2020年03月03日

授業レポート

「趣味で楽しむ「日曜数学」コミュニティの広がり」(1/25) 辻順平先生の講義レポート

 

山内かな子(2019年度 選科/社会人)

 

趣味で楽しむ「日曜数学」コミュニティの広がりというタイトルで、辻順平先生に講義をして頂きました。講義では、先生の数学が好きという気持ちや、行動力を感じることができました。

 

 

好きから始まった「日曜数学」


趣味で数学を楽しむことを「日曜数学」と言います。これは、辻先生が作った言葉です。日曜数学者を名乗ることによって、趣味で数学を楽しむ人とのつながりが生まれ、日曜数学者の仲間が増えていったそうです。


ゼータ関数愛から広がる活動
 

始めに、辻先生自身の日曜数学活動についてお話して頂きました。辻先生は、素数とゼータ関数に興味があります。ゼータ関数を使うことで、素数階段を再現することができます(リーマンの素数公式)。そのゼータ関数を理解するために、辻先生は、特技であるプログラミングを活かして「素数公式可視化アプリ」を作成しました。もっとゼータ関数に親しみたくなった辻先生は、3Dプリンタで「触れるゼータ関数」を作成し、「自分だけ楽しむのはもったいない!」ということで、販売もしました。さらに、「食べられるゼータ関数」として、ゼータ関数ケーキを作成し、COOKPADにレシピを投稿しました。
このような活動な背景には、高度な数学を「自分なりの方法で」理解したいという理念があります。自身の活動を発信し、講演などを通して日曜数学仲間とつながり、日曜数学会の立ち上げに至りました。

 


日曜数学者は専門家と一般人の間


実は、日曜数学をしたい人は多いそうです。しかし、続けるのは難しい現状があります。数学的正しさを追求する数学徒と趣味で数学を楽しむ日曜数学者の姿勢は異なるところがあるそうです。日曜数学者の中には、指摘が怖いため、発信するのをやめたり、「数弱」や「すうぽよ」という言葉を使い、数学ができないという予防線を張ったりする方もいるそうです。そこで、辻先生は「数学が好きな人たちが、数学を自由に楽しめる世界を作る」ことを目的とした活動を始めました。

 

まず自分が楽しみ方の見本になる
 

ここ5年ほどで数学イベントが増え、ターゲット、方法、目的も多様なイベントができてきました。今まで閉鎖的な数学好きのコミュニティでしたが、複数のイベントに参加している人(キーパーソン)により、イベント・コミュニティ間の「ゆるく大きなつながり」が形成されました。この「ゆるく大きなつながり」によって、全国の数学好きが集まる企業主催の「MATH POWER」というイベントが開催されました。

 


ゆるく大きなつながりの力を発揮


2019年はMATH POWERが開催されないことになりました。全国から数学好きが集まり、一体となって盛り上がる「お祭り」がなくなってしまうのは、もったいない。そこで、日曜数学コミュニティのキーパーソンの方々と同様のコンセプトのイベントであるマスパーティを開催しました。日曜数学コミュニティのキーパーソンが集まって開催するからこそ実現できる新しい価値を提供するために、「数学の楽しみ方の見本市」をテーマにしました。目的は、数学が好きだけど日曜数学コミュニティの外にいる方々が、自分に合った数学の楽しみ方を見つけることです。さまざまな企画で数学の楽しみ方を示し、来場者から、「自分も数学を好きといっていいのかな」という感想を頂くことができ、辻先生たちの思いが伝わったと実感できたそうです。このイベントがあったからこそ出会えた人、話せた人がいました。大きなイベントを開催することで、様々な所で新しいつながりをつくることができました。さらに、まだ数学の楽しみ方を見出していない人たちが、自分に合った楽しみ方を見つけてコミュニティに加わったり、新しいコミュニティができたりするきっかけになりました。


自分の好きなことで、日曜〇〇をする


自分の好きなことから、活動を続けることで、仲間とつながり活動の幅が広がる過程をお話して頂きました。多様なターゲット、目的のイベントを作ることで、多くの人が関わるコミュニティの形成につながることを学びました。また、辻先生の活動を通して、「〇〇がしたい」という強い思いを持つことや、続けることの大切さを感じることができました。辻先生の実践は、CoSTEP修了後の活動に活かしていきたいです。辻先生、ありがとうございました。