アイソトープ(同位元素)とは、同じ元素だけれど重さがわずかに違うもので、なかには放射線を出すもの(放射性同位元素)もあります。適切に管理することで、科学研究や病気の治療に、有効に使うことができます。
放射性アイソトープを使うことのできる実験室は、北大の中にいくつかあります。でも、アイソトープの取り扱いに特化したこのセンターでは、それら小規模な実験室ではできない、アイソトープを高い濃度で含む物質を使った実験も行うことができるのです。
「レントゲンを使えば身体の中を見ることができますよね。でも、臓器の働きや血液の流れなどは見ることができません。そこで、放射線を出す物質を体内に入れ、特別な機械を使って、臓器が活発に動いているかどうか、どこに血液が流れているかなど、体内を細かく見るのです。」こうした、検査に役立つ薬剤について研究する久下さんは、京都大学の薬学研究科の出身です。
大阪に住む家族と離れ、単身赴任中とのこと。「大阪方面の空港と新千歳空港を行ったり来たりしています。冬は飛行機が遅れて、打ち合わせ予定だった学生を待たせてしまったことも」と苦笑い。
実験室を管理しているのは、技術専門職員の阿保憲史(あぼ・けんし)さん。黄色の“白衣”とスリッパをはいて、実験室に入ります。「実験中にアイソトープが白衣に付いても、着替えれば、外にはアイソトープが出ないでしょ。普通の白衣と混同しないように色がついています。アイソトープの実験室では黄色を使っているところが全国的にも多いんですよ。」実験室を使うにはアイソトープ総合センターとの入念な打ち合わせが必要といいます。センターでは、安全管理や扱い方についての教育も行っているそうです。
久下さんのお部屋には、久下さんの前にセンター教授を務めていた関さんの絵が飾ってありました。一隅にはガラスケースに入った古い秤も置かれ、素敵な雰囲気です。「これは、昔の精密天秤でしょうね。ここに来た時に倉庫の掃除をしていたら出てきたんです。古すぎて使い方はよく分からないんですけど、ちょっといいでしょう?」とにっこり。
次は、久下先生と京都大学でご一緒だった、薬学研究院の南 雅文さんにバトンがわたります。お楽しみに!