鈴木久男さんからのバトンは、教え子でもある山田邦雅さんへと繋がりました。専門は理論物理学で、鈴木さんのクリッカーを使った物理の授業もサポー トしていたそうです。現在所属する高等教育推進機構 高等教育開発研究部門では、文字通り、教育の教材を発展させるべく研究しています。
自転車をカスタマイズするほど、手先が器用な山田さんが、現在開発中の教材は「電子ペン(アノト社製)」を利用するというもの。何の変哲もないよう に見えるこのボールペン。持ってみるとちょっと太めの万年筆のような感触と重さです。このペン先には極小のカメラとセンサーが内蔵されていて、 特殊な紙に書いた文字や図を読み取り、パソコンへ送ります。 例えば、講義中に学生の書いた文字を先生が手元のPCで受信し、解答例をスクリーン上にリアルタイムに 映す、ということも簡単にできるようになるのです。
研究室の棚や引き出しからは、授業で使った手作り教材や実験道具がどんどん出てきます。
リサイクルショップで見つけた、水飲み鳥(写真左上)。懐かしいものですが、これは「熱力学」の授業で見せると学生受けするそうです。
そして自作もしたという「液体カイロ」(写真右上)、これも熱力学の考えから生まれたもの。液体の中の金属をパキっと折ると見る見るうちに固体に変 わります(白い部分)。続いては、100円均一で売っているTVのリモコンを改造して作ったクリッカー(写真左下)。鈴木久男さん(バトンリレー#003)が輸入したころは、1個 12,000円の値段がついていて「市販で高いなら作ってみよう」とわずか210円で作ってしまったそうです!
「実験が好きなんだよね。物理は授業をすると嫌いになる学生もいるから、そうならないようにを心がけて、ちょっとしたおもしろ実験を授業に取り入れているんです。」
来年度は学部授業「北大に風車を建てようプロジェクト」を構想中。新一年生を対象に、さまざまタイプのミニ風車を作ってもらい、回転数を競わせてみ たいそうです。まだ計画中と言いながらも「青々した芝生の上に風車が並んでいたら奇麗だよね。観光客からアンケート投票してもらって授業の評価に入れよう かな」と楽しそうに語ってくれました。将来的には、北大内に風車を建てたい、というスケールの大きなお話も飛び出しました。次々と新しいアイディアを思い つく山田さん。次は何を作るのかとても楽しみです。
さて次回のランナーは、瀬名波栄潤さん(文学研究科准教授)です。お楽しみに!