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#145 北大の今を知り、北大と関わる窓口として 〜北大フロンティア基金〜

2020年12月14日

 

師走も中頃になりました。2020年を振り返り始めた方もいらっしゃるかと思います。北大は、寄附などを通して、例年以上に多くの方々に支えられた年となりました。

 

今回の記事は、北大への寄附の窓口である北大フロンティア基金を取材した内容となります。基金の設立経緯や立ち位置、今年の新型コロナウイルス感染症に伴う学生への緊急支援の話、そして取材にご対応いただいた担当者ご自身の話を伺う中で、「想いを次世代につなぐバトン」としての寄附の形が見えてきました。

 

(北大フロンティア基金に累計2万円以上寄附した方に贈られる、オリジナルカレンダー)

〈イラスト提供:広報課 卒業生・基金事務担当〉

 

【梶井宏樹・CoSTEP 博士研究員】

 

 

――まず、北大フロンティア基金についてお聞かせください。

 

2004年の国立大学法人化以降、国から大学に交付される基盤的運営資金が漸減し、大学自身が自己収入を増やすことが必要となりました。北海道大学も外部資金や競争的資金を獲得に尽力しております。その活動の一つとして、札幌農学校創基130年目にあたる2006年に、卒業生をはじめとする個人・法人等からのご寄附を募る「北大フロンティア基金」が創設されました。

 

(今回お話をお伺いした、広報課 卒業生・基金事務担当の北村綾子(きたむら・あやこ)さん。2006年に北海道大学の教育学部教育学科を卒業後、予備校職員、印刷・マーケティング会社勤務を経て2018年より現職。フロンティア基金は、現在、北村さんを含めて9人の職員によって支えられています。)

 

 

――「大学としての基金」を集めているというのがポイントなのですね。

 

フロンティア基金創設以前から、北大内の各部局に外部資金として入ってくるお金というのはあります。奨学寄附金や、共同研究先からのお金などです。金額的にものすごく多いです。しかし、そういった外部資金は、集められる研究者や使途が限られていたり、いざという時のために蓄えておくことができなかったりします。研究結果といった見返りも必要になります。

 

フロンティア基金は、大学の大きな方針に基づいて、大学がある程度自由に使えるお金として集めています。もちろん、使途を限定した寄附もあります。約15年の活動を通して、同窓生の方を中心に、「北大を」応援したいときはフロンティア基金に寄附をすれば良いというのをご理解いただけてきたかなという印象です。

 

 

――大学が自由に使える一般資金、使途を限定した特定資金という2種類の寄附の形があるようですが、いずれも「北大として」寄附を募り、使いますということなのですね。今年の新型コロナウイルス感染症に伴う緊急支援(※)は、その仕組みが活きた代表例だったのではないでしょうか。

 

新型コロナウイルス感染症に伴う緊急支援では、5月1日から修学支援基金として寄附を募り、10月31日時点で約5000万円をいただいています。これに以前からの修学支援基金と、一般資金(大学が自由に使えるお金)からのお金を加えることで、約2500人の学生に、合計約2億円もの支援を行うことができました。家賃を払えない学生、国の審査には通らなかった学生、就職活動もバイトもできずに困っている学生、研究を諦めて母国に帰ることを検討した留学生など、さまざまな学生から感謝の声をいただきました。

 

また、寄附者のメッセージやご対応もとても印象的でした。例えば、「ご飯食べるんだよ」「国から給付金を10万円もらったけれど、自分は年金暮らしだから、今困っている方に渡します」といった温かいメッセージや、「奨学金だけじゃなくて、大学で困っているところがあればどこに使ってもいいよ」といった修学支援以外への寄附も多くみられたことなどです。いろいろなお金の使い方があった中で、北大への寄附を選んでくださったというのは、とても嬉しいことです。

 

(北海道大学総合博物館内の寄附者銘板。累計金額20万円以上寄附し、掲載をご希望された方々のご芳名があります)

〈写真提供:広報課 卒業生・基金事務担当〉

 

 

――寄附者のみなさまはもちろん、在宅勤務では対応できない作業も多かった中での広報課や学生支援課の職員のみなさんの迅速な対応のおかげで、多くの学生が救われたと思います。

――北村さんのお話から、寄附をきっかけに想いを伝えあったり、つながりが生まれているのが素敵だなと思いました。

 

そうですね。私もそれが大切かなと思っています。

 

フロンティア基金の大きな特徴として、他大学と比べても、卒業生からの寄附の割合が多いことが挙げられます。寄附者からのメッセージや、メールや電話での問い合わせ、感謝状贈呈の際の会話など、日頃から寄附者とのコミュニケーションをしていると、みなさんの北大への愛情や想いが伝わってきます。寄附のご挨拶の際に、「今はイチョウがきれいですよ」とか「今の北大はこういうところなんですよ」といった話を良くさせていただきます。恵迪寮出身の方とは、寮歌を歌ったりなんてこともありました(笑)

 

北大に寄附する人は、「今の学生に寄附することで、10年後や20年後の未来が良くなる。その未来に投資します」ということで北大を選んでくれているのかなと感じます。そういった意味で、「寄附は次世代につなげていくバトンのようなもの」と私は考えています。

 

(令和元年度入学式でのフロンティア基金への募金風景)

〈写真提供:広報課 卒業生・基金事務担当〉

 

 

――さまざまな方の想いをつないできた北村さんとして、これからフロンティア基金が、大学内や寄附者にとってどんな存在になってほしいと考えますか?

 

フロンティア基金を寄附の窓口という捉え方ではなく、大学全体をよくする仕組みという見方で捉えてもらえたら嬉しいです。

 

学内の方々に対しては、もし困っていることがあれば、「ここで困ってるんです」「このお金があればこういうことができます」というような話をたくさん拡散してほしいなと思います。生の声があれば、私たちも「今こういうことで後輩が困っていますよ」といった広報ができます。また、その際は、最終結果だけでなく、途中結果もたくさん発信して欲しいと思います。例えば、部活動のホームページなどで、「こういう活動をやっています!」「こういう賞を取りました!」といった発信は多く見ます。しかし、「まさに今こういったことをがんばっています」といった話はなかなか見ないように感じます。途中経過は応援しがいがあります。

 

寄附者のみなさまに対しては、「北大とちょっと関わりたいな」「北大にもっと良くなってほしいな」と思った時や、自分の想いを次世代につなぎたいと想った時に、真っ先に見てもらえるような存在になればと思います。例えば、卒業生が大学と直接関わる機会は、採用関係のお仕事で関わるとか、自分のお仕事で研究が一緒だったといったことしかありません。それ以外だと、本当に同窓会くらいしか大学と関わる選択肢がないのではないでしょうか。寄附は大学を良くする燃料です。寄附という、目に見える形で大学に参加するという選択肢をご検討いただければと思います。

 

そのためにも、事業の報告や今の北大に関する情報、学生や研究者の声、寄附者からのメッセージなどをお届けする機会を、もっともっと増やしたりするなど、私たちも一層がんばります。

 

(北大フロンティア基金のパンフレットと活動報告書)

 

 

――フロンティア基金を通して、想いを次世代に届けられる寄附者、やりたいことをやれるようになる現役世代がもっと増えたら素敵ですね。ありがとうございました。

 

(学部時代に教育社会学を専門としていた北村さんには、「学生が生まれながらの経済的環境に左右されることなく、自分のやりたいことに打ち込める学習環境をつくりたい」という想いがあります。フロンティア基金の業務は、そういった自身の想いを実現できるだけでなく、「学生に卒業生からの次世代への期待を届けること」のできる、やりがいのあるものだそうです。)

 

 

※ ※ ※ ※ ※

■ 新型コロナウイルス感染症に伴う緊急支援について

学生への修学支援金の支給は、12月14日現在行われていません。新型コロナウイルス感染症の流行状況によっては、第2回、第3回の支給も考えられるので、学生のみなさんは適宜情報をご確認ください。また、上記の理由から、緊急支援に対する寄附は引き続き受付をしているとのことです。事業の詳細や活動報告はこちらから。

 

 


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