2020年03月30日

受講生体験記

苦手が薄まり、好きなことがもっと好きに

 

私は大学で研究補助員として働きながら時々副業としてイラストを描く仕事をしています。研究補助の仕事は基本的に短期の契約なので、同じ研究室で長く働くことが難しい職種です。私もこれまでいろいろな研究室で働きました。研究の現場を渡り歩きながら、ふと考えてしまいます。研究の仕事は世の中の役に立つ仕事。便利な社会を作ったり、医療の発展に貢献したりできる。それに比べてイラストを描く仕事はどうなのか?何かの役に立っているのか?ただの自己満足の趣味なのではないか?そう考えると「これは仕事なのです。」と自信を持って言うことができませんでした。

 

 

CoSTEPの受講生募集チラシを見て、科学技術コミュニケーターを育成する組織にグラフィックデザイン実習があることを知って興味が湧きました。幅広い対象に何かを伝えるためにデザインは大切で、それは商業広告の世界だけでなく科学の分野でも通用する考え方のはず、と以前から思っていたので、その時私は何かCoSTEPとのご縁のようなものを感じたのです。

 

 

しかし、CoSTEPの受講を決断することは私にとって勇気の要ることでした。そもそも私は人前で意見を言うことが大の苦手で、なるべく人目に触れないところでこっそり生きていけるようにという考えからイラストレーターを目指した人間です。科学技術コミュニケーションの「コミュニケーション」という言葉に怖気付いてしまって、なかなか決断できませんでした。

 

 

それでも、勇気を出して挑戦してみたことは正解でした。

伝える手段としてデザインは重要で、人を動かす力のあるものなのだと経験を通して学ぶことができました。自分の感覚が間違っていなかったという確信を得られ、科学技術コミュニケーションの世界に自分の居場所を見つけられるかもしれないという希望を感じられたことは大きな収穫でした。

 

また、受講前に恐れていた「コミュニケーション」も、実際はそれほど恐ろしいものではありませんでした。社会の中での役割を離れることで、気楽な気持ちで人と接することができたように思えます。楽しい一年でした。

 

 

普段の仕事では自分の役割の範疇を超えることにはなかなか手を出せないのですが、今回受講生という立場を経験することで視界が開けたような気がします。「世界」とか「未来」とか、地球の上で生きている限り自分と無関係なはずはないのに、これまで意識から遠ざけて生きてきたのだな、とCoSTEPでの学びを通して実感することができました。

 

自信が持てないまま続けてきたこと、自分には無理だと諦めていたことに対する意識が大きく変わった一年でした。ここで学べて良かったです。

 

林 悦子(本科・グラフィックデザイン実習)

研究補助員