チェックイン


#130 北大キャンパスの5000年

2019年07月20日

1500年の時を超えたコラボが実現しました。北大式土器とタピオカです。昨日、7月19日から総合博物館で企画展「考古学からみた北大キャンパスの5000年」が始まりました。

札幌キャンパスは太古から現在まで、人々が集ってきた場所です。その大部分はK39遺跡、一部西側はK435遺跡、そして植物園はC44遺跡として指定されています。最も古い出土品はなんと約5000年前の縄文時代中期の土器です。また約1500年前の「北大式土器」も見逃せません。この土器は北大から出土したことからその名が付けられました。

 

今回の企画展はこれら土器を含め、北大埋蔵文化財調査センターの豊富な収蔵品が目白押しです。また、「北大式土器タピオカ」などグッズも充実しています。開会挨拶で小澤丈夫館長(工学研究院 教授)は、「この地に生きた人の生活の息吹を感じてもらえれば」と挨拶をしました。記事でほんの少しだけその息吹をお伝えします。

 

 

5000年の歴史を語る、数々の発掘品

 

博物館の玄関を入ると、正面に見上げるほどの高さの企画展の看板が立っています。裏側にまわると、そこには4メートルもの地層標本がありました。工学部総合研究棟(機械工学系)の発掘現場から実際に採取した地層で、年代にしておよそ5000年分。まさにこの地の歴史を表す展示です。

これまでこの玄関正面位置には、受付ブースが置かれていましたが、今回の展示のためにブースは移動され、この地層が展示されました。今回の目玉展示の一つといえるでしょう。キャンパスの足の下にこんな世界が広がっているなんて、なんだか不思議です。

 

展示会場には数多くの出土品が並べられています。すべては紹介できないので、ごく一部だけお伝えしましょう。まず一つ目は、キャンパス最古、約5000年前の縄文土器です。ポプラ並木のそば、現在は羊が放牧されている場所の地下約3メートルに眠っていました。

二つ目は北大式土器です。約1500年前、5世紀から7世紀の続縄文時代後半期につくられたものです。ふちに沿って小さな窪みが並んでいるのが特徴です。大学名が土器についているケースは日本では他にありません。これも同じくポプラ並木そばの放牧地の他、工学部裏や農学部裏から出土しました。

三つ目は、1cmほどほ大きさの、ほのかに青みがかった黒いガラス玉です。北大式土器と同じ時代のもので、土坑と呼ばれる墓から出土しました。遺体はありませんでしたが、ガラス玉は副葬品であり、また道内でつくられたものではなく、本州から交易でもたらされたものだと考えられています。周囲からは炉の跡や動植物の食べ残しも発掘され、人々の生活の場であったことが想像されます。

 

手作りの北大式土器でタピオカを

 

今回の企画展では図録はもちろん、ポストカードなどのグッズが販売されています。その中でもやはり注目すべきは北大土器タピオカです。お値段は1600円。なんとこの土器、全て手作りで一つ一つ形が違います。土器ばかりに意識が向けていてはいけません。黒くて半透明なタピオカ…何かに似ていませんか? そうです。あのガラス玉です。

 

土器を手に取り、地中からガラス玉を発掘するがごとく、茶色いミルクティーからタピオカを吸い込む。企画に隙がありません。もちろん飲み終わった後は「土器」を持ち帰ることができます。

(続縄文の人々もびっくりのインスタ映え)

 

発案・企画はミュージアムショップぽらす代表の浅野目祥子さん。制作したのは障がい者就労支援事業所の「いるば28」です。事業所の所長さんが陶芸家ということもあり、専用の釉薬も開発し、すすが付いた素焼きのような質感を実現することができました。もちろん、本企画展示担当の江田真毅さん(総合博物館 准教授)が監修し、作業所の方々も北大を訪れて実物を観察して制作にあたりました。

「本当に丁寧に作っていただきました。手作りだとやはりひとつひとつに作り手の人柄が出るものですね。本物の土器も同じで、やはり当時の人の人柄まで感じられるのが面白いです」と浅野目さんはお話されていました。9月からはミュージアムショップでもカップのみでの販売を予定しています。また、カップ以外の土器グッズも予定しているそうです。

 

 

博物館だけじゃない! 埋文センターも必見

 

本企画は、北大内の遺跡の調査・発掘と発掘品の記録・管理を行う埋蔵文化財調査センターとの共催です。小杉康センター長(文学研究院 教授)は「センターは約40年、博物館は約20年の歴史を持ちますが、そのふたつの活動がひとつに結晶しました。今後これをきっかけに連携を強められたら」と開催の意義を強調しました。

 

今回も埋文センターと博物館の連携展示が実現しています。刻書土器と呼ばれる、文字が刻まれた貴重な土器があります。これは恵迪寮付近の地下0.5メートルから発掘された擦文期のものです。このパネルは博物館に展示されていますが、実物は埋文センターで見ることができます。また、博物館エントランスにあった地層標本が実際にどのような場所から取られたのか、模型で再現されています。

 

埋文センターは、メインストリートを挟んで総合博物館の北斜め向かいにあります。ぜひはしごをすることをお勧めします。コラボは北大式土器とタピオカだけではありません!

 

 

----埋蔵文化財調査センターを紹介しているこちらの記事もご覧ください----

【チェックイン】#72 土中に埋もれた歴史を探る!~埋蔵文化財調査室(1)

(2014年09月19日)

 

【チェックイン】#72 土中に埋もれた歴史を探る!~埋蔵文化財調査室(2)

(2014年09月23日)

 

※上記記事掲載時は「調査センター」ではなく「調査室」

-------------------------------------------------------------


同じシーンの記事