ナム ジンミンさんは、放射線医学分野で、がんの研究に携わっています。がんは放射線を当てて治療しますが、なかには放射線が効きにくいがん細胞があります。ナムさんは、この、放射線に対して抵抗性を持つがん細胞について研究しています。実験室で培養した細胞を使い、実際に細胞に放射線を当てて、その反応や、なぜ放射線に抵抗を持っているのかを調べるそうです。「患者さんと関わる機会はないのですが、放射線医学分野の先生の中には、実際に患者さんの治療に当たる方もいます。そのような人たちと一緒に研究をすることで、現場の声を研究に反映することができます。治療に結びつく発見をしたいですね」と夢を語ってくれました。
北海道大学に来たのは2010年。京都大学で博士号をとったときの指導教員、佐邊壽孝さん(北海道大学医学研究科 教授)の紹介で、今の上司、白土博樹さん(北海道大学医学研究科 教授)から声がかかりました。がんの研究は、京都大学の佐邊さんのもとで始めました。「大学生の時に、佐邊先生の研究室見学を希望したら、二つ返事で快諾してくださいました。こういうのが「縁」っていうのかな、って思ったんです。」今では白土さんの元で研究しつつ、佐邊さんとも共同研究をしているそうです。
忙しくてなかなか地元の韓国には帰れないそうですが、フェイスブックを使って、友達と連絡を取り合っています。普段の息抜きは、和田さんたちとの「女子会」と、キャンパスを散歩している犬を見ること。研究室の机の上には柴犬のグッズが並んでいます。「犬は飼いたいと思っているんですが、普段の忙しさを考えると散歩などの世話をきちんとできる自信がなくて。今は諦めています。」
一カ所にはとどまらずにいろいろな場所に行き、刺激をうけて成長していきたいと語ります。「アメリカの研究所にもいたことがあるのですが、とても刺激的でした。もし次があれば、ヨーロッパに行ってみたいですね。」