。いわば、高いところまでボールを投げ上げるときに、中間の高さの人に中継してもらうようなもので、一人ひとりはそれほど高く投げ上げることができなくてもいいのです。阿部さんは、光触媒に可視光をあてて2段階方式で水から水素と酸素を同時に発生させることに世界ではじめて成功し、2001年にそのことを発表しました。図3.3のグラフは、その2段階方式で水を分解し水素と酸素を発生させたときのものです。水素と酸素の量が時間の経過とともに増えていき、ずっとほぼ2:1の割合を保っ*3ちなみに、このIO−3イオンやI−イオンには、逆向きに進もうとする反応をうまい具合に抑え込み、長い時間にわたって安定的に水を分解できるようにする、という働きもあります。

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