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ご支援いただいた皆さま

CoSTEP:もう一つの科学的思考

    津田 一郎
    北海道大学電子科学研究所教授 数学連携研究センター長

     私のCoSTEPとの関わりは、第52回サイエンス・カフェ札幌「コミュニケーションする脳!?― 脳をカオスで語る ―」(2010年7月24日(土)開催)を通じてであった。その頃、科研費の新学術領域研究においてコミュニケーション時の脳活動の数学解析を主題にして研究を行っていたので、サイエンス・カフェのお誘いをCoSTEPから受けたときは、渡りに船という感じでもあった。カオス力学系、脳、コミュニケーションというそれぞれが難しい三つのテーマを一つにしてわかりやすく一般の人たちに解説するというのは、大変興味をそそられることであったが、またどういう具合に話を構成すれば最も効果的かというのは難問だった。
     CoSTEPの担当受講生と話をしているうちに、そもそもこれは難問という与えられた問いではなく、まさにコミュニケーションの中に発生する“場”によって人々の脳がつながり、それぞれが新しい人として分化し再生する過程そのものがそこに発生することに意義がある、と感じるようになった。これはまさに、担当受講生とのコミュニケーションによって私自身が再生したことによる感覚であった。こういう感覚を持てるから、学生さんたちとの対話は面白い。CoSTEPの考え方、構想力、組織構成力にはとても感心させられた。北大ならではの人財育成の一つの方向性を示しているようにも見える。
     ヨーロッパでは新聞紙上で一流の学者と一般読者が議論をする記事を載せることがよくあると聞く。科学を産み育ててきた場所ならではの事と大いに感心していたが、日本では新聞はそのようには機能していない。だからこそともいえるが、サイエンスコミュニケーターが日本には必要であろう。また日本の風土にもあっているのかもしれない。議論を戦わせて鋭く自然の摂理を抉り出す科学的思考を専門家同士だけではなく専門家と一般の人々との間にも成立させてきたヨーロッパと、そもそも議論を突き詰めない日本社会では科学の社会への浸透の仕方はおのずと異なるだろう。サイエンスコミュニケーターの存在は日本のような社会にこそ必要なのかもしれない。
     CoSTEPのますますの発展を心より期待しています。