フレッシュアイズ


#75 日本の良さを世界へ発信~古典に学ぶ、研究の姿勢とアプローチ~(書籍紹介)

2016年12月19日


先端の知見を探求している研究者も、さまざまな本やコンテンツに大きな影響を受けてきました。前回、コンテンツツーリズムについてお話いただいた山村先生に、『ぜひ大学生に読んでほしい一冊』『私の分野で今 Hot ! な一冊』『私の人生に影響を与えた一冊』を紹介してもらいました。「一冊」の枠にはまらない、山村先生ならではのコンテンツも含まれています。

【木村 綾子・工学部1年/森松はるな・総合理系1年】

 

 

 

安岡正篤『人生をひらく活学:現代に生かす東洋学の知恵』 PHP文庫

 

儒教(儒学)から発生した学問である朱子学や陽明学について書かれた本です。儒教は2000年以上前に中国で発生し、東アジア各国に強く影響を与えてきました。朱子学や陽明学も中国で生み出されましたが、日本に伝わり、その後、日本独自の発展をしてきました。そういった意味でこの本は、アジアを見るときの面白い歴史の切り口の一つになるかもしれません。また、中国の古代思想の入口的な本にもなりえます。

 

私は中学生のときにこの本に出会い、それ以来、この本を自分のバイブルとしています。感銘を受けた節は、『功利的学問は学問にはあらず』というところです。『何のために勉強するのか?』という問いかけを繰り返して、学問のあり方が説かれています。学問というものは人間の自然もって生まれた性質や仕事をより立派にしていくためのものと、研究者・教員として肝に命じています。
 

 

Philip Seaton&Takayoshi Yamamura. 2015 'Japanese Popular Culture and Contents Tourism', Japan Forum Special Edition(27.1),pp.1-11(1 March 2015).
 

ジャパンフォーラムという英国日本研究学会が定期的に出している学会論文集に2年前特集号として掲載された論文です。コンテンツツーリズム特集が掲載されたのは世界初のことで、作成するのに2年かかりました。日本のポップカルチャーとコンテンツツーリズムについてのイントロダクションの部分を、お勧めの本として紹介させていただきます。全文英語なので、執筆時相当苦労しましたが、コンテンツツーリズムの論文に興味のある方、英語論文に関心のある方はぜひ、読んでみてください。

 

 

ジャッキーチェン『ドランクモンキー酔拳』1978年版
 

映画といえばハリウッドかフランス映画という時代に、低予算で作られたエンターテイメント性のある香港映画です。ロケ自体はチープなのですが、ストーリーのテンポの良さや笑いと感動がふんだんに盛り込まれています。

 

中でも、ジャッキーが赤鼻ひげの師匠と酒に関する漢詩の一説を言いながら酒を飲みかわすシーンは、映画史上に残る名シーンだと思っています。この漢詩に出てくる人物や出来事は、李白などの漢詩が元ネタとなっていて、そういう文化的なものがエンターテインメントに活かされている映画です。残念ながら日本語の吹き替え版ではその部分の訳がかなりはしょられてしまっているので、中国語を習って原作を観てみると面白いと思います。

 

(先生の研究室には、とても多様な資料やコンテンツが集められています。)


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この記事は、木村綾子さん(工学部1年)、森松はるなさん(総合理系1年)が、全学教育科目「北海道大学の“今”を知る」の履修を通して制作した成果物です。

 

 


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