2020年07月01日

活動報告

「研究者とクリエイター:森を考える(データ)」を開講しました

     

    科学者とアーティストが森について多様な切り口で語り合う「研究者とクリエイター」プロジェクト。2018年には木を中心に2019年には皮革を中心に森を考えてきました。2020年にはデータを中心に、メディアアートと森の関係について考えてみる時間にしました。講師はポーランドを拠点に活動しているメディア・アーティスト、Pawel JanickiさんとCoSTEPの朴炫貞が務めました。

     

    オンライン授業を積極的に使って授業を進めた。最初の挨拶をしているpawelさん

     

    海外の学生や研究者を北大に招いて授業をする夏の特別授業、北海道サマーインスティテュートとして開講していますが、今年はCOVID-19の流行の影響で、学外の受講生の受け入れを取りやめました。また今回ポーランドから来日して実際に体験型インスタレーションを制作する予定だったpawel先生も札幌に来られないまま、オンライン授業で進行しました。

     

    授業の最初には学生が持っている森に対するイメージを共有してもらった後、メディアアートと森をつなげて考えられるメディアアート作品を紹介しました。広いメディアアートの世界を「FOREST|DESSERT」、「EVOLUTION|DEVOLUTION」、「BODY|CODE」の三つのキーワードで分類し、今まで森とメディアアートがどのように関わってきたのかを考えました。

     

    植物にセンサーをつけて、触ると音がする仕組みの Scenocosme の<Akousmaflore>

     

     

     

    日常で使われているプラスティックバケツを用いて森を表現した CHOI Jeonghwa の作品 <forest>

     

    1970年に作ったロボットをその部品のまま現代に再現させたEdward Ihnatowiczの <Senster>

     

     

    コードが流れると同時に、ランダムに人の声が聞こえるWinnie Soonの<VOCABLE CODE>

     

     

    科学技術の発展によって表現の幅が大きく変化するメディアアートの特徴がみられるように、未来への予想が時代によって変わったり、昔の技術を今の時代に再現することで変わらない何かが見えたりするところが興味深かったです。

     

    その後、様々なメディアアート作品に触れながら、「メディア」とは何か、「森」をどのように定義するかなどについて受講生同士で話し合いました。また、講師のpawelと朴の作品についても深く説明を聞けました。多様な表現について触れると同時に、メディアアート、バイオアート、インスタレーション、コンテンポラリーアートなど、現代アート作品に存在するジャンルや定義の階層についても整理できる時間にしました。

    作品の制作、展示、撤去、その後のプロセスまで全て展示したpawelのプロジェクト<Post-Apocalypsis>

     

    窓枠を撮影して風景に見立てた朴炫貞の<so far, so near>

     

    最後の課題は、学生が実際に札幌研究林や恵迪の森に行って、自分で森でデータをとって森に関するメッセージをつくるものでした。森の中の私的なマップを映像でつくった学生や、森の中にあるピンクのテープと森の中で聞こえてくる電車の音を他の音に見立てた学生、森の中で動物や他の植物の痕跡を探した学生など、多様な表現を試みました。発表にはそれぞれ、学生同士の質疑応答とpawelさんと朴のコメントがつきました。

     

    森を観察し、データを収集している学生

     

    学生の最終発表

     

    デジタル(digital)の語源はラテン語の「指 (digitus)」。指で数える意味から派生し、数あるいは数字というような意味になった流れがある。ただその一方で、指が語源だったら指から拡張される感覚や能力の面を活かした作品も、今後増えていくことが想像できました。これからも森について、データを用いたメディアアートについて、深く考えて触れていければと思います。

     

     

    時差の関係でいつも朝6~7時にオンラインでつなげてくれたpawelさん、そして受講してくれた学生さん、ありがとうございます!