トップ  >  学びたい方へ  >  授業の内容 - 講義

授業の内容

講義

モジュール1/科学技術コミュニケーション概論I

科学技術コミュニケーションを行うのに必要な諸概念を学び、社会における科学技術コミュニケーションの望ましいあり方の全体像を展望し、科学技術コミュニケーターの役割を考えます。

5/17 科学技術コミュニケーションとは何か
この一年皆さんが何度も口にすることであろう「科学技術コミュニケーション」という言葉。この言葉は、どのような必要性があり、なぜ生まれたのか? 今、誰にどのように捉えられているのか? 科学技術コミュニケーションを学び、自分自身がどのような科学技術コミュニケーターになるのかを考えるうえで、「科学技術コミュニケーションとは何か」という素朴かつ根源的な問いには、向き合い続ける必要があります。そのための材料を様々な事例から紹介します。
川本思心(北海道大学CoSTEP 部門長/理学研究院 准教授)
5/23 科学技術コミュニケーションにおけるコミュニケーションを考える
私たちは「科学技術コミュニケーション」を学ぼうとしています。それではそもそも「コミュニケーション」とはなんでしょうか。この講義では、コミュニケーション概念についての議論を整理し、コミュニケーションおよびその近接概念について説明できるようになることを達成目標とします。
種村剛(北海道大学CoSTEP 特任講師)
6/20 社会の中での科学技術コミュニケーターの役割  ー科学ジャーナリストを例に
科学ジャーナリストは科学技術コミュニケーターの職業の一典型です。科学に関する情報が複雑化・高度化する中で、その役割の重要性は増しているはずですが、現状では残念ながら十分な役割を果たしているとは言えない部分もあります。NHKの医療・災害担当記者としての経験をもとに、科学技術コミュニケーターが社会の中でどのような役割を求められているか、科学ジャーナリズムをめぐるいくつかの具体例を通して考えます。
隈本邦彦(江戸川大学 メディアコミュニケーション学部 教授)
6/27 対話のその前に〜コミュニケーションのための科学哲学
科学技術コミュニケーションへのアプローチは、「科学者と市民との対話」だけではありません。科学哲学というアプローチがあります。科学哲学は、科学の成り立ちや、科学的方法の前提を分析することに関心がありますが、そうした分析の中には、科学技術と社会の対話のヒントとなるものがあります。因果性や価値判断といった、ふだんあまり深く考えないことがらを例に、「コミュニケーションに役立つ科学哲学」について紹介します。
松王政浩(北海道大学理学研究院 教授)

 

 

モジュール2/表現とコミュニケーションの手法

科学技術コミュニケーターとして必要な、様々な表現とコミュニケーションの手法について学びます。

7/4 実践入門
科学技術コミュニケーターとして、学びの場であり、その学びを生かす場として「実践」があります。本講義では、CoSTEPでこれまで行ってきた実践の中、科学を他の領域とのつながりで見せたプロジェクトを中心にご紹介します。多様な事例から、アイデーション、コミュニケーション、クリエーション、情報発信まで、プロジェクトを進める上で必要となる態度や考え方、スキルについて一緒に考えていきます。
池田貴子(北海道大学CoSTEP 特任助教)
7/8 映像メディアと科学技術コミュニケーション
映像は文字情報や論理に頼らない、直感的でユニバーサルな表現方法です。近年のアナログからデジタルへの大きな変革、そしてスマートフォンの普及が、メディアのあり方を大きく変えました。送り手・受け手という概念の消滅。そしてプロとアマチュアの境界線がはっきりしなくなったことで、今まで以上に相手の関心を意識し、どのような伝え方なら共感を呼ぶことができるのか、受け手に対する徹底的な分析が必要となりました。科学技術コミュニケーションに映像メディアをどう活用していくべきか、これまでの実践例を元にお話します。
早岡英介(北海道大学CoSTEP 客員准教授
7/11 サイエンスライティングの基礎
科学技術コミュニケーションにおいて、ライティングは重要かつ基本的なスキルです。まず、「てにをは」から「パラグラフ・ライティング」までの一般的なスキルをしっかりと身に付けましょう。さらに、科学や技術に関する話題を伝えるためのサイエンスライティングでは、科学的な事実を正確に書くだけではなく、読者対象やメディアの種類、社会的な背景を考慮した上で、何をどのように伝えるかを明確にしなければなりません。報道、広報、文化としての科学技術の普及など、ことばを使う科学・技術に対する活動の特徴についても解説します。
内村直之(北海道大学CoSTEP 客員教授/科学ジャーナリスト)
7/18 プレゼンテーションで伝える
科学技術コミュニケーションだけでなく、様々な場面で活用できるプレゼンテーションの基本的な考え方、技術、スライドのデザインを学びます。 自分の伝えたいことをただ伝えるだけではなく、「伝える相手に対する想像力を養うこと」の重要性を理解してもらうことをこの講義の目的とします。このことは、単にプレゼンテーションに留まらず、科学技術コミュニケーション全般に通じる基本的な理念であると考えます。
古澤輝由(立教大学 特任准教授)
8/1 アートを通して
多様なメディアを用いて社会に問いかけをするアート。その中でも現代アートは科学技術がもたらす未来を想像して見せています。今を生きる科学技術コミュニケーターは、アートを通してどのようなことができて、どのようなことを行う必要があるのかについて、実例を紹介しながらみなさんと一緒に考えます。
朴 炫貞(北海道大学CoSTEP 特任助教)

 

 

モジュール3/活動のためのデザイン

科学技術コミュニケーターとして実践していく上で、活動を実施するために必要なデザインについて学びます。

9/12 インクルーシブデザインとは〜除外しないデザインについて考える〜
インクルーシブデザインは、デザイン・フォ・オールおよびユニバーサルデザインとともに、人間を最初から最後までデザインプロセスの中心に置くデザインを指します。 さまざまなコンテキスト、分野、能力の人々が参加するデザインのケーススタディを通じて、デザインが社会問題に対処する方法を理解し、科学技術コミュニケーションの広がりについて考えます。
ジュリア・カセム京都工芸繊維大学KYOTO Design Lab. 特任教授)
9/16 科学技術と社会と人、大局・全体像・本質をとらえる「システム思考」
社会の問題を考えるときに、つい目の前の状況だけを見て要因を考えてしまいがちです。世の中はとても複雑なため、一部だけの視点だけでは、その場しのぎで対症療法的な解決策を繰り返してしまいます。科学技術コミュニケーションにおいても同様です。特にトランスサイエンス問題のような多様なステークホルダーが関わる問題では、全体を俯瞰する視点が必要となります。この講義では、問題の原因を、その出来事のパターンや背景にある構造、人の心理的な前提までをシステムとして捉え、より本質的な問題解決をめざす「システム思考」を紹介します。
後藤拓也有限会社チェンジ・エージェント)
9/26 誰のための「科学技術コミュニケーション」?
科学技術コミュニケーションは誰ため?そしてそのコミュニケーションは本当に対話したい相手が参加でき、コミュニケーションができる仕組みになっていますか?本講義では、科学技術コミュニケーションを始める前に、科学技術コミュニケーターが調査し、理解しておかなければいけないポイントについて整理しておきます。そして、なぜそれが必要なのかということについて考えます。
奥本素子(北海道大学CoSTEP 准教授)

10/3

社会貢献をマーケティングに活かすコーズ・リレーテッド・マーケティング
陰徳を美徳と捉えることが多い日本においては、科学技術コミュニケーション活動を通して社会に貢献しても、そのことを積極的にコミュニケーションして良いかどうか迷われることがあるかもしれません。本講義で、事例を通して、社会貢献活動をマーケティングに活かす「コーズ・リレーテッド・マーケティング」を学ばれれば、社会との関係を俯瞰で捉えると陰徳に縛られずに、社会貢献を積極的にコミュニケーションすることが大切であることがお分かりいただけると思います。
世良耕一東京電機大学 教授)
  科学技術コミュニケーションの事例研究

社会の中での科学技術コミュニケーションのあり方を考え、学び深めるための技法の一つに、事例研究(ケーススタディ)があります。多様な関係者の間で科学技術をめぐるコミュニケーションが問題となっている(いた)ケースを取り上げ、資料収集やインタビュー調査などを行い、科学技術コミュニケーションに関する普遍的な論点について考察を深めるやり方です。CoSTEPが刊行している『科学技術コミュニケーション』誌(JJSC)などに掲載された実際の事例研究も参照しつつ、事例研究法のメリットや、活用のためのノウハウを解説します。

*原則としてモジュール3の期間内にe-learningにて視聴すること。ただし、モジュール4の開始前に視聴することも可とする。

三上直之(北海道大学 高等教育推進機構 准教授)

 

 

モジュール4/トランスサイエンス

科学技術と社会の接点に生じる現実の具体的な問題について知り、問題意識を持つと同時に、それらの事例を通じてトランスサイエンスの複雑な構造を適切に理解する思考力を養います。

9/23 科学技術コミュニケーションと禅 〜人と社会と科学の対話をつむぐ精神〜
お寺の長男として生まれ、中学・高校はキリスト教の学校へ。大学では農学部にて修士課程まで研究に取り組み、修行を経て宗教家となってからは世界のリーダーたちと交流をするなど、国や宗教を超えて見聞を広めてきました。これらの経験を通じて感じた人や科学のあり方、時代の潮流の視点から、科学技術コミュニケーションにおいて、仏教の教えや禅の精神が果たしうる役割や、その取り入れ方をお伝えしたいと思います。
松山大耕臨済宗大本山妙心寺退蔵院 副住職)
11/7 思考と現実はどのように触れあうか──哲学と科学の融合
「ものを考える」ということは、われわれが生きる「現実」とどのように関わり合うのだろうか。哲学も科学も、「現実について考える」という点では変わりがない。では何が違うのだろうか。そこには、われわれが歴史的に辿ってきた経緯がある。哲学と科学は、元は一つだった。近代における両者の分岐を経て、いままた科学は哲学と結びつきつつあるように見える。科学的研究の最前線は、なぜ哲学と結びつくのか? 神経科学、人工知能(AI)など、いくつかの実例を見ていくことによって、この問いに少しだけ答えることを試みる。
田口茂(北海道大学 教授)
11/18 社会の中のエマージング・テクノロジー
ゲノム編集技術、AI、自動運転技術、スマートシティなど、先端技術の研究開発が凄まじいスピードで進んでいます。これらの技術は、より良い社会への期待とともに、新たなリスクへの不安をも抱かせます。エマージング・テクノロジーの研究開発や社会実装を考える際に、社会科学的視点からはどうアプローチできるでしょうか?社会的ニーズの把握、伝えるための工夫、協働、安全安心といった概念を手掛かりに、エマージング・テクノロジーを社会の問題として捉えてみたいと思います。
山口富子(国際基督教大学 教授)
  汚染土壌とコミュニケーション

東京電力福島第一原子力発電所の事故で発生した1300万tにもおよぶ除去土壌や除染廃棄物は2046年には福島県外で最終処分がなされる予定である。また、大規模土木工事等で発生する自然由来重金属類を含んだ土壌、岩等についても、その対策や処分方法が課題となっている。一方で、土は資源である。農地では作物を育む源であり、土木材料でもある。これらの大量の”土”をどのようにマネジメントするべきなのか、その際に”誰と”、”どのような”コミュニケーションが必要なのかについて、みなさんと一緒に考えたい。


*原則としてモジュール5の期間内にe-learningにて視聴すること。ただし、モジュール5の開始前に視聴することも可とする。

保高徹生(産業技術総合研究所 主任研究員)
11/25 科学と専門性の歴史
「科学技術コミュニケーション」についての理解を深めるためには、いわゆる「科学研究」そのものと「社会における専門知としての科学が果たす役割」との違いを意識する必要があります。この講義では、科学史の観点から、専門家集団としての科学研究者と社会の関係について論じます。平行して、イノベーション政策等を例に、社会科学を背景とする別の専門家集団が科学者共同体に与える影響についても検討します
隠岐さや香名古屋大学 教授)

 

モジュール5/多様な立場の理解

科学技術コミュニケーターが多様な立場の個人や組織と連携する際に理解しておくべき、科学技術コミュニケーションに関わる主要なステークホルダーの立場について学びます。

11/28 吃音:伝えられないもどかしさ
話そうとしても思うように言葉がでてこない吃音。当事者は日常に大きな困難を抱えていますが、周囲には見過ごされがちで、困難を理解してもらうことは容易ではありません。なぜなら吃音は、それが生じる状況も人によってかなり異なり、またそもそも当事者自身が話す機会を回避することも多いからです。そのような点から、吃音は、単に言葉のやりとりがスムーズにいかないという身体的な問題にとどまらず、他者とのコミュニケーションの性質そのものを変え得ます。このように、吃音の問題は、その症状や特性を科学や医学のことばで語るだけでは不十分であり、吃音のある人が抱えるより複雑で個別の状況を通してみないとその実態はわかりません。この講義では、吃音当事者の自助グループ言友会の活動や、サイエンスライターとして当事者にインタビューした経験などから、この問題について皆さんと共有したいと思います。
藤井哲之進/近藤雄生(北海道言友会/ノンフィクションライター)
12/16
学ぶことは生きること 〜病院内学級の現場から〜

慢性の疾患で長期の入院を必要とする子どもに学習の場を提供するのが院内学級です。病気を抱えた子どもたちにとって、学ぶことは肯定的な自己イメージを持つことにつながります。このイメージは厳しい治療に向かうエネルギーとなったり、辛い体験を納得のいく物語として紡いでいくベースとなったりします。講義では病院内学級での事例を紹介しながら、病気と向き合う子どもとの接し方について深く掘り下げ、コミュニケーションのひとつの有り様について考えます。

副島賢和昭和大学 准教授)
  生きるためのコミュニケーション
NHK Eテレ「ハートネットTV」は、生きづらさを抱えている全ての人に向けた福祉番組です。扱うテーマは病気や貧困、LGBT、障害、災害、いのちをめぐる問題など多岐に渡ります。近年は、10代の自殺が年間で最も多いといわれる 9月1日を前に「死にたい」「学校に行きたくない」という気持ちを語り合い共有する「#8月31日の夜に。」や、JR東日本と連携した車内広告キャンペーン「生きる支援トレイン」など、番組放送とSNSなど複数のメディアを連動したキャンペーンを行っています。講義ではディレクターの立場から活動事例を紹介し、多様な背景を持つ人と社会のつながりをコミュニケーションの観点から考えます。
 
*原則としてモジュール5の期間内にe-learningにて視聴すること。ただし、モジュール4の開始前に視聴することも可とする。
後藤怜亜(NHK ディレクター)

 

 

モジュール6/社会における実践

社会の中で科学技術コミュニケーションの領域を意欲的に開拓されている方々を招き、これまで歩んでこられたキャリア、活動の背景、現状、課題、原動力、将来の目標などについてお話を伺うことによって、自らのコミュニケーターとしての将来展望を描きます。

12/12 SDGsを通じた持続可能なまちづくりについて ~SDGs未来都市・札幌の取組~
2015年に国連で採択された「持続可能な開発目標(SDGs)」は、2030年に向けて持続可能な地球を守るための世界共通の目標であり、今、まさに国や企業、自治体などが率先して取組を進めています。しかし、このような目標に我々はなぜ取り組まなくてはいけないのでしょう?そこには地球環境への危機感とともに、SDGsという共通言語を使った企業や自治体などの「価値」を生み出す取組へと広がりが生まれています。札幌を事例として、SDGsについて考えてみませんか?
佐竹輝洋(札幌市役所環境政策課 環境政策担当係長)
1/9 Academic Groove~面白くなければ学問じゃない~
研究広報には、大学・研究機関にも制作会社にも担い手がいて、それらの協働によって様々なコンテンツが制作されています。私は20年間の出版業界経験と12年間の大学教職員経験をベースに、各学術機関の実態に即した研究紹介コンテンツを制作し続けてきました。それらの制作の際には、研究の「groove(ワクワク感)」を伝えることを基本姿勢としています。書籍&冊子『アカデミックグルーヴ』編集制作や、「講談社ブルーバックスWEBサイト」WPI記事作成などの事例から、様々な関係者とどのように調整しつつ、魅力的な企画を実現するのか、その中で何が専門性として求められるのか、についてお話します。
清水修一般社団法人アカデミックグルーヴ 代表理事)
1/23 科学を視覚化する ~サイエンスイラストレーション
私は情報系の研究者ですが、仕事とは全く関係なく、趣味で数学を勉強しています。2014年、私は「趣科学を視覚化する ~サイエンスイラストレーション 百聞は一見に如かずと言いますが、科学的な事柄を理解する際、文章とともに図やイラストがあると理解が容易になったり、記憶に残ったりしたことはありませんか?サイエンスコミュニケーションにとって、イラストレーションは強力なツールです。身の周りにあるサイエンスイラストレーション、その歴史、様々な用途、ニーズに合わせた制作の具体例など紹介し、キャリアパスとしての可能性についても考えていきます。
菊谷詩子(サイエンス・イラストレーター)
1/30 Digital story-telling and video briefs
Universities generate knowledge through qualitative, quantitative and performative (modelling experience through aesthetics) methods. Scientific knowledge is generally disseminated to society via scholarly articles in academic journals. In contrast, this presentation shares insights on the implementation of performative methods designed to bridge the boundaries between science and the arts in research communication. Producing video briefs (short 5-minute documentaries), the goal was to “create for impact” and to develop an extensive network of partners involved in content production and dissemination. This was not without significant challenges, but it did reveal much broader realms of possibility for effective research communication than originally envisaged.
バレット・ブレンダン(大阪大学COデザインセンター 特任教授)
2/13 CoSTEPの講義を振り返って
CoSTEPで開講された講義を振り返り、「科学技術コミュニケーションの思考」、「情報の分析と行動のための計画手法」、「科学技術コミュニケーション実践」に関わる知識や技能、そして実践事例のポイントをCoSTEP教員が解説していきます。本講義を通して、講義内容の理解を深め、一年間の学びの省察をし、今後の実践活動に関連付けていくことを目指します。
CoSTEP教員による総括