札幌キャンパスの13条門から延びるイチョウ並木の葉はすっかり落ちてしまいました。足元を見ると落ち葉の上に黄色くて丸い粒が落ちています。誰かが気づかずに踏んでつぶれた粒もあります。これはイチョウの木の実で、果肉みたいな種皮から強烈な臭いを発しています。ぎんなんのニオイ成分は、おもに酪酸とエナント酸の2つです。酪酸は雑巾やくつ下のような臭い、エナント酸は腐敗物のような腐った油の臭いを発します。もしぎんなんを踏んでしまったら、すぐに水で洗い流す、臭いが気になったら、臭いのもとは酸性なので重曹を使って洗うのがよいそうです。
イチョウは中国原産で「生きた化石」といわれるほど古代からある樹木で、雄の木と雌の木があり、雌の木だけが秋に実をつけます。ぎんなんは、黄色のさくらんぼを少し大きくしたくらいのサイズの実で、古くから食用として親しまれているのは実の中心にある部分です。
ぎんなんの食用部分には、脂質、糖質、たんぱく質、ビタミンA・B群、ビタミンC、鉄分、カリウムなどを含み、滋養強壮、強精効果のほか膀胱や肺をあたためる働きがあり、頻尿や夜尿症の改善、ぜんそくの治療、せき止め、たん切りなどに効果があるといわれています。一方で、ぎんなんにはギンコトキシンやメチルピリドキシンなどの成分が含まれており、一度に多く食べると、おう吐、下痢、呼吸困難、けいれんなどを起こすこともあるようですので注意が必要です。
ぎんなんは9月から11月半ば頃に旬を迎えます。もっちりした食感と独特の香り、ほのかな苦味が大人の味わいです。炊き込みご飯、茶碗蒸しの具材などとして食べたことがある方もいるのではないでしょうか。ぎんなんの食べ過ぎには注意して、秋の味覚として楽しんでみてはいかがですか。