光触媒×阿部竜 その光、もっと使います。
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3.2光合成をまねる31プンやグルコースなど、いわゆる糖質です)を作り出し、他方では水を分解して水素と酸素を大気中に放出する(このときにできる酸素のおかげで、私たちは地球上に住むことができています)という、植物の仲間が行なっている一連の化学反応、それが光合成です。光合成は、主に植物の葉で行われます。光合成を行う植物の細胞には葉緑体という小器官があり、その葉緑体の中にはクロロフィル(葉緑素)という色素が含まれています。クロロフィルは光のエネルギーを吸収して、光合成に必要なエネルギーを獲得する役割をしています。太陽の光には、いろいろな色の成分が含まれているという話をしました(第2.4節)。クロロフィルは、その光の中から主に赤と青の光を吸収します。その結果、吸収されずに残った色の光が反射して私たちの目に届き、葉が緑色に見えるのです。言い換えると、植物は赤や青など、紫外光よりも波長の長い(エネルギーの小さい)可視光を吸収して、そのエネルギーで光合成という化学反応を行っているのです。阿部さんたちが、2段階方式での成功を論文で発表するときに「光合成におけるZ機構を模倣した、可視光照射下での光触媒による水分解の新しいシステム」(2001年)と題したように、2段階方式での水の光分解は植物の光合成を巧みに模倣したものになっています。この「2段階方式」には、可視光で水を分解できること

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