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#9 清水兼悦さん

2013年07月19日

 

札幌山の上病院で、リハビリテーション部長と執行理事を兼任する、清水兼悦さん。医療技術短期大学部 作業療法学科(現在の医学部保健学科作業療法専攻)出身です。

 

 

不良少年が生き返った、恩師の言葉

 

私は、現在の札幌市二条市場の近くで生まれ育ちました。当時は札幌市内で馬に出会ったりするような、のどかだった時代でした。札幌西高校に進学し、「R&B研究会」に所属して音楽やパチンコなどの娯楽に夢中になりました。成績は下がる一方。一年浪人して、北海道大学に入学しました。

 

 

 

作業療法学科を選んだのは、「リハビリテーション」という聞き慣れない言葉に魅力を感じたから。単位を落としたり、授業をさぼって遊びにでかけたりする不良学生だったのですが、ある日、教授に「お前みたいなヤツが(リハビリテーションを行う人として)いいんだ」と言われました。今まで「お前はダメなヤツだ」と言われ続けていた私にとって、とても印象的な出来事でした。その言葉をきっかけに、勉強をやってみる気になり、はじめて見るとこれが面白い。最終的には総代で卒業することになりました。

 

きっと恩師は、「リハビリが必要な人に寄り添うとき、高校・大学時代に得た様々な経験が生きる」と思っていたのだと、今になって思います。

 

 

「良寛、銭を拾う」

 

良寛というお坊さんが「銭を拾うのは楽しい」という話を聞き、自分で落として拾ってみるもののぜんぜん楽しくない。だまされたと思いながら何回かやっていると、落とした銭が転がってどこかに行ってしまった。必死で探して取り戻した時、はじめて言葉の意味が分かる、と言う話です。

 

他人の落とした銭を拾うのではなく、自分が持っていた銭を失い、それを取り戻す。その楽しさや嬉しさは格別のものです。リハビリテーションはこのことと同じです。失って初めてそのありがたさに気がつくのです。リハビリテーションを専門としているのは、理学療法士、言語聴覚療法士、作業療法士の3種類。看護士のように、患者に寄り添って安心を与えるのではなく、ときには叱咤激励もしながら生活できるように支えていく、父親のような役割を持っているのです。

 

 

 

うまく行かない時は、頑張ることをやめてみる。

 

「セリグマンの犬」という実験を知っていますか?

 

犬Aには、足を動かすと電気ショックが止まる装置を、犬Bには電気ショックを止める方法がない装置をつけます。犬Aは電気ショックを感じると足を動かして止めることを学習しますが、犬Bは色々やっても止まらないので、諦めて動かなくなってしまいます。ここで次の実験。予告信号の後に床から電気ショックを与えます。犬のいる部屋は低いカベで仕切り、予告信号の後に壁を飛び越せば電気ショックから逃れられるようにします。Aの犬の多くは、壁を飛び越してショックから回避することを学習しますが、犬Bの多くは回避するための挑戦をしないのです。

 

これは「学習無力感」と呼ばれます。頑張ってもうまく行かなくて「学習無力感」に襲われた時は、一度、努力をやめ、新しい観点を持ってから取り組み直すとよいと言われています。もし友達が困っていても、「頑張れよ」なんて言っちゃいけません。頑張ってもできないから困ってるんです。そういうときは、飲みに行ったり、遊びに行ったり、一緒にできることを見つけて励ましていくと良いでしょう。

 


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