新型コロナウイルス感染症の拡大防止のため、北大が設けていたBCP(事業継続計画)のレベルが、本日6月1日から「レベル2:制限(中)」に引き下げられることが先ほど発表されました1)。4月20日夕方から本日までは「レベル3:制限(大)」でしたが、5月25日に北海道においても政府の緊急事態宣言が解除されたことに伴う決定です。なお、函館キャンパスでは25日より先行してレベル2に緩和されていました。
レベル2の概要
レベル2の概要は以下の通りです。詳細は北大のウェブサイト2)をご覧ください。
- 研究:必要最小限度の関係者のみ短時間の立ち入りを許可。それ以外は自宅で研究活動
- 授業:オンライン授業を中心に実施。一部の演習、実験、実習等は拡大防止措置を講じて実施
- 学生の課外活動:全面禁止
- 事務:優先度の高い業務を行い、一部を在宅勤務で実施
- 会議等:原則オンラインやメールで実施
油断できない状況
政府は緊急事態宣言の解除の条件を「感染の状況」「医療提供体制」「監視体制」の3点に特に注目したうえで総合的に判断する、としています3)。このうち感染の状況と医療提供体制について確認してみましょう。
前者の指標は、直近1週間の累積陽性患者数が10万人あたり0.5人未満であることとしています。これに対して北海道の場合、5月18日から25日までの累積陽性患者数は43人でした4)。10万人あたり0.8人となり、これは基準値を超えていました。医療提供体制については、病床の759病床数に対して患者数は238人です。一時期よりはかなり落ち着いて一定程度余裕がある状況です。しかし全国で最も稼働率が高いのが北海道である、ということもおさえておくべきでしょう5)。
一日単位の新規陽性患者数に一喜一憂すべきではありませんが、緊急事態宣言解除の前日24日は15名、翌日26日も9名に陽性診断がでています。新型コロナウイルスの潜伏期は2週間程度といわれているので、感染者数の増加をキャッチできるのは2週間後となります。
都道府県をまたぐ移動の制限は6月中旬一杯まで
また、緊急事態宣言は解除されましたが、都道府県をまたぐ移動については5月31日までは避ける、6月18日までは慎重に、という制限がかかっています。これは道外からの学生が多い北大にとって大きな意味があります。北大の学部生の出身地は、道内が32.2%でその他が67.8%となっています6)。北大全体での調査はされていませんが、ある授業では受講者のうち1/3程度が札幌に居住できておらず、まだ地元にいることも明らかになっています。
BCP2でも授業は引き続きオンラインが中心です。実験や演習、実習は、実施可否については個別の判断の部分がでてくるため、クラスや専攻による授業の進行のばらつきが大きくなる可能性もあります。何より、感染拡大を防止する為の「適切な判断」が個別に求められることになり、より判断が難しくなるでしょう。引き続き緊張感をもちつづける必要があります。
参考文献
1) 北海道大学 2020a:『新型コロナウイルスに対する北海道大学の対応について』(2020年6月1日閲覧).
2) 北海道大学 2020b:『新型コロナウイルス感染拡大防止のための北海道大学の行動指針(BCP)』(2020年6月1日閲覧).
3) 厚生労働省 2020: 「問1 5月25日に全都道府県で緊急事態宣言が解除されましたが、その理由は何ですか。再び宣言が出されることもあるのでしょうか。」『新型コロナウイルスに関するQ&A(一般の方向け)』
(2020年6月1日閲覧).
4) 北海道 2020: 『道内の発生状況一覧』(2020年6月1日閲覧).
5) 福野泰介 2020: 『新型コロナウイルス対策ダッシュボード』(2020年6月1日閲覧).
6) 北海道大学 2018: 『平成30年度 北海道大学ファクトブック』(2020年6月1日閲覧).