ようこそ先輩


#23 船越ゆかりさん(北海道放送株式会社)

2015年01月21日

「北海道放送の船越ゆかりです。よろしくお願いいたします」。

 

アナウンサー、船越ゆかりさんの声が約100人の学生が座る教室に伸びやかに響き渡ります。大きすぎず小さすぎず、心地よい音色です。

 

1980年に経済学部を卒業し、北海道放送(HBC)にアナウンサーとして入社。現在はコンプライアンス室兼番組審議会事務局長シニアマネージャーという、放送局の法令遵守に厳しく目を光らせる立場にいます。一方昨年末まで、大好きなゲームについて熱く語るラジオ番組を8年以上担当するなど、多彩な顔をお持ちです。さまざまな立場で放送局にかかわってきた船越さん。「放送局の仕事~アナウンサーの視点から~」と題して、きっかり60分間、講義をされました。

 

 

テレビ現場の裏側

 

テレビを見ると、アナウンサーの姿しか見えませんが、見えないところに大勢のスタッフがいます。例えば、午後の番組「今日ドキッ!」のスタジオには、音声、照明、メイク、美術、ADなどが15人ほど、別の部屋にはディレクター、タイムキーパー、カラー調整等のスタッフ10人、お天気の中継場所には10人ほどがいて、合計40~50人ほどがかかわっています。番組制作は、チームワークが大事なのです。

 

(1/11放送の番組「神がかりハプニング」の映像も交え話が進みます)

 

 

アナウンサーの仕事とは

 

とても不規則な仕事です。早朝のニュースを担当する場合、ラジオは4時30分、テレビは5時にマイクの前に立てるスタイルで出勤しなくてはいけません。午後の番組担当であっても、午前中は取材に出ていることも多いので、朝から出勤です。夜は0時を回ることもあります。しかも災害、事故などは、緊急呼び出しがあります。中でも大災害は全員で取材にあたります。アナウンサーは、肉体労働です。マイクの前に体を運べないと仕事になりませんから、健康管理はとても重要です。

 

アナウンサーは、自己表現できる仕事の1つと考えています。女子でも男子でも、人が違えば伝わり方は違います。20代の私と今の私では、表現できることが違います。その「表現することにかかわる」ことへの面白さや魅力がありますね。

 

 

北大とのかかわり、番組へのこだわり

 

大学時代は、経済学部を卒業しました。当時の学びが、就職してから役に立ったかというと、あまりそんな気はしないですが(笑)、でも、今から約30年前、1983年に始まった「北海道大学放送講座」を担当したことがきっかけで、北大とのかかわりを持つことができました。

 

HBCは民放局なので、通常はコマーシャルを入れて番組を構成するのですが、この講義番組は、コマーシャルなしの45分番組でした。当時苦労したのは、教授陣にテレビの仕組みをわかっていただくこと、学術用語の言い換え、私自身の内容の理解でした。

 

番組を作るうえで、アナウンサーである私の大事な仕事は、「時間を守る」ことです。今や、バラエティ番組などでは、多めの時間収録し、面白い部分のみをつないで編集しますが、私は、全体の流れを大事にして、NGを出さないように心がけています。

 

あるとき、VTRのスタートが1秒遅れたことがありました。これはNGです。もう一度教授にきっかけ出しをしてもらう必要がありますが、この時教授がおっしゃったのは「1秒遅れたって、誰にもわかりませんよ」。視聴者にはわかりにくいこの秒単位の進行が、放送局では大切なのです。

 

 このときの縁で、今でも北大からホームカミングデーの司会や、鈴木章先生との対談などでお声がけをいただいています。

 

 

きっかり60分の講義後は次々に手が挙がり、授業終了の時刻が過ぎても行列ができ、船越さんへの質問が続いていました。

 

以下質問の抜粋:

・早起きするにはどうしたらよいか

・就職試験のときの作文は何をかいたのか

・日ごろどのような喉のケアをしているのか

・テレビ局は文系理系どちらの割合が多いか

・テレビとラジオで話すときの違いはなにか

・今だからできる表現とはどういうものか

 

船越さんの回答

・振動でおきる目覚まし時計を使うようになってから、一度も寝坊したことはありません。

・何を書いたかは忘れましたが、おそらく面接官は、あなたが文章を書けるかどうかを見ているのではないでしょうか。

・手洗いうがいです。それでも心配なときは、吸入器を使っています。

・カメラマンや技術職は理系出身ですが、文理、半々くらいでしょうか。

・テレビは「みなさん」に向かって話しますが、ラジオは「あなた」に向かって話すということですね。

・たとえば、「夕日」を表現するにしても、これまでにさまざまな夕日を見てきました。その経験値が表現の引き出しを多くしていると思います。

 

 

どの学生に対しても、にこやかに丁寧にお答えになっていた船越さん。就職活動中には、女子の求人が少なく、壁にぶち当たったそうですが、HBCに入社し、結婚、出産、子育てという「女子」ならではの経験もされながらキャリアを積み重ねた姿は、女子学生達にも勇気を与えてくれたような気がします。

船越さん、ありがとうございました。

 

 

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船越さんが講義したのは、全学教育科目の「大学と社会」です。次回の講師は法学部出身の井上 治氏(牛島総合法律事務所・弁護士)です。お楽しみに。

 

 


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