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#208 世界に向け、北大で地域をデザインする(2)~学生さんから見る研究室~

風雪シミュレーションのもとづいた稚内駅の設計、地域の風習をいかした夕張の再生。瀬戸口剛さん(工学研究院 建築都市空間デザイン部門 教授)の研究室は、最先端・地域貢献・世界的活動をモットーに、北海道だからこその建築研究にとりくんでいます。研究の意義や内容についてインタビューした前編につづき、今回の後編では、都市地域デザイン学研究室に所属している学生さんへのインタビューで研究の実際についてさらに深掘りしていきます。

【石橋慶士/総合文系1年・小林菜津/医学部1年・山崎翔太/法学部1年】

(インタビューでは学部4年生4名、修士1年4名、修士2年1名、総勢9名にご協力いただきました)
研究室に入ったキッカケは?

学生のみなさんは、どの様なきっかけでこの研究室を選んだのでしょうか。インタビューの中でたびたび聞こえたのは「都市」と「マクロ」というキーワードです。例えば「大きなものを作りたかったため、都市をデザインできることが魅力的だった」「この研究室は“マクロ”、都市そのものを大きく研究しているので興味を持った」と語る方々がいました。研究のスケールの大きさが学生さんを惹きつける本研究室の特徴と言えるでしょう。

(モノづくりが好きだったので建築都市コースに絞り、大きいものを作りたかったので都市地域デザイン学研究室にした、という修士1年の渡邊亜揮さん(写真左))

また、研究室の特徴として「責任」をあげた学生さんもいました。その学生さんは、「グループや自分と違う立場、分野の人と仕事をすることが多いから、自分がミスをすると、他に迷惑がかかってしまう。それに加えて、その仕事の結果は町の人に還元されるものだから、やはり責任をもって研究に取り組まないといけない」と、そして「その町の人の生活を豊かにしていくことが、この研究室の一番大切なものだと思う。そういうところに強い魅力があった」と話してくれました。研究のもつ影響力や、様々な人と関われることも、本研究室の良さのようです。

(夕張市職員と打ち合わせをする学生さんたち)〈写真提供:北海道大学都市地域デザイン学研究室〉

そして気になるのは、やはり建築系はハードなのか・・・ということ。この質問に対して、学生さんは否定せず「やはり興味のない人には結構きつく、やる気が求められる」と率直に語ってくれたことが印象的でした。学生さんたちは各々様々な魅力を見出して、本研究室を選んだようです。その気持ちは生半可ではないことも強く感じました。

学生さんが思い描く理想の都市とは?

街づくりとは、街をより良いものにしていく過程であり、そこには個人個人の理想とする都市の姿があるはずです。「都市をデザインする者」として、学生さんたちはどの様な姿の都市を目指しているのでしょうか。

修士2年の杉本匠さんは「都市に住む人、都市を訪れる人が快適に楽しく生活でき、人々に愛されるまち」が理想の都市の姿であり、「まちで実際に暮らす人達と、意見を交換しながら一緒にまちを考えていき、街づくりの過程からその街の豊かさの価値を決めていく」という、住民に寄り添ったデザイン過程が必要であるということを話してくれました。

(学生のリーダー的存在、修士2年の杉本さん)

その他の学生さんのこたえも様々でした。札幌を例に挙げ、「街と自然が融合した都市」を理想と答えた方もいました。また、東京、京都、神戸を例にあげ「様々な顔を持つような都市」を理想とされた方もいれば、「主に人が溶け込めている都市」「人それぞれ好きな場所がある都市」と、人との関係を重視した理想を持っていた方もいました。

(学部4年の和田彩花さんは、高校生の時に行ったシンガポールが、高温多雨の気候に適応しつつデザインも優れた建築があって印象的とのこと)

総じて、街の厚み、多面性を重視している学生さんが多いようです。しかし、やはり注目すべきなのは、同じ研究室内でも皆さんが様々な理想の都市の姿を描いているということでした。様々な理想をもった仲間と同じ研究室に集い、学ぶ。この多様性も、本研究室の大きな魅力のひとつに違いありません。

瀬戸口さんってどんな方?

最後に、本研究室を語る上で欠かせない瀬戸口さんについて、学生さんからの印象を正直に語っていただきました。すると、「学部生の時は正直怖かった」「一見怖いのは事実」と、何人かの方が苦笑されていました(笑)。実際、取材する前の私たちも、体格のがっしりした瀬戸口さんに対して「厳しそう…」という印象を持っていました(申し訳ありません・・・)。

(「まぁ・・・一見怖いよね」「うん(笑)」と語りだす学生さん)

しかしさらに話を伺うと、学生さんの先生への印象は、研究室に入った後に変化していったことがわかりました。「研究室で色々と話す機会があり、すごく我々学生のことを考えて下さっていると感じた」と語る学生さんもいれば、「建築系の人の中でも圧倒的に面倒見がいい先生に思う」と話す方もいました。さらに「褒めてくれることが多い」「結構ワイワイするのが好きな先生」と、先生の明るさを強調する方もいました。瀬戸口さん、どうやら、研究室に入ってみなければわからない、パワフルで明るい雰囲気をお持ちのようです。

(瀬戸口さんは前半のインタビューでも笑顔をみせてくれました)
インタビューを終えて

前編では瀬戸口さんにお話を聞き、後編では学生さんの立場から研究室の魅力を探るべくインタビューをしました。そこで一番に感じたのは、雰囲気があたたかいということです。学生さんと瀬戸口さんの距離も近く、学生さん同士も先輩後輩間で仲の良い印象を受けました。

(4年生を後輩数名がサポートする卒業設計の思い出を語る杉本さん。「ぼくの手伝いがここの3人で、連日徹夜を(笑)」。「建築に入って最初にやったことだから、すごい思い出深い ですね(笑)」とこたえる松下鯉太郎さん(右端))

記事の最後に、修士2年の杉本さんが執筆した論文を紹介します。この論文では、夕張市の公共施設再編やその際の地区構想を市民アンケート調査から導き出しています。本研究室、あるいは都市デザイン・まちづくりに興味を持った方は、是非一読してみて下さい。実際の研究の空気感を知ることができると思います。この記事が建築に興味がある方、そして学部選びに悩んでいる方の参考になれば幸いです。

(取材終了後、研究室の学生さん達と共用実験棟前にて)

本記事で紹介した杉本匠さんらによる研究成果は、以下の論文にまとめられています。

  •  杉本匠・瀬戸口剛・渡部典大・上木翔太2022: 「コンパクトシティ都市拠点形成に向けた市民意向を反映した公共施設再編―北海道夕張市における集約型コンパクトシティ研究その26」『日本建築学会大会学術講演梗概集・建築デザイン発表梗概集』

 

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2023.09.06

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