2020年01月19日

活動報告

2019年度メディアデザイン実習 課外特別演習「講談社に行こう!」

 

CoSTEP15期 本科・メディアデザイン実習

星崎真由美・小池隆太・川辺晃太郎・佐藤淳治・中島優花

 

2019年7月9日にメディアデザイン実習は株式会社講談社(以下、講談社)を訪問しました。講談社といえば漫画「宇宙兄弟」や、自然科学全般の話題を一般向けに解説・啓蒙するシリーズ「ブルーバックス」でおなじみです。案内していただいたのは加藤宏樹さん(広報室 担当副部長)です。今回はあらかじめ用意した質問に答えてもらいつつ、社内の施設を案内していただき、最後に宇宙兄弟5代目編集者の小見山祐紀さん(モーニング編集部)をまじえて、宇宙兄弟についてお話を伺いました。

 

(暖かくむかえていただき、感謝感激!)

 

 

大手総合出版社としての取り組み

 

大手総合出版社である講談社が扱う書籍は、絵本や幼児誌から大人向けの雑誌や週刊誌、フィクション、ノンフィクションまで多岐に渡ります。図書資料センターには、講談社が創業以来発行してきた全ての書籍の初版が保管されています。センターの扉を開けると、懐かしさを感じる紙の香りがしました。1963年に創刊されたブルーバックスの第1作目のタイトルはなんと「人工頭脳時代」。今でこそ世の中に広く浸透している人工頭脳(AI)の概念が約半世紀も前から既に存在しているとは思いませんでした。反対にいえば、ブルーバックスで最初に取り挙げられてから50年以上経ってから、ようやく技術として活用されていることになります。科学が技術として確立するまでの時間の長さを肌で感じることが出来ました。「人工頭脳時代」。ぜひ読んでみたいです。

 

(実写化・アニメ化された作品がたくさん)

 

(50年以上の歴史があるブルーバックスシリーズ)

 

(1959年発行の少年マガジン創刊号。なんと40円...!)

 

写真保存庫と講談社資料センター閲覧室も案内していただきました。写真保存庫ではジャンルや国・都道府県別に昔の写真が保管されています。閲覧室はとても日本の図書館とは思えないような西洋風の高級感あふれる内装で、驚きが止まらなかったです。

 

(高級感のある雰囲気の講談社資料センター閲覧室)

 

それぞれの施設を案内していただく中で感じたことは、大規模である一方できちんと整理が行き届いている点です。どの施設も誰でも分かる整理の仕方がされており、初めて訪れた私たちでも資料をすぐに手に取ることが出来ました。保管だけでなく活用することを念頭に置いて整理されていること、社員の方々が日頃から大切に節度を持って扱っているのではないかと感じました。

 

 

実在する内容に一つだけ「嘘」を盛り込む漫画のルール

 

宇宙兄弟の5代目編集者である小見山祐紀さんに事前に用意した質問に答えていただきました。ここでは今年度から講談社で児童文学の編集者として活動されている酒井友里さん(CoSTEP13期修了生)も同席してくださいました。

 

メディアデザイン実習のメンバーはNoMaps2019に向けて、宇宙をテーマにしたサイエンスワークショップを企画するべく、その参考資料として宇宙兄弟を読んでいます。メンバーが宇宙兄弟について特に気になっていたことは、宇宙兄弟に出てくる数々の新しいアイデアは既存にあるものをベースにしているのか、それとも宇宙兄弟という漫画を描く中で新しく生まれたもののどちらなのか、ということ。

 

(質問に答えてくださった、小見山祐紀さんと加藤宏樹さん

 

答えは後者です。小見山さんによると、作者である小山宙哉さんが考えたものや、歴代の担当編集者と相談する中で生まれたもののどちらかとのこと。というのも、宇宙兄弟のようにリアルなSFを描く作品では、実在する内容に一つだけ「嘘」を盛り込みながら、それをワクワクするものにするにはどうしたら良いか日々考えることが大切なのだそうです。その「嘘」が新しいアイデアに当たるのですね。そして、アイデアを成立させるために、3ヶ月に一度JAXAの担当者の方との相談を重ねています。しかも、JAXAの担当者によればその中には実現可能なものもあるそうです。

 

(CoSTEP修了生の酒井友里。学生時代は生物学の研究をしていたそうです)

 

 

「おもしろくて、ためになる」を実践するために

 

講談社の前身である大日本雄辯会は、1909年に野間清治によって設立されました。2019年で創業110年になります。創業当時からの社訓は「おもしろくて、ためになる」。編集者としての経験をお持ちの加藤さんに「おもしろくて、ためになる」書籍を作るために心がけている点を伺いました。加藤さんのお答えは「分かりやすく作ること」。"おもしろい"と"ためになる"は相反する性質です。分かりやすく作ることはそれら2つの性質を繋ぐことができるのかもしれません。そんな講談社では、敷居を下げて分かりやすく伝えるために経済書や古典小説が漫画で出版されています。(参考:講談社 まんが学術文庫

 

(「人口論」や「資本論」などの経済書や「罪と罰」などの古典小説が漫画家されています)

 

講談社全体では理系出身や日本以外の大学の出身、外国籍の編集者の方が多く所属する一方で、ブルーバックスの編集者は大半の方が文系出身だそうです。加藤さんによると、自然科学の複雑な内容をマイルドにわかりやすく伝えることができるのは文系だからこその取り柄です。馴染みのない内容を伝えようとなると、読む側の気持ちを想像しやすいからであると思いました。私自身は理系の分野を専攻しています。加藤さんのお話に「なるほど」と思いつつも、理系ならではの強みもきっとあるのではないかと、むしろ見つけなければいけないと感じました。それを見つけることが、今回の講談社への訪問で新たに見つけたCoSTEPでの学びの中での目標です。

 

(小宮山さんと酒井さんと一緒に。講談社のみなさま、お世話になりました!)