2015年01月15日

授業レポート

「ワークショップ デザイン―“協働化”の手法」12/20 井澤友郭先生の講義レポート

今回の講義では、ワークショップデザインについて井澤友郭先生(一般社団法人公共ネットワーク機構/大阪大学大学院工学研究科招聘研究員)に、お話しいただきました。

 

講義は「ワークショップと聞いて、どんなことを思い浮かべますか?」という問いかけから始まりました。井澤さんの所属されるこども国連環境会議推進協会では、インフォーマルな教育を行っています。座学としての講義ではなく、ワークショップを10年間おこなってきました。

 

 

目的は「持続可能性の知識の普及啓発」「コンセンサス型リーダー育成」

 

ワークショップは市民権を得た教育方法となり、企業のCSR活動でも多く取り入れられるようになりました。しかし、企業の宣伝で終わってしまうことも少なくありません。2003年から「持続可能な開発に向けた教育(ESD)」プログラムの普及事業、ファシリテーターの育成など人材育成に携わってきました。年間50回以上、課題解決やキャリア形成に関するワークショップを開催しています。

 

持続可能な未来シナリオを作ることで、将来の世代のニーズを満たす能力を損なうことなく現代の要求を満たしていくことができます。世界の人口はいま増えていることを知っていますか。世界的にみると、これから人口は増加していき、その95%以上は途上国が占めます。人口が減っていく先進国と途上国との問題は、今後乖離していくでしょう。

 

 

環境問題とジレンマ

 

都会の子どもたちは、大きくなってレンジャーや環境に関わる仕事につくわけではなく、殆どの場合、企業に努めます。そのときに、利益を上げる必要のある企業と、環境を守ることはイコールではなく、そこには矛盾が生まれます。わたしたちのワークショップでは、環境問題に対して、社会的な問題を解決することと、企業が儲けることのジレンマを体験させます。

 

 

 

グループ主義であり、個人主義。個人の意見を大切にする日本人

 

ここからは、社会の持続性よりも、個人の持続性にクローズアップしていこうと思います。ワークショップは、仲間づくりのための他者理解と合意形成のエクササイズです。他者理解とは、「違いを発見する、違いを受け入れる、違いを楽しむ」ことであり、合意形成とは「正解ではなく「納得解」を見つける」ことです。

 

欧米は個人プレーで、日本はチームプレーが得意だと思いますか。欧米はチーム主義で、日本人はグループ主義であり、かつ超個人主義だとは思いませんか。評価をするにしても、個人評価するのが日本人、欧米はチーム評価を行いますね。日本人は少し意見が違うと守りに入ってしまうのではないでしょうか。

 

 

なぜ企業連携のワークショップをしているのか

 

日本はこれからの20年人口が減っていきます。今ある職業も35%しか残らないと言われています。これまで正解だったものが、これからも正解かというとそうではありません。自分で新しいものを見つけて行かなければならない。そういったこともあり、ワークショップを通してチームで考えていくようにしたいのです。多様性のある環境はストレスですが、同じような人間が集まっていても新しいアイデアは生まれません。多様性がある方がいいものが生み出されるという研究の結果も出ています。

 

 

 

「ストーリー」を作ることが大切

 

時代とともに、求められる商品の質は変わります。昔は、機能性が一番に求められました。20年前には機能とともにデザインも求められるようになり、最近では、ストーリーや意味性といった文化を求められるようになってきました。すでに海外では、コミュニケーションやデザインにお金をかける文化生まれています。つまり、過剰な豊かさがもたらす新しい価値観が生まれているのです。文字数が減って、カラフルになった中高生の教科書からもそれがわかります。今は事実にアクセスするのは簡単になりました。事実を羅列しても意味がなく、そこに「ストーリー」を作れることが大切になってくるのです。

 

 

情報が刺さるプログラムを提供する

 

いま、子どもたちが「学んでいること」と、「働くこと・生きること」が乖離してきています。学校で学んでいることが、働くことや生きることに繋がらないのです。けれども、働き方や生き方について、親の事例を参考にしたくても、これまでの20年とこれからの20年は違うので参考になりません。そこで、自分たちで、自分たちなりの「働き方・生き方」を見つける力が必要になってきます。

 

学びを通して、提供する側が刺ささってほしいと思う情報が相手に刺さるようにするのはとても難しいのです。講義形式だと特に難しいと感じています。しかし、ワークショップ形式で子どもたちに成果物をつくってもらうと、これが変わるのです。ここに協働化の意味があります。企業と連携することで、子どもたちは社会との繋がりを感じることができます。国連などとしか連携しないと、問題意識の自分ごと化には繋がりません。

 

 

これまで実施してきたワークショップの紹介

 

アイスブレイクは、その後の流れを大きくかえる重要な導入です。子どもたちに既成概念を壊してもらう、大切な作業となります。学校の授業に慣れすぎて、どうやって話せばいいか考えこむ子もいます。それの枠組みをいかに外させるかがポイントで、その上で、どのようにストーリーとして発表させていくかがポイントになります。しかし、何でも子ども任せにするわけではありません。こちらからある程度のフォーマットをつくって提供します。このようにして学んでもらうことで、こちらが意図している情報が刺さるプログラムへと導きます。

 

企業は、自分たちが考えていることをきちんと理解してほしいという要望があります。私たちは、企業と連携しながらワークショップをつくります。ミッションは、必要な情報が参加者に刺さるようなワークショップを実施し続けることなのです。

 

 

今回の講義を通して、改めてワークショップのもつ可能性を確認することができました。

これからの未来をつくっていく子どもたちや私たちは、仲間とともに、自分自身で、働き方や生き方を見つけていかなければいけません。そのときに多様な価値観を受け入れ、「違いを発見する、違いを受け入れる、違いを楽しむ」ことができる人間になれるように。そして、正解ではなく「納得解」を見つけられるように。科学技術コミュニケータとして活動する中でも大切なキーワードをいただきました。井澤先生、ありがとうございました。