バトンは、三橋進也さんから、隣の席の北川航さん(農学研究院・寄付分野教員)へ渡りました。
筑波の研究所を経て、2005年から北海道の産業技術総合研究所(通称:産総研)に勤務し、兼任する農学院では、教員として学生の指導をしています。北川さんが北海道に来てまず驚いたことは「スーパーで売っている安い牛乳がすごく美味しい!」。食の美味しさに目覚め、山菜取りに行った山では、地元のお爺さんにこっそり穴場を教えてもらったことも。今では毎年大量の山菜を“こっそり”楽しむそうです。そして、一番の趣味は釣り。
新婚ほやほやの北川さんですが、奥さまと釣りに出かけることは決してないそうです。「釣りをする場所は、熊が出そうな山奥なので、とても大事な女性を連れてく場所ではないんです。たいていは一人で行くのですが、このときは”屈強な男子”3人を連れ“とある川”目指して山奥に入りました。場所はナイショ。ま、普段の釣りでこんな胴長は着ません。それを着なくちゃ入れない場所、ってことです」。
休日には道内の釣り場を攻め、出かけたところにはマークをしていきます。「道内ほとんど行きましたよ」と北川さんが胸を張るように、赤マークが北海道地図を埋めています。
中でも、道東はサケを釣りに良く出かけるそうです。
オショロコマ。北海道に生息するサケ科の魚。秋の終わり(産卵期)に特徴的な、赤・黒の婚姻色が強く出ています。
北海道に三ヶ所ある鮭の博物館にもよく足を運ぶそうです。その魅力は「かっこいい」から。
これだけ、魚やが大好きな北川さんですが、魚の研究者ではありません。平日は、研究に没頭しています。
北川さんのご専門は、微生物新機能開発学という分野で、微生物をどう利用するかを研究しています。地球上に存在する微生物の多くは、実験室で増殖させることができない、”使えない”微生物です。北川さんは、その”使えない微生物”をどのようにしたら使えるステージにまで仕上げられるか日々取り組んでいます。
欠かせない実験道具は、この96穴プレート。
この穴の1つ1つに微生物を入れ、さらに異なるエサ(ブドウ糖など)を与えて培養できないか検証します。このプレートを何十枚も検証しなくてはいけません。あまりに穴が多いので、うっかり入れる場所を間違ってしまう学生もいます。落ち込んだ学生にアドバイスするのは「今起こったことは、忘れなさい」。ONとOFF、スイッチの切り替えが大切なのですね。
北海道に住むこと約10年。食、釣り、山。「北海道はいいですよねー」としみじみ語る北川さん。改めて北海道の魅力を教えられた気がしました。
次のバトンは、今井一郎さん(水産科学研究院・教授)に渡ります。いよいよ函館キャンパスにいる先生の登場です。