2020年10月31日

授業レポート

「誰のための『科学技術コミュニケーション』?」(9/26)奥本素⼦先⽣の講義レポート

 

福田佳緒里(2020年度 選科A/社会⼈)

 

 

今年度は、コロナの影響で開講当初からオンライン講義が続いておりましたが、奥本先⽣のモジュール3-3「誰のための『科学技術コミュニケーション』?」は、今年度初の対面講義となりました。

 

科学技術コミュニケーションを始める前に、科学技術コミュニケーターが調査し、理解しておかなければいけないポイントについて、奥本先⽣にお話ししていただきました。

 

 

まず、CoSTEP講義カリキュラムにおけるモジュールの意味や位置づけについて説明がありました。

 

 

本講義を含むモジュール3「活動のためのデザイン」では、「自分がやりたいこと」と「他人が求めていること」を、デザインを通してうまく近づける手法を学びます。

 

 

本当に伝えなければならないことは何?

 

続いて、奥本先生が取り組まれている教育工学(DIYの教育研究)について事例紹介があり、教育活動の効果・効率・魅力を高めるために用いられるインストラクショナルデザインのモデルとして、「分析(Analysis)」「設計(Design)」「開発(Development)」「実施(Implement)」「評価(Evaluation)」の5つのステップに沿って教材を設計し、このプロセスを繰り返すという「ADDIEモデル」の解説がありました。

 

 

 

研究不正防止eラーニング教材の事例では、何を伝えればいいのか、何は伝えなくていいのか、相手はどんな人なのかをきちんと分析しないと相手の立場に立った情報は伝えられないことを実感しました。

 

 

考えるな!調べろ!そして絞れ!

 

次に、奥本先生が大学院生時代に取り組まれた、博物館・美術館に訪れる人を増やすための研究計画を例が紹介されました。

科学技術コミュニケーション活動の立案時には、やみくもに考えるのではなく、まず相手はどういうタイプなのか知るために調べること、それからそれに合わせてどのような情報や行動を伝えるべきか分析すること、そして実践する際にはあれもこれもと欲張らずに絞ることが大切であると学びました。

 

講義後半は、ベストセラー本「FACTFULNESS」にあるようなクイズをとおして、人間には恐怖本能、ネガティブ本能、過大視本能、パターン化本能等の様々なバイアスがあることを体験しました。

 

中でも印象に残っているのは、「科学リテラシーが高まれば科学への関心が」→「下がる」というクイズです。今までの経験から漠然と「科学について知ってもらうだけでは興味関心はそれほど高まらないかもしれない」程度の認識でいたため、「関心が下がる」ことが顕著に示されたデータは意外でとても興味深いものでした。

 

科学技術コミュニケーションの対象は多様であり、その目的もまた多様であることから、自分自身もバイアスがかかっている状態で相手のニーズを想像するのではなく、相手がどういう人なのかをよく調べ、それに合わせた効果的な手法をデザインしていきたいと思いました。

 

 

奥本先生、ありがとうございました。