フレッシュアイズ


#114 本から学ぶ~私の思う面白さ~

2018年08月24日


前編では、土橋さんの研究について深く掘り下げました。今回は、その研究に影響を与えた書籍を紹介します。土橋さんが、学生時代に読んでいた雑誌『BURRN!』、今CGを学ぶ学生に読んでほしい『CG MAGIC:レンダリング』、これから学生に読んでほしい『白い巨塔』の3冊を取り上げます。

【石井碩生・総合理系1年/松久知優・総合理系1年/山本穂乃香・文学部1年】

 

 

人生を楽しむための1冊
『BURRN!』 発行人 草野夏矢 編集人 広瀬和生 (シンコーミュージック・エンタテイメント)


大学時代、ギターに熱中していた土橋さん一押しの本は、洋楽を中心にヘヴィ・メタルやハード・ロックを紹介する音楽雑誌『BURRN!』です。『BURRN!』と共にバンドに明け暮れた日々が土橋さんの人生に与えた影響は二つありました。
一つはバンド仲間との出会いです。仲間と弾くギターは最高に楽しくその魅力にどんどん惹かれ、ひたすら練習したと言います。ライブをしたりスタジオに行ったりすることも楽しかったそうです。
そして、現在の音響シミュレーションに関する研究をしようと思ったきっかけもバンドの影響が少なからずあるそうです。研究を進めるにつれて音の面白さにとりつかれ今に至ります。

「僕がバンドを好きなのはオリジナリティーを重視するからだよ。自分のオリジナリティーは何だ?というのを大事にしたくてね。特にAC/DCというバンドが好きですよ。すごいストレートで男臭いのがシンプルで大好きですね。シンプル イズ ザ ベスト です」と土橋さんは言います。

『BURRN!』に掲載されているミュージシャンのように、人とは違う個性を示すことがオリジナリティーです。そのためには、自ら行動を起こし、自分の活動の「面白さ」を表現して、人に伝えることが必要なのです。

 


知識を深めるための1冊
『CG MAGIC:レンダリング』 倉地紀子 著(株式会社 オーム社 )


この本は、最新のCG技術のうち、特にレンダリングについての詳細な説明を紹介しています。レンダリングとはCGで形成した立体物に色や影をつけることで、作品によりリアリティを与える技術です。
世界中の優れた研究者たち本人への取材を基に書かれた本であり、普段知ることのできない技術開発の裏にある物語なども書かれています。
数あるCG技術に関する書籍のなかで、なぜ土橋さんはこの本をお勧めするのでしょうか。その理由を聞いてみました。
「この本は、著者の倉地紀子さんが、世界で活躍する様々な研究者に直接コンタクトをとって書いた本です。そのため興味深い研究エピソードが多く載っています。CG技術を勉強する際に大きな助けとなる一冊なんです」と土橋さんは言いました。
最先端のCGを研究する人にとっては、教科書のような本です。しかしCG初心者の私にとっては本の中身はかなり高度なもので、試しにパラパラと読んでみただけでも複雑な数式やプログラミング言語が連なっており、理解するにはもっと勉強しなければならないという印象を受けました。本の内容を把握するためには、まず先に少し易しい、基礎的な本を読んでおくことが大切だそうです。
CG技術のなかでも『レンダリング』についての知識をより深めたい人にお勧めの一冊です。

 

 

息抜きのための1冊
『白い巨塔』 山崎豊子 著 (新潮文庫)


『白い巨塔』では、主人公の国立大学第一外科助教授、食道噴門癌の若き権威、財前五郎が教授の座を巡って壮絶な戦いを繰り広げます。土橋さん、お気に入りのキャラクターも財前五郎。特に印象的だった場面は、彼の最期です。財前は胃癌を患い、遺書を残して人生の終わりを迎えます。その遺書には、自らが癌治療の第一線にいるにも関わらずその病で死ぬことを恥じ、自分の体を提供するので、解剖して病理学に役立ててほしいという趣旨の内容が書かれていました。土橋さんは、それまで財前を教授の座を奪い取るために様々な工作をする腹黒い人物であると思っていました。しかし、このシーンを読み、一転して「かっこいい!」と感じたそうです。財前の根性を自分には真似できないと称賛していました。
『白い巨塔』の作者である山崎豊子さんは他にも「面白い」作品を残していて、土橋さんは特に『不毛地帯』を推していました。山崎さんの作品は、人間関係がきめ細やかに描写されており、そこに深い味わいが感じられます。
土橋さんからのメッセージは、自分の好きな本を読み「面白い本」を自ら判断することが大切であるということです。そうした本でなければつまらなく、記憶にすら残りません。楽しい本は、私たちをリラックスさせ、新たなアイディアを生み出すきっかけを与えてくれるのかもしれません。

 

 

<インタビューを終えて…>
土橋さんは、研究と書籍どちらにおいても、自分なりの「面白さ」を感じ、それを楽しんでいることが、今回の取材でわかりました。みなさんも、日々のなかで自分が面白いと感じたものを大切にして過ごしてみると、これまでよりも生活が鮮やかなものとなり、新たな世界が広がるかもしれません。

 

 

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この記事は、石井碩生さん(総合理系1年)・松久知優さん(総合理系1年)・山本穂乃香さん(文学部1年)が、全学教育科目「北海道大学の”今”を知る」の履修を通して制作した成果物です。


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