池 晃祐さん(農学院修士1年)は微生物の休眠について研究を行っています。この研究を進めることで、特殊な環境で微生物がどのように生きているのか、あるいは結核の特効薬や安全で美味しい食品を作る方法が見えてきます。
アラスカに2万5千年前から存在する永久凍土の氷の中には驚くべきことに眠ったままの微生物が含まれていました。その中には今までまったく知られていなかった微生物が見つかりました。これらの微生物はどのようにして2万5千年間もの時を生き続けることができたのでしょうか?
氷から発見された新しい微生物にTomitella biformataという細菌がいます。この細菌を栄養の乏しい環境にした試験管に入れ蓋をきつく閉めます。試験管を10日間振り続けると、この細菌は中の酸素を全部使い果たし、2か月後には99.9%以上が休眠状態になります。
身近なところに目を向けると、微生物の休眠に関係するトラブルは数多く存在します。例えばボツリヌス菌による中毒症状です。飯寿司(いずし)やからし蓮根などで稀に起こり、神経麻痺を引き起こします。
ボツリヌス菌は休眠する際、芽胞と呼ばれる耐久性の高い殻を作ります。食物に付着した場合、加熱しても殺菌しきれないことがあり、中毒の原因になります。また最近の研究では、芽胞を作らずに休眠する微生物に注目が集まっています。結核菌は人間の身体に入ると、芽胞を作らずに休眠し潜伏します。
食品衛生管理に気をつけている現場では、芽胞を作らない微生物による食品への影響について研究が続けられています。
たくさんの可能性を秘めた研究、ぜひ動画で御覧ください。
動画を見る→http://costep.open-ed.hokudai.ac.jp/cs/video/2015self2/ike/
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この映像は、池 晃祐さん(農学院修士1年)が、大学院共通授業科目「大学院生のためのセルフプロモーション2」の履修を通して制作したものです。
池さんの所属研究室はこちら
応用生物科学専攻
応用菌学研究室(浅野行蔵 特任教授)