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#7 「北大の学風」の来歴を探る

2012年12月25日

七戸長生さんの『北大の学風を尋ねて』は、3つの章からなっています。

 

第1章 学風の源流を求めて

「フロンティア精神」「少年よ、大志を抱け」「都ぞ弥生」など

第2章 学風を育むもの

恵迪寮での生活や、予科や部活動が、学風をどのように育んだか

第3章 学風を担った人々

北大の12の学部の学風について

 

(ご自宅のリビングのテーブルに置かれた『北大の学風を尋ねて』)

 

 

この本を書くにあたって、どんなことに気を配りましたか

 

学生のころから、北大のいいところや、学風だ、伝統だというものを、たくさん聞かされてきました。でも書いていくうちに、それらは本当なのかなあ、と思うようになりました。人によって、言っていることが違うんです。

 

たとえば、クラーク博士が “Be gentleman!” と言ったという。だけど、誰が、いつ、どういうときに言ったのかとなると、バラバラなんですね。とりわけ札幌農学校の頃のことについては、誤って伝えられていることがたくさんあります。

 

恵迪寮や、部活動、研究室などで言い伝えられ、増幅されてきたんです。そういうプロセスをたどり、系譜にまとめる必要があると思いました。いろいろ調べながら書いていき、あしかけ3年かかりました。

 

(書斎にて)

 

 

この本を書こうと思ったきっかけは

 

私は、戦後まもない1948(昭和23)年に、北大の予科に入りました。不遇だったと思っていたけど、今の人たちに比べ、恵まれていた点もあったんだなと思うようになりました。それで、自分が学んだころの大学について、特色や特徴を書いてみようと思ったのです。

 

最初は、感想文みたいで、どうも迫力がでない。「学術的に」とまではいかなくても、根拠がしっかりしていなければと思い、4・5回書き直したでしょうか。娘や息子たちから、「誰に読んでもらうつもり?」などと野次もきました。

 

「自分たちの学んだ北海道大学には、こういう特色があったのか。」 読んだ人たちからそんな感想が届いて、嬉しく思っています。“Be gentleman”なんてのは、そうかっこいい話じゃなかった。そういうことがあからさまに書いてあるのも、かえってよかったのかなあ。

 

(原稿は鉛筆で原稿用紙に書き、それを娘さんにパソコンで入力してもらったそうです。)

 

 

いまの北海道大学にも、かつての「学風」が受け継がれていますか

 

表紙の裏に、いまの北海道大学が掲げる教育目標を、学部ごとに示しておきました。どの学部もそれぞれに、学風を受け継いでいるなあと思います。

 

私は、理系だと思って勉強しているうちに、農業経済という文系的なものがたいへん面白くなって、それを専門にするようになりました。人は勉強してい く過程で、情報が増え、学問の特色もわかってくる。だから、文系から理系へ、理系から文系への「振れ」が許され、敗者復活もできる仕組みは、温存したいな あと思いますね。

 

いまでも北大では、入学したら卒業するまで、専門が鋳型のように決まっているわけではない。それが、良きにつけ悪しきにつけ、北大の特色なんだろうな。そういう可塑性を追究したい人にとって、北大はいい大学だと思います。

 

 

 

水泳部で活躍されたそうですね

 

部員が少なくて、大学院の修士課程まで続けました。400メートルの選手だったんだけど、800メートルと1500メートルもやらされて、毎日3000メートルぐらい泳いでいたかな、魚でもあるまいに。

 

その経験があってだと思いますが、意志の強さというか、やると決めたときにはやる、というところがあります。40代の半ばだったでしょうか、1日に40本ほど吸っていたタバコをバッサリやめました。かみさんも、あらためて尊敬するようなそぶりを見せました。

 

この本を書こうと思ったときと同じで、急に思い立って。気まぐれなんですね。

 

(今年82歳の七戸さんは、いまお一人で暮らしていらっしゃいます。自宅の玄関前の除雪を一人でなさるほどにお元気で、私たち取材陣には、台所に立ってコーヒーを淹れてくださいました。)

 

 

※ ※ ※ ※ ※

 

七戸長生(しちのへ ちょうせい)さんの略歴

 

1930年 青森県十和田市に生れる

1958年 北海道大学大学院農学研究科 博士課程を修了

1972年 農林省農業総合研究所研究員を経て、北海道大学農学部助教授

1983年 同 教授

1994年 北海道大学を定年退官

1994年 酪農学園大学酪農学部教授

1999年 市立名寄短期大学学長

2002年 同上 退官

 

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