東京では検査者に対する陽性者率や、入院者数が徐々に増加を続けています。重傷者数はまだ少ないものの、今後感染がさらに広がれば重症化しやすい方への感染も生じていくことが予想され、状況は全く予断を許しません。
健康障害等の疫学が専門の玉腰暁子さん(医学研究院公衆衛生学 教授)は3月8日からほぼ毎週、新型コロナへの注意を喚起するメッセージを学内に発信しつづけてきました。7月13日の最新のメッセージお伝えします。
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7月10日にイベント開催の人数制限が緩和されました。スポーツ観戦やコンサートなどを楽しみにしていらっしゃる皆さまも多いことと思います。ただ、北海道では新たに陽性となる人の数がようやく少し落ち着いてきたように見えますが、首都圏、そして最近は関西圏で、陽性者が増えていることはご存知の通りです。
新型コロナウイルス感染症対策の難しいところは、無症状あるいは軽症の方も多い中で、症状が出る前でも、人に感染させうるということです。感染した人の中のうち重症化するのは 20%程度とされていますが、年齢が上がるほどこの割合が高くなることが示されています。したがって、人と人との接触が増える中、ウイルスが自覚症状のない方たちの間で気づかれないまま伝播し、やがて重症化しやすい方たちへと広がっていけば、医療機関への大きな負担につながること、また亡くなる方も出てくることが懸念されます。
この感染症とのつきあいは長くなりそうです。ウイルスがどこかに存在する以上、感染を完全に抑えることは難しいと考えられます。私たちにとって重要なことは、だれもが感染しうる、感染させうると考えて行動することです。この数日、自分がどこに立ち寄ったか、誰と会ったか、覚えていらっしゃいますか。要請としては出ていないものの、現状では、感染者が増えている地域への往来はできるだけ避けた方がよさそうです。また、感染は人と人との接触により広がりますので、これまで通り「換気の悪い密閉空間」、「人が密集している」、「近距離での会話や発声が行われる」ことが重なる場所は避けるなど、引き続き一人一人が感染予防を意識して行動していきましょう。
皆さまには、今後とも、ご自身と大切な方、そして北海道を守るため、デマに惑わされることなく、引き続きリスクを避ける行動をとられるよう、お願いいたします。