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#26 星の誕生を見つめる、北大の電波望遠鏡(2)

2013年02月12日

 

苫小牧研究林のなか、中央道から細い道に入って坂を登ると、ありました!

丘の上に電波望遠鏡、30メートルほど離れたふもとに観測室があり、ここに高度な機器が設置されています。

 

 

徂徠さんの案内で、さっそく電波望遠鏡のパラボラアンテナに向かいました。

 

 

パラボラアンテナ

 

家庭にある衛星放送受信用のパラボラアンテナは、“お皿”全体が1枚の金属板でできていますが、電波望遠鏡のアンテナは口径が大きいので、台形型の小さな金属板をたくさん並べて口径11メートルの“お皿”を作っています。

 

 

いよいよ、“お皿”の上に登ります。アンテナを真上に向けて“お皿”を水平にし、中心部の金属板を1枚、ボルトを外して開け、そこから上に登ります。

 

 

(天気のよい日は、ここから太平洋が見えるそうです)

 

 

この“お皿”の掃除も、徂徠さんたちの大切な仕事です。埃やカラスの糞で汚れますし、ときにはコケで緑色に染まることもあるそうで、毎年秋、観測を再開するに先だち、研究室のメンバーがここに登って、白い車用のカー・シャンプーで洗います。

 

天体からの電波は、“お皿”=「主鏡」で前方の焦点に向けて反射されますが、その途中に円形の「副鏡」があり、それで再び後に反射されて、出っ張り部の中にある「ホーン」と呼ばれる装置に集められます。

 

 

 

受信した電波を、観測室へ送る

 

集められた電波はとても微弱なので、「低雑音増幅器」で増幅します。この増幅器が雑音(ノイズ)を発すると、せっかくの天体からの電波が台無しになってしまうので、どうしても避けられない雑音(熱雑音)をできるだけ小さくします。そのために電子回路を、圧縮したヘリウムを急激に膨張させマイナス260度ほどまで冷やしています。

 

(低雑音増幅器が設置されているあたりの様子)

 

 

アンテナで受信した電波は、丘のふもとの「観測所」まで光信号として送られてきます。その後、再び電気信号に戻して、写真にあるような機器で科学的な解析を進めます。

 

 

 

もう一つの観測方法

 

苫小牧の電波望遠鏡は、これ単独で観測するほか、別の場所にある電波望遠鏡といっしょに、同時刻に同一の天体を観測し、それぞれで受信した電波を「干渉させる」という方法でも観測しています。この方法を使うと、特に2つの電波望遠鏡の距離が離れていると、高い解像度のデータを得ることができます。

 

苫小牧の望遠鏡を単体で使った場合は、満月を1/7~1/8に区切った程度の広がりを “見る” ことができます。でも「干渉させる」方法を使うと、満月を180万分の1ほどに区切った広がりという細かいところまで “見る” ことができます。

 

(GPSからの時刻情報を受信する装置。正確な時刻から、100万分の2秒ほどしかずれていません。)

 

 

「干渉させる」方法の場合、観測の時刻を精確に知る必要があります。そのためにこの施設では、原子時計と、GPSからの時刻信号を受信する装置とを、組合わせて使っています。万が一停電しても原子時計を24時間は動かし続けられるよう、無停電電源装置も備えられています。

 

 

※ ※ 取材後記 ※ ※

 

電波望遠鏡は、大きな歯車で動く重量感あるアンテナと、精細な電子機器とが組み合わさってできているんですね。次回は、大学に電波望遠鏡があることのメリットなどについて、話をうかがいます。

 

(望遠鏡の向きを上下方向に変えるときに活躍する歯車)

 

 

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