たくさんの本が壁いっぱいに並ぶ研究室の一隅には、DVDやCDも並んでいます。趣味なのかと尋ねると、「趣味も入っていますが、これらは学生向けの授業で教材として使います」。なるほど、よく見ると、古代ギリシア・ローマの古典を題材にした、映画やオペラ、音楽ものばかりです。
たとえば古代ギリシアを舞台にした映画と、関連する古代の文献や資料を比べてみると、食い違っている場合があるそうです。そのようなズレを出発点にして、古代ギリシア・ローマの思想や文化に興味を持ってもらえるような授業を展開するとのこと。「2004年にブラッド・ピットが主演をつとめて話題となった『トロイ』は、つっこみどころが多いんです」。書棚には、今年の4月に映画化された『テルマエ・ロマエ』の原作漫画も並び、「最新のものもチェックしています。」
オルフェウス神話を題材としたオペラなどはいくつかありますが、それぞれ理解するのに必要とされる知識は時代によっても異なるそうです。 「今は、古代ギリシア・ローマの文化が、誰もが知るべき教養としてもてはやされる時代ではありません。でも学生たちには、そんな現代だからこそ古典についてあらためて考えることが面白く、こうした人文学の営みが人生を豊かにすることにつながるんだと気づいてもらえれば、と思っています」
「研究の対象となる古代の文献は、古典ギリシア語やラテン語で書かれています。もちろん研究では英語などが必要になります。こちらは、ラテン語-英語辞典。こちらは古典ギリシャ語ー英語辞典です。」本の中には、背表紙がすり切れているものも。「本自体が古いわけじゃないんです、使っていくうちに古びた風合いになってしまいました」。 壁一面に並ぶ本棚は可動式で、本棚の奥にまた本棚がズラリ。「ここにあるものは全て研究に関するものですね。近ごろは趣味でゆっくり本を読む時間がなくて。」そんな近藤さんの趣味は、ヴィオラ演奏だそうです。聴くことができず、残念。
次は、同じ文学研究科仲間という、蔵田伸雄さんです。お楽しみに!