2011年07月31日

授業レポート

「シビックプライドと地域の編集」7月27日の紫牟田伸子さんの講義レポート

7月27日の講義では、紫牟田伸子さん(日本デザインセンター/チーフ・プロデューサー)に「シビックプライドと地域の編集」と題してお話いただきました。

 

編集と編集的発想

 まず紫牟田さんの原点、「編集的発想」という1冊の本を紹介して下さいました。(西岡文彦著)絵のレイアウトは、どこに配置するかによって意味が変わってしまうという例を示しながら、「編集的発想」というのは、「出来上がりのイメージやストーリー(物語)を発想すること」と話されました。例えば「好みの店舗を編集してみる」なら、レイアウトをどのように変えて見せるか、スペースをどう使うのか、その文脈、イメージ、ポリシーをどの順番で説明し、情報はどの位置に置かれるのか、そしてそれはどうしてそうやって伝えたいのか、というストーリーをイメージすることが必要と述べられました。

そして紫牟田さんの関わった事例の1つとして、「おいしいキッチンプロジェクト」を説明して下さいました。

これは、2005年の福井市からの依頼で、地域経済活性化目的の為にデザインを使いたい、今までとは違って新しいことにチャレンジしたいというものだったそうです。 

 

但し行政のデザイン制作が陥りやすい問題点として、「作りました」「こんなのできました」で終わってしまい、流通をサポート出来ない、継続がないということを指摘し、その原因は最初の文脈が足りない、と分析されました。

このプロジェクトで紫牟田さんが実行したことは、まず、リサーチ。福井の人たちからの発信なので、一般家庭の台所を調べ、キッチン用具を作るという企画が出て、いくつかの企業と協力してものづくりを始め、現在も継続中だそうです。

デザインの仕事は、企業とのマッチングだけでなく、そのデザインを編集できる「ディレクター」も必要なので、ものづくりのディレクターとアウトプットのディレクターを置き、イメージをいろいろな角度で見たそうです。

結果として、レースのカーテン生地だけを作っていた会社が、カラフルな野菜ネットを作り売り上げが伸びるなどの効果も上がり、カーテンだけではなくいろいろなことができる、と会社自体のモチベーションもあがったそうです。

 

シビックプライドという考え方

紫牟田さんは「シビックプライド」の意味を「地域に愛着を持つということ」と表現してくださいました。

バルセロナ市や九州新幹線の動画CM、ヨーロッパ各地の事例を紹介し、その発信者とターゲットはどちらもその街に住む人であり、住人たちがその場所をよりよい場所にするために自分自身が関わっているという意識を持つことが、このシビックプライドという考え方になると説明されました。

 

地域の編集

四国での「しこく編集学校」や、道後温泉での「シビックプライド講座」などを紹介され、「地域の編集」には、価値を共有でき、その街にまた行きたい、住みたい、という感情を共有することが必要であり、そのためには、人をつなげ、注目のきっかけを作り、持続の仕組みを作り、ビジョン、戦略、行動を可視化することが必要と話されました。

 

世界や日本を飛び回り大忙しの紫牟田さんですが、北海道にくるのは今回が初めてとのこと。実例を交えながら、分かりやすく進められる講義は、これから様々な企画の機会を持つ受講生にとっても大いに参考になったと思います。 紫牟田さん、ありがとうございました。