畑中佳奈子さんは、病院の病理部で助教をしています。前回紹介のナム先生とは、共通の共同研究者を通じて知り合ったそうです。
病理とは、病気になった箇所の細胞や組織について、病理医が病理診断をする部門。病理診断結果は、お医者さんが患者さんの状態を判断するための材料として使われます。たとえば、内視鏡検査をして胃に腫瘍があることが分かったとします。その腫瘍が良性のものか悪性のものか判断するために、腫瘍の組織を取ってきて、病理診断をします。「検査には色々な種類がありますが、組織や細胞に関する病理診断をするのが病理部です。私たちの病理診断結果が、患者さんが次の治療に進むためのステップになるんです。」
検査には、最先端の医療技術も取り入れていきます。「新しい知識は、学会やセミナーで勉強します。医師から聞くこともありますね。病理の研究者が集まって勉強会を開催することもあります。」最近は、最先端の技術が次々と開発され、取り入れるのも大変だそう。「検査の補助をしてくれる技師さんたちも、努力してくれているんです。」多くの人の努力によって、最先端の医療技術が現場医療に反映されているんですね。
いきいきと研究している畑中さんは、6歳の娘さんがいるワーキングマザーです。仕事と子育て両立のコツを伺うと、「まずは家族のサポートですね。夫がとても協力的なんです。私の帰りが遅い時は、娘に食事を食べさせ、お風呂にいれて、寝かしつけてくれます。」
北大病院は「子育てに理解がある職場」と感じることが多いそう。勤務時間を変更したりと、女性が働きやすいような仕組み作りも整ってきています。病院が看護師や医師のために設置した、24時間年中無休の保育園にもお世話になったそうです。3年ほど前には、病後児保育施設のワーキンググループにも参加していました。病後児保育とは、病気は治っているもののまだ本来の状態ではなく、普通の保育を受けるのが厳しい回復期の子どもを親に変わって世話をするもの。昨年度から運用されています。「でも、病気の子供の世話をする病児保育の施設は、病院にはまだありません。「病気の時に仕事なんて…」という声もありますが、どうしてもという時のために、病児保育の施設もあったらいいな、と思います。検討の委員会しているようなので、期待しています。」
「子育て中の女性も、色々な選択を選べるようになってきました。それぞれが、自分の場所で、社会の中で何ができるかを考え、社会のために活動してほしいと思います。」そのためには、自分の努力と周りへの感謝が必要、と語ります。畑中先生の芯の強さを見た気がしました。
次は、「ママ友達」という人獣共通感染症リサーチセンター 感染・免疫部門 助教の大西なおみさんです。