クローズアップ


北大の新型コロナ研究

2020年06月22日

 

新緑が目に眩しい季節になってきました。一日も早く、安心して散策できる日が来ることを願います。

 

 

世界の新型コロナウイルスによる死者数は46万1665人(2020年6月21日 AFP通信調べ)に達しています。北海道大学の研究者たちは、総合大学として蓄積してきた獣医学、医学、工学などの知見と技術を生かし、新型コロナウィルスの克服に向けて動き出しています。

 

今日は、北海道大学のプレスリリースで4月以降に発表された新型コロナウィルス関連の最新研究を4本、紹介します。

 

また、科学と社会との関わりについて教育研究する北海道大学CoSTEP発行の学術誌『科学技術コミュニケーション(JJSC)』では、コロナ禍にまつわる社会的な問題に焦点を当てた緊急小特集が組まれています。

 


北海道大学プレスリリースより______________

 

新型コロナウイルスがどのように致死性のCOVID-19を誘導するかの考察論文を発表(遺伝子病制御研究所 教授 村上正晃)2020年4月24日
COVID-19に伴う死に至ることもある急激な呼吸器不全は、免疫系の過剰な生体防御反応であるサイトカインストームが原因であることを示唆する研究です。治療薬のターゲットとなる経路も提唱しています。

 

新型コロナウイルス報告数は流行を反映しない可能性~検査陽性報告数のみを用いた流行解析には注意が必要~(人獣共通感染症リサーチセンター 准教授 大森亮介)2020年4月28日
流行初期における日本の新型コロナウイルス感染症の報告数の時間変化が、一般に感染症流行下で観察される曲線と違い直線的な変動をしていました。初期の報告数は、流行を適切に反映していたのでしょうか?

 

下水中の新型コロナウイルスに関する世界初の総説論文を発表 COVID-19の流行状況を把握する上での下水疫学調査の有用性を提唱 (工学研究院 助教 北島正章)2020年5月14日
新型コロナウイルスの主な伝播経路はヒト-ヒト間での飛沫感染や接触感染ですが、下水中にもウイルス RNA が存在する可能性が指摘されています。下水を情報源として利用できるかもしれません。

 

抗体検査を現場で20分以内に完了する技術を開発~鳥インフルエンザウイルスで実証。新型コロナウイルス等への応用へ期待~(工学研究院 教授 渡慶次学)2020年5月20日
簡単なピペット操作のみで抗体を検出できるポータブル蛍光偏光測定装置を開発し、20分以内に鳥インフルエンザウイルス抗体を検出できました。新型コロナウイルス抗体などへの応用が期待されています。

 

 

新型コロナ緊急小特集______________

 

『科学技術コミュニケーション(JJSC)』第27号
緊急小特集:新型コロナウイルス感染症の世界的大流行と科学技術コミュニケーション

 

序文「新型コロナウイルス感染症の世界的大流行と科学技術コミュニケーション」
(北大理学研究院/CoSTEP 准教授 川本思心)
新型コロナウイルス感染症の科学技術コミュニケーション的な側面と事例について、論点が整理されています。

 

「新型コロナウイルスを考える」を考える
(科学ジャーナリスト/北大CoSTEP客員教授 内村直之)
科学技術コミュニケーターに求められる問題の把握と想定のやりかた、さらに科学技術コミュニケーションのあり方について広く考えることを目指した論考。

 

「システム思考による新型コロナウイルス感染症対策の可視化:政府・専門家会議が検査を増やすことができなかった「理由」」
(東京工業大学 調 麻佐志、慶應義塾大学 鳥谷真佐子、自然科学研究機構 小泉 周)
システム思考の技法を使って新型コロナウイルス感染症に関係する状況を可視化することで、市民と専門家がその理解を共有することの重要性を示した論考。「感染モデル」と「発症者対応モデル」からなる因果ループ図が用いられています。

 

「見えざる王冠 ~ノルウェーにおける新型コロナウイルスをめぐるパブリック・コミュニケーション~」
(オスロ都市大学労働研究所 吉澤 剛)
ノルウェー在住の著者が、現地におけるパブリックコミュニケーションと、その背景となる歴史的経緯などを紹介。俯瞰的な視点だけではなく、著者の身の回り見る個人的視点も織り交ぜながらまとめられています。

 

「新型コロナウイルス感染症抑制のために個人の行動を追跡することの是非 ~コンタクト・トレーシングアプリの社会実装に関する対話の場のための覚書~」
(北大CoSTEP 特任講師 種村 剛)
ICT技術を用いて個人の行動を監視する「コンタクト・トレーシングアプリ」の概要を紹介するとともに、その社会実装の是非を考える際の論点を整理した論考。科学技術コミュニケーターに求められる対話の場づくりの姿勢についても述べられています。


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