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#143 北海道大学が取り組むSDGsな教育と研究

2020年11月30日

 

北海道大学×SDGsというウェブサイトが開設されました。

URL:https://sdgs.oeic.hokudai.ac.jp/

 

SDGsとは持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals;SDGs)の略称です。2015年に国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」の中では、2030年までに達成する17のSDGsが設定されました。日本においても、積極的にこの目標に取り組む動きが始まっています。ただ単に科学技術が発展するだけではなく、環境、人権、そして平和に配慮した発展を目指したSDGsには大きな注目が集まっています。

 

さて、SDGsと北海道大学の研究、教育はどう関連するのでしょうか。ウェブサイトの制作に携わった、出村誠さん(先端生命科学研究院)に話を伺いました。

 

 

――北大がそもそもSDGsに取り組むきっかけは何だったのでしょうか?

 

実は北大はSDGsが始まる10年前2005年に、「持続可能な開発」という国際戦略を策定しました。その後2007年からサスティナビリティ・ウイークという事業を毎年開催し、持続可能な社会への課題におけるシンポジウムやワークショップを10年間開催してきました。この間2008年にG8(主要8ヵ国)北海道洞爺湖サミットが開催された際には、同時並行で世界初の大学サミット(27の大学・機関が集合)を札幌で開催し、そこで「大学は持続可能な社会実現のための原動力になる」ことを誓った「札幌サステイナビリティ宣言」を採択しました。そして持続可能な社会を残すため、世界の課題解決に貢献する大学として北大は2014年から「近未来戦略150」という行動計画に従って教育・研究・社会貢献の事業に取り組んでいます。

 

(北大が持続可能な開発に取り組み始めたのは15年前から)

 

 

――SDGsがここまで普及する前から、北大は中心的にSDGsを目指してきたんですね。

 

そうなんですよ。世界の動きと北大のこれまでの動きは一致する部分も多く、これまで大学の中だけでやっていた事業を、より社会に伝えていかないといけないだろうな、ということになりました。北大は昔からSDGsに取り組み、ここまで根付いていますよ、ということを発信していくことは、北大が社会に開かれた大学として認められるためにも、重要だと考えたのです。

 

(出村さんにはオンラインで話を伺いました)

 

 

――折好く、北大は2020年度のTHEが出した大学インパクトランキングにおいて、SDGsの貢献で国内1位に評価されましたね。

 

それもウェブサイトをオープンするきっかけの一つになりました。北大がSDGsに取り組み、実践する大学であると評価されていることも併せて知ってもらえればなと思っています。

 

 

――これまでは大学の中だけで行われたSDGsの取り組みを社会に開いていく取り組みの一つがウェブサイトなんですね。

 

はい。まずこのウェブサイトは、高校生向けのオープンキャンパスに合わせて、SDGsに取り組むことができるということをアピールするために立ち上げました。大学は、社会に開かれた研究機関です。若い学生たちが学んで社会に巣立っていく最後の学びの場が大学でもあります。今、社会に何が起きているのかを知って、どう立ち向かっていくのかという意識を育てなければなりません。そういう学びのデザインに役立つ北大であってほしいと思っています。

 

北大でのSDGsの取り組みが網羅的に紹介されています

 

 

――何を学べるのか、もっと進んでいけばどんな問題解決に取り組めるのかも、大学を選ぶ指標の一つになればいいですね。

 

そうそう。北大に来たら、実際にどのような科目でSDGsを学べるのかという科目一覧もこのサイトから見ることができます。SDGsや持続可能というキーワードが入っている科目をピックアップすると、北大全体で400ほどの科目があります。しかも幅広い学部、大学院で授業が提供されていますので、多様な観点からSDGsを学ぶことができると思います。

 

 

――北大でのSDGs教育はやはり北大らしさも意識されているのでしょうか?

 

オープンキャンパスのオンデマンドコンテンツの一つとして、「理学部で学ぶSDGs入門」というコンテンツを作成しました。理学部の基礎の学びや発見にも社会の課題解決につながるヒントがたくさんあります。その中でピックアップしたのは、北大理学部の有名な科学者。例えば中谷宇吉郎博士は世界初の人工雪を作ることに成功しました。彼の研究成果が基礎となり現在の雪氷学や冷凍技術の発展に影響を与えたり、地球温暖化の氷河への影響、果ては宇宙の氷にまでその雪氷学の科学が発展しています。このように科学の基礎研究も、未来社会の課題解決につながっているということが伝わればと思っています。

 

 

――SDGsというテーマは大学の研究、教育と社会とのつながりを考えるきっかけでもあるんですね。

 

今、北大では、専門教育だけではなく、自分の学んだことがその後のキャリアにどう影響するのか、活用できるのかというキャリア教育にも力を入れていこうと考えているので、このようなSDGsと専門教育をつなげていくことによって、学んだ先の未来までデザインしていける教育ができたらいいと思っています。

 

例えば、この歯車のように、北大でやっている地道な活動が実は日本の様々な活動に影響をもたらし、それが世界につながっていくんだってことを意識できる学生を育てたいと思っています。専門的な教育や研究の見方を変えるきっかけの一つがSDGsという切り口なのかもしれません。

 

(北大では2026年に創基150年を迎えます。その年に向けた近未来戦略150を策定しました。)

 

 

「ぜひ、みなさん、北大にいらっしゃい。みなさんの未来を北大の教育・研究で描いてみませんか?」というのが私たちのメッセージです。

 

 

――北大らしい、でも未来志向な取り組みですね。

 

特にコロナ禍の今だからこそ、うちに閉じこもっちゃうんじゃなく、こういう状況でも前向きに、未来志向に、自分たちの活動が社会と、そして世界とつながるにはどうすればいいのかということを考え続け、発信し続けていければと思います。

 

 


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